| 公演日 | 2016年8月 |
| 収録 |
Haraguro no Namaiki cuckoo costume party karaoke panic Attack 赤えんぴつ The pitiful two in the philippines |
どうも、コント作家のりきぞうです。
きょうも、コント作品をレビューしていきます。
取りあげるのは、バナナマンの『腹黒の生意気』。
本作品も、プロット、キャラクターともに、バラエティにとんだ内容でした。
…
「Haraguro no Namaiki」は、ふだんのバナナマンさんふたりの性格を反映しているかんじの作品 ─ 。
「cuckoo costume party」は、仮装パーティーに誘われる会社員が、どんな服を着ていけばいいか、後輩sの設楽に相談する話。
これまた日村さんがいいかんじにイジられてます。
ラストの「The pitiful two in the philippines 」は恒例の長尺コント。
30分以上あるためコントではなく喜劇に近い。
同級生ふたりが、フィリピン・パブに勤める「アイリーン」をめぐり心理戦をくりひろげる内容。
それぞれのキモチの葛藤にスポットがあてられているため、よけい喜劇にちかい印象をうけた。
そのぶん笑いの要素は、少なめ。
その点がちょっと残念。
個人的に、好きだったのは「karaoke」&「panic Attack」 ─ 。
以下、カンタンにみていきます。
目次
「karaoke」
あらすじ
仕事仲間のふたりが、カラオケにやってくる。
友人の日村が仕事を辞める相談をはじめる。
話を聞くかと思いきや、仲間の設楽はそのままカラオケをスタート。
モヤモヤした気持ちのまま、日村は設楽の唄をずっと聴くことなり……
感想
はなしのスジは、これだけ。
プロットのほとんどを、設楽さんが唄うシーンに費やす。
かなり実験的な作品。
フツーなら間がもちません。
けれど、設楽さんが歌うときの、なんともいえない演技がすばらしいため、ラストまで観れてしまう。
オチのグダグダぶりも Good 。
言葉ではなかなか説明しにくいので、ぜひ作品をみてほしいです。
「panic Attack」
収録作品のなかでこのコントが、キャラクターとプロットともにイチバンよかった。
以下、概要&ポイントをみていきます。
人物
女性デザイナー(日村)
アシスタント(設楽)
場所
会議室
あらすじ
モデルを選考するふたり。
アシスタントが候補のモデルの写真をみせるが、デザイナーはどのモデルにたいしても文句をつける。
そのたびにアシスタントが「かっ!、かっ!」と、ヘンな咳をする。
美人なモデルにたいして、文句をつける、〝おブスな〟デザイナーに、なにかを言いたいようす。
その咳が、じょじょに気になりだす、先輩デザイナー。
デザイナーは、アシスタントにたいして、「もし自分に言いたいコトがあるなら言ってほしい」と忠告する。
ふたたび、ヘンな咳が出そうになるアシスタント ─ 。
デザイナーの忠告どおり、いいたいキモチを伝える。
「おまえがいうな」……。
感想
イチバン笑いました。
自分がアドバイスした手前、そのあともアシスタントはバシバシ文句(というか罵倒)を言ってくる。
さらに、デザイナーがブチ切れると過呼吸になり、倒れそうになる。
もはや無敵の立場になったアシスタントに、デザイナーはなすすべなし。
プライベートのおふたりを投影しているようで、ホントにおもしろかった。
バナナマンさんの女装すがたも、とても似合ってましたね。
ポイント
つづけて、笑いのポイントをみていきます。
コントで大事なのは、キャラクターとプロット。
この作品ではプロットに注目してみます。
コントのプロットはとてもシンプル。
[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。
なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。
パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。
ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「反復」だとわかる。
「反復」では、状況や環境が変わっても、それまでと同じアクション、セリフ、出来事をくりかえすようすを描きます。
それによって笑いを引きおこす。
この作品でも、後輩デザイナーの文句にたいして、先輩がブチ切れる。
すると、後輩が過呼吸になり、先輩がなだめる。
後輩が文句を言うと、ふたたび先輩がブチ切れ、後輩が過呼吸になる。
同じアクションのやり取りをくりかえすことで、笑いを引き起こす。
図にすると、こんなかんじ。
・先輩が「正直な気持ちを言え」とアドバイス
・後輩、正直な気持ちを伝え、罵倒する
先輩、ブチ切れる → 後輩、過呼吸
反復のプロットでは、状況 or 環境を変えても、同じアクション or セリフをくりかえすことで、笑いをおこす。
ただし今回のように、環境を変えなくても、同じやり取りをくりかえせば、しぜんと笑いはおきる。
コントをつくるうえでも、参考になります。
まとめ
こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。
ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。ちがう記事ものぞいてみてください。
ではまた。
よきコントライフを〜。


