バナナマン『RADIO DANCE』感想&レビューです。

公演日 2000年5月7日
収録 ORDINAL RELATION 「お前いたっけ?」 「お前の姉ちゃん見たよ」 「UFO」 とりあえず梅太郎 青春行進曲 オレンジ 箱

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、バナナマンの『RADIO DANCE』。

初期の作品ですね。

ライブのもようは、VHS or DVDで、かろうじて流通しています。

ありがたいことに、YouTube に作品がアップされています。

とはいえ、いつ削除されるかわかりません。

いまのうちに、ごらんになってください。

バナナマン『RADIO DANCE』の概要

以下、それぞれの作品にふれていきます。

「ORDINAL RELATION」は連作コント。

・「お前いたっけ?」
・「お前の姉ちゃん見たよ」
・「UFO」

の3本から構成される。

どれも友人のふたりのおはなし。

設楽の発言にひっかかる日村がツッコんでいくスタイルです。

たとえば、「お前の姉ちゃん見たよ」

設楽が「駅前で日村のお姉ちゃんを見かけた」と言い出すが、じつは設楽は日村の姉と会ったことはない。

それを知る日村は「なんで顔を知らないのに、オレの姉ちゃんってわかるの?」とツッコむ。

それにたいして、設楽は「顔が似ていたから」と反論。

納得いかない日村は「なんでそう言いきれるんだと」と問いただす。

ふだんの会話ではスルーしようなギモンをネタに、ストーリーが展開する。

3本とも、こんなかんじ。

爆笑とはいかないないけど、クスクス笑えるコントです。

「とりあえず梅太郎」は、会社員ふたりが「オリジナルの昔ばなし」を作るおはなし。

アイデアが出ないなか、設楽が『とりあえず梅太郎』という昔ばなしを思いつく。

「なぜ、タイトルに「とりあえず」がつくのか」 ─ 日村はひっかかる。

ほかにも、

・「鬼を退治にいく」
・「鬼はじつは梅太郎の父親だった」
・「今回の話はエピソード1にすぎない」

など、ちょいちょい、どっかで聞いたような物語をつなぎ合わせる。

それでも、上司である日村は、しぶしぶアイデアをみとめる。

そのうえで、ストーリを身をもって、演じてみよう、と言いだして……

プロットにそこまでのひねりはありません。

けれど、ふたりのかけあいで、なんとなく笑ってしまう。

ほかにも、日村さんがトレイにいったときに、会社の備品であるトイレットペーパーをかっぱらってくる、などなど、はなしのながれとはカンケーないトコが、すこしツボでした。

個人的に良かったのは、「箱」「青春行進曲 オレンジ」 ─ 。

以下、くわしくみていきます。

『青春行進曲 オレンジ』

あらすじ

東京で野球観戦しているとき、故郷の同級生に再会するふたり。

学生時代、設楽演じる「おーちゃん」と、日村演じる「カズ」は、バンドをやる約束をした。

しかし、おーちゃんが東京で夢をかなえるため、故郷を離れてしまい、その約束は果たせないまま終わってしまう。

それから数年が経ち、野球場で出会うことに。

おーちゃんは東京で挫折を味わい、ビール売りで生活する日々。

パッとしない人生に失望するおーちゃんを、カズは励ます。

そして、バンドをやる約束したときに作った曲を弾きはじめ「歌ってくれ」とうながすが……

感想

タイトルどおり「青春」にスポットをあてたコントです。

この作品も、プロットで笑いを引き起こしていくかんじではありません。

けれど、

・役者のオーディションでボロカスに言われ、おーちゃんが、監督になぐりかかる
・励ますカズが、ギターを弾きはじめ、マイクをもったおーちゃんが、いきなり唄い出す

などなど、演出で笑ってしまった。

ちなみに、この作品は、いまでは定番となっている「赤えんぴつ」のプロトタイプの物語。

いわゆる誕生秘話。

このときすでに、ふたりは活動していたんですね。

『箱』


30分ちかい長尺コント。

爆笑というより、ホラーの要素が多めです。

以下、概要&ポイントをみていきます。

人物

設楽(設楽)
日村(日村)……友人

場所

箱の中 → 箱の外

あらすじ

白い箱に閉じ込めれた設楽。

夢ではない。

しばらくして解放されるが、外に出たときに、白い箱を手にしていた。

設楽は箱を開けず、中身を見ないようにしていた。

いっぽうの、友人・日村は、勝手に箱をあけ、中身をみてしまう。

そこには、電話番号が書かかれた紙が1枚 ─ 。

後日、設楽はその番号に電話をかけ、女の人と出会う。

そのとき「赤い箱」をもらうが「箱の中をみてはいけない」「見ればおそろしいことが起こる」と忠告される。

しかし不注意から思わず見てしまう2人。

中身は、アメリカ軍から盗まれたと思われる「新型烈火ウラン弾」。

盗難の容疑で捕まるのをおそれるふたりは、アメリカまで逃げる。

ほとぼりが冷めるのを待ち、しばらくして日本へ帰国する。

しかしその帰りに、飛行事故に遭遇……。

警告どおり、「おそろしいこと」にあってしまうふたりだったが……

感想

この事故で、日村は亡くなり、設楽だけが生きのこる。

ここでシーンが切りかわる。

するとなぜか日村は生きていて、設楽は、事故で生存したラッキーな男として、登場する。

そして、今度は手に「青い箱」を持っている。

SFちっくな作品で、パラレルワールドを表しているようにみえる。

けど、すこしちがう。

たしかに、「赤い箱」だったら……、「青い箱」だったら……みたいに、反実仮想でもって、ストーリーが展開しているようにみえる。

しかしじっさいは、「赤い箱」 → 「青い箱」には、1本の時間軸がながれていて、設楽が、そのラインをすすんでいる。

かといって、亡くなっているはずの日村が何度も登場するので、パラレルワールドを表現しているようにみえる。

このあたりの解釈がむずかしい。。

ポイント

笑いのポイントをみていきます。

コントで大事なのは、キャラクターとプロット。

コントのプロットはとてもシンプル。

[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。

コントの書き方 ─ プロットの構成について

なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。

パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。

コントの書き方 ─ プロットの展開について

ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「反復」だとわかる。

「反復」では、状況や環境が変わっても、それまでと同じアクション、セリフ、出来事をくりかえすようすをえがきます。

それによって、笑いをひきおこす。

この作品でも、「赤い箱」であろうと「青い箱」であろうと、いったん中身を見てしまえば、かならず「おそろしいこと」に遭遇し、命をおとすハメになる。

中身をのぞいて、どうにか危機を避けようと、ジタバタしても、かならず飛行機事故で命を落としてしまう。

このくりかえしが、笑いをひきおこしていきます。

図にすると、こんなかんじ。

構図 ─ 反復
設楽&日村 = 飛行機事故にまきこまれる

・「赤い箱」をのぞき、ウラン弾をみつける2人
・盗難の容疑からアメリカに逃げる
・「青い箱」をのぞき、麻薬をみつける2人
・麻薬を売り、大金を手にする
・その金で土地を購入し、地下から爆弾を発見
・アメリカから感謝され、本国に招待される

設楽&日村 = 飛行機事故にまきこまれる

さらに「青い箱」のあとには「黄色い箱」も受けとる。

同じように中身を見てしまい、そこには、カギと地図が。

指示どおりに進んでいくと、ふたたび、最初の白い箱のなかへ迷いこむ。

ストーリーの解釈はいろいろあります。

けれど、プロットの構図をみたときには、ここでも「反復」の手法をとっている。

ちなみに、オチはかなりよかった。

気になる方はチェックしてみてください。

まとめ


こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。