どうも、コント作家のりきぞうです。
きょうも、コント作品をレビューしていきます。
取りあげるのは、シェイクスピア『まちがいの喜劇』。
かれの喜劇は10本ありますが、これはわりと初期のころの作品。
初期といっても、セリフまわしはテクニカルで、プロットの展開もフクザツです。
以下、あらすじをみたあと、笑いのポイントをあげていきます。
目次
ストーリーの大まかな流れ

とりちがえ劇です。
2組の双子、計4人の人物が登場し、騒動がもちあがります。
それぞれにカンケーするまわりの人たちが、カン違いをくりかえし、笑いをおこしていきます。
登場人物、場所、あらすじは、こんなかんじ。
人物
アンティフォラス E
ドローミオ E ……召し使い
アンティフォラス S ……アンティフォラス E の双子
ドローミオ S ……ドローミオ E の双子
場所
エフィソスの町(トルコ)
あらすじ
生まれて間もなく、離ればなれになった双子の兄弟。おなじ時期に、もう一組の双子も生きわかれるる。
数十年後。
兄弟のひとり、アンティフォラスは、エフィソスの街で暮らすことに( → アンティフォラス E )。
また、おなじ時期に生きわかれた双子のひとり、ドローミオを召し使いにかかえている( → ドローミオ E )。
そんなある日、エフィソスの町に、ふたりの兄弟、アンティフォラス、ドローミオがシラクサからやってくる( → アンティフォラス S、ドローミオ S )。
そんな偶然を知らないまわりの人たちは、双子とは気づかずに、ふだんどおり接する。
アンティフォラス E だと思いこんだ商人は、注文されたアクセサリーを、S のほうにあげてしまったり、E に恋する女も首かざりをあたえてしまったりする。
S は S で、エフィソスに来たとたんに、知り合いのように話しかけられ恐怖をおぼえる。
さらに、アンティフォラス E も、ドローミオ E も結婚していたため、いつのまにか家庭をもたされるハメに。
このままココにいるのは危険と判断した、ふたりの E は、脱け出すことに。
そのいっぽう、アンティフォラス S には、アクセサリー代の未払い、愛人からの首かざりを盗んだ罪が課せられてしまい……。
メインのはなしは、アンティフォラス E が、自分の知らない罪をかぶせられてしまうトコ。
S の登場により、E が窮地におちいる場面がイチバンの笑いどころです。
とはいえ、誤解により、ほかにもいろいろトラブルがおきる。
たとえば、アンティフォラス E に、ふだんから浮気の疑いをかけていた妻が、双子の S が悪びれるようすもなく「妻も家庭もない」と言っていると聞かされ、ブチギレてしまったり。
細かい行き違いも含め、カン違いするシーンが連発するので、読んでいても飽きない。
また、カン違いがつみかさなり、はなしがフクザツになっていくが、ラストではストーリーがちゃんとおさまっている。
このあたりは「さすがシェイクスピア」ってかんじです。
オチがどうなるか、ぜひチェックしてみてください。
笑いのポイント
笑いのポイントをみていきます。
コントや喜劇で大事なのは、キャラクターとプロット。
この作品ではプロットに注目してみます。
コントのプロットはとてもシンプル。
[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。
なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」があります。
パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つです。
ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「交錯」だとわかります。
「交錯」では、真相を知らない登場人物が、スジ違いの言葉をはいたり、行動に出たりする。
そのようすが笑いを引きおこします。
この作品でも、アンティフォラス&ドローミオに、双子がいると知らない人たちが、本人だと思いこみ、商品を渡してしまったり、無実の罪をきせてしまったりする。
このながれが観ている人を笑わせる。
図にするとこんな感じ。
・商人、S に商品をわたす
・愛人、S に首かざりをわたす
・E は知らないと言い張る
・罪をきせられる
アンティフォラス S ≠ アンティフォラス E
この図のように「アンティフォラス S ≠ アンティフォラス E 」となり、ふたりは同一人物ではなく、双子だとわかる。
もちろんオチは気になるが、交錯ではとくに、それまでの展開がだいじ。
・カン違いしたとき、どんなふるまいをするのか
それによって笑いの良し悪しが決まります。
ちなみに、この作品がめずらしいのは、2組の双子をおいているトコ。
フツーは1組だけ設定し、まわりがカン違いするのが、しぜん。
というのも、2組もおくと、ストーリーがフクザツになりすぎてしまい、お客さんが混乱してしまうから。
こんがらがると、ストーリーのおもしろさが半減するので、1組におさえる。
じじつ、この作品でも、読んでいる人は、けっこう混乱する。
それでも2組も登場させたのは、シェイクスピアが、舞台で演じることを想定してシナリオを書いたため。
舞台なら、それぞれの双子を衣装などの色でハッキリ区別させられるので、観てる人も混乱しなかったはず。
なので、コントや喜劇を書くばあいには、お客さんがどういう環境で作品をみるのか ─ この点を考慮して取りくんだほうがいいかもです。
まとめ
こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントや喜劇を楽しめます。
ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。ちがう記事ものぞいてみてください。
ではまた。
よきコントライフを〜。


