どうも、コント作家のりきぞうです。
これまで、1000本ちかくコント作品をみてきました。
くわえて、100本ほど喜劇作品を読んできました。
なかでも、シェイクスピアの喜劇は、楽しかった。
同じように、読んでみようと思っている人も多いはず。
とはいえ、
・たくさんありすぎて、どれからみたらいいいのか分からない
・とくにおすすめはどれ?
─ こんな悩み&疑問をいだく人もかぁと。
そこで、この記事では、シェイクスピアの喜劇作品をすべて取りあげ、まとめていきます。
結論を先にいうと、つぎのとおり。
りきぞう
・トップ3は『十二夜』 → 『お気に召すまま』 → 『ウィンザーの陽気な女房たち』の順
・〝考えさせる系〟の喜劇なら、『から騒ぎ』がおすすめ
といったかんじ。
以下、カンタンに概要&感想をあげながら、すべての作品をみていきます。
※ 出版された年数順に並んでいます。
目次
『ヴェローナの二紳士』
初期のころの作品で、修行時代に書かれたものとされています。
シェイクスピアの喜劇は、全部で10作品 ─ そのさいしょのシナリオです。
喜劇に分類されるものの、ちょっとシリアスすぎる印象です。
主人公「プローテュース」が親友を裏切るシーン or 裏切られた「ヴァレンタイン」が森をさまようようすは、悲劇とみることも。
このあたりは、じっさいに読んでみて、判断してみてほしいです。
ながさについては、わりとコンパクトで、さらっと読めます。
いっぽう、はなしもフクザツではなく、つっかえて読めないなんてこともありません。
さいしょに手にとっても、問題ないかと。
くわしいレビュー
『じゃじゃ馬ならし』
喜劇では、初期のころの作品です。
ほかの作品にくらべると、わりとマイナーな部類にはいりますね。
シェイクスピア喜劇では、変装シーンが、たびたび出てきます。
この作品でも、ほんとによく使われます。
なので読んでいると、人物を追うのに、混乱するかもです。
いっぽうで本作は、会話のやりとりが、いきいきしていて、おもしろい。
「じゃじゃ馬」のころのキャタリーナの結婚先について、父親とトラーニオはこんなやりとりしている。
バプティスタ まったく私が演じているのは貿易商人の役だ 、いちかばちかの取引に目をつぶって飛びこむのだから。
トラーニオ しまっておいてもむだな商品でしょう、船に積めば利益になるか、たとえ海の藻になっても、もともとだ。
うまいです。
はなしのながさも、ちょうどよく、わりとスムーズに読めます。
くわしいレビュー
『まちがいの喜劇』
こちらも、わりと初期のころの作品。
セリフまわしはテクニカルで、プロットの展開もフクザツです。
というのも、別々に育てられた双子が主人公で、それぞれの境遇&状況をたどるのも、一苦労だからです。
ショージキ、難易度は、けっこう高めです。
いっぽうで、プロット流れをしっかりたどることができれば、かなりおもしろい作品です。
とくに謎が解かれたときのスッキリ感は、なんともたまらないと思います。
ほかの作品にくらべて、おすすめです。
くわしいレビュー
『恋の骨折り損』
喜劇では、初期のころの作品です。
こちらも、ほかの作品にくらべると、わりとマイナーな部類にはいりますね。
ストーリーは、さいしょの場面で、王が恋愛を禁じるトコから始まります。
このルールを破るのがキモとなり、ストーリーがすすんでゆく。
それぞれがウラで、恋する相手にアプローチをする。
その過程で、ラブレターを渡していることがバレたり、ヘタクソな恋の歌を暴露をされたり。
プロットでは、その点がイチバンの笑いどころ。
いっぽう、この作品は、プロットやキャラクターよりも、セリフのやり取りで笑わせる印象が、つよいです。
なので、翻訳ではどうしても面白さが半減。
プロットによるおもしろさを求める人には、あまりおすすめしません。
くわしいレビュー
『夏の夜の夢』
喜劇のなかでは、中期〜後期にかけての作品です。
有名なタイトルで、読んでなくても、耳にした人も多いはず。
ベースはファンタジー劇です。
ストーリーのメインは、ライサンダーやヘレナたちの三角関係。
いっぽう、はなしを展開させるのは、「パック」とよばれる妖精たちです。
かれらが人間にいたずらをしかけ、人びとのカンケーが狂っていく ─ そのプロセスを楽しむ作品です。
なので、幻想劇のモチーフを受け入れられない人は、ちょっとキビしいかもです。
個人的には、ながさもちょうどよく、ストーリー展開もおもしろかった。
ほかの作品にくらべても、けっこうおすすめです。
くわしいレビュー
『ヴェニスの商人』
喜劇のなかでは、後期の作品になります。
有名な作品で、一度は耳にしたことがあるはず。
この作品のあと、シェイクスピアは、本格的に悲劇を書いていきます。
喜劇をうたう『ヴェニスの商人』でも、その片りんが、うかがえます。
どこか残酷というか……。
なので個人的には、「楽しい」「笑える」というより、ひとりひとりの登場人物に同情をよせながら、読んでいました。
とくに、金貸し「シャイロック」は、哀れとか言いようがありません。
いっぽう、借金をめぐるおはなしで、プロットの展開は、わりとフクザツです。
お金の動きを把握するのも、一苦労といったかんじ。
作品単体としてみれば、いろいろ考えさせるトコがあり、興味ぶかいです。
けれど、喜劇としてみた場合は、ちょっとイマイチかぁと思います。
ほかの作品をみたあとに、手にするのが、おすすめです。
くわしいレビュー
『ウィンザーの陽気な女房たち』
喜劇のなかでは、後期の作品になります。
シェイクスピア劇では、キホン、貴族の人たちが主人公。
いっぽう本作の主役は、市民階級の人たち。
その意味で、めずらしい作品とされています。
悪漢「フォールスタッフ」の悪事をさかてにとり、機転のきいた妻たちがイタズラをくりかえす、ドタバタ劇です。
「笑える」という点では、喜劇らしい喜劇といえます。
いっぽう、本作は夫婦の浮気ばなしがメイン。
浮気された勘違い、「コキュ」(=寝とられ亭主)になり下がったとわかったときの夫「フォード」のセリフは、なんともおもしろいです。
フォード 不実な妻をもつは地獄、とはよく言った。おれのベッドは汚され、おれの金庫は荒らされ、おれの名誉はむしばまれ、そういうひどい恥辱を受けた上に、さらに忌まわしい肩書きまでつけられねばならぬ、それも、そういう恥辱を加える当の本人によってだ 。肩書き! 呼び名! アメーモンと呼ばれるほうがまだいい、ルーシファーでもいい、バーバスンでも。みんな悪魔の呼び名、地獄に住むものの名前だ。だが寝とられ亭主とは! おめでたい亭主とは! 寝とられ亭主! 悪魔だってこんな名前はもってない。(no.757)
セリフ&プロット ─ 全体としてみたとき、読みやすく、とてもおもしろいです。
さいしょに手にするには、おすすめの1冊です。
くわしいレビュー
『から騒ぎ』
喜劇のなかでは、後期にあたる作品です。
こちらも有名で、耳にした人も多いはず。
悪漢「ジョン」「ボラキオ」の悪だくみで、主人公「クローディオ」の仲間たちがピンチに追いやられる ─ これがあらすじです。
ドタバタ劇ながら、クローディオが失望するようす or ヒアローの憔悴ぐあいなんかみると、あっけらかんと笑いにくいです。
原題は『Much Ado About Nothing』で、「nothing なのに大さわぎ」という意味。
この時代の「nothing」 は「noting(気づき)」と同じ発音をしました。
「気づくことについての大さわぎ」とも解釈できる。
すくなくともリアルタイムで観ていた人は、そう解釈していたと想像できます。
つまり、この作品は、取り越し苦労をする人たちを描き、ひとの認識は、いかにテキトーで、どれほどデタラメな世界で生きているかを訴えている。
こんなかんじで喜劇のわりには、テーマ性がふかい。
単に笑うだけでは、終わらせたくない人に、おすすめの作品といえます。
くわしいレビュー
『お気に召すまま』
後期の作品です。
こちらも、喜劇ではおなじみの、変装によるドタバタ劇です。
主人公「ロザリンド」が、男性に化けることで、想い人「オーランド」をはじめ、まわりをカンちがいさせ、ストーリーを盛りあげていきます。
プロットの展開はすっきりしており、かなり読みやすいです。
ちなみに、シェイクスピアの有名なセリフ「この世はすべて舞台……」は、本作で登場します。
ジェイクィズ この世はすべて舞台。男も女もみな訳者に過ぎぬ。退場があって、登場があって、一人が自分の出番にいろいろな役を演じる。(no.798)
ちなみに、有名なセリフながら、しゃべる本人は、劇の中では脇役。
それが意外かもです。
プロット&会話のやりとりなど、かなり読みやすい内容になっています。
さいしょに読むなら、かなりおすすめです。
くわしいレビュー
『十二夜』
喜劇のなかでは後期の作品です。
円熟期に書かれ、現在、もっとも高い評価をうけています。
キホンのストーリーは、双子がもたらす「カン違いばなし」。
モチーフは、『まちがいの喜劇』と似ています。
けれど、『まちがいの喜劇』では、2組の双子を登場させ、フクザツなプロットを組んでいました。
いっぽう本作では、双子は「オリヴィア」「セバスチャン」の1組だけ。
そのぶんストーリーが、すっきりし、読みやすくなっています。
またこの作品では、メインのカップルのほかに、脇役の執事「マルヴォーリオ」が、いい味を出しています。
かれは、自分が仕える「オリヴィア」が、こちらにホレているとかんちがい。
侍女「マライア」がでっちあげた「ニセのラブレター」に騙される ─ そのアタフタしたようすが、より作品を「笑えるもの」にします。
オリヴィアもまた自分に想いをよせていると思いこんだ彼は、すっかりその気になり、ラブレターの指示どおり、黄色いのくつ下をはき、趣味のわるいくつ下留めをつける。
マルヴォーリオ (……)なにしろ、どう読んだってお嬢様が私に惚れていることは明白だからな。そういえば最近 、私の黄色の靴下をお気に召して、十字の靴下留めも褒めてくださった。そしてこうして愛を告白して、私にお嬢様のお好みの姿をするように、なかば命じるようにして仕向けていらっしゃるのだ。運命の星よ、ありがとう。私は幸せ者だ。人と異なる恰好をするぞ。偉そうにして、黄色い靴下をはいて、十字の靴下留めをするぞ、たった今から!(No. 986)
彼のダマされぐあいがサブプロットを構成し、ストーリーに厚みをもたせています。
プロット&セリフまわしなど、全体としてバランスがとれています。
こちらも、さいしょに読むには、おすすめの1冊です。
くわしいレビュー
まとめ
まとめると、
りきぞう
・トップ3は『十二夜』 → 『お気に召すまま』 → 『ウィンザーの陽気な女房たち』の順
・〝考えさせる系〟の喜劇なら、『から騒ぎ』がおすすめ
シェイクスピアの喜劇作品を読むうえで、参考にしてみてください。
ではまた。
よきコントライフを〜。











