バナナマン『Elephant pure』感想&レビューです。

公演日 2004年
収録 タダシ
Purely reckless
Destroy the comtosipion
GB
ハナからのハジマリ
赤えんぴつ
Froud in Phuket

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、バナナマン『Elephant pure』。

created by Rinker
ユニバーサル ミュージック

10年以上まえの作品です。

とはいえ、古さは感じません。

むしろ、バナナマンファンには、初期のころのほうが、好きかもですね。

それぞれの作品を、かるくみていきます。

「タダシ」は、「ただし」が口ぐせの男のはなし。

モテない友人にたいしてアドバイスをするたびに、「ただし」を連発。

セリフのくりかえしが、笑いを誘います。

ロジカルに笑わせていくかんじですね。

『good Hi』に収録された「二重思考人間」と同系列のコントですね。

「Purely reckless」は、動物オタクの自宅に、「象を飼いたい」と相談にくる男のはなし。

ふたりは同級生だけど、オタクのほう早く帰ってほしい。

というのも、じつは家に「ある物」を隠しているからで……。

ライブ全体のテーマが「象(Elephant)」 ─ 。

それをシンボリックにあらわした作品です。

象の基本情報を知ってもらうための位置づけ、といったかんじ。

象が一日で食べる量とか、どれくらいフンをするか、など。

ここでの知識をベースに、ほかの作品を楽しんでもらおう、というねらいがある。

「GB」は、ヤンキーふたり組のコント。

バナナマンのライブでは、かならず出てくるキャラですね。

今回は青臭い友情を見せながら、青春について語り合うストーリー。

オチは日村さんの替え歌。歌ネタでしたね。

「ハナからのハジマリ」は、先輩の送別会が舞台。

まえもって連絡したのに、参加したのは後輩ひとり。

気まずい後輩は、みんなが来れない言い訳をでっちあげ、先輩をフォローする。

しかし事情を聞くうちに、先輩の口から、ほかの社員から嫌われる理由&秘密が明らかになっていく……。

日村さんの変態性を全面に出したコント。

若干、ホラーがかっている。

犯罪、おかしてますからね。

個人的に好きだったのは、「Destroy the comtosipion」&「Froud in Phuket」 ─ 。

以下、くわしくみていきます。

『Destroy the comtosipion』

あらすじ

相手の家にムコとして嫁ぐ男。

結婚式で両親に読む手紙をつくる。確認のため、友人にチェックしてもらう。

ありきたりの文章なので「直し」を入れることに。

しかし修正の内容が、おふさげマンサイ。

アントニオ猪木の引き笑いを入れたり、『北の国から』の五郎さんの口調で読み上げたり。

それでもムコの友人は、疑うことなくアドバイスどおりに実行して……

感想

設楽さんの〝おふさげ〟が、にじみてているコント。

設楽さんの手のひらで、ころがる日村さん ─ 。

そのすがたは、ふだんのやりとりをみているようで、どこか安心しますね。

ストーリー or キャラクターは、特別おもしろいわけではありません。

けれど、結婚式の決まり文句を、意味不明なカタチに壊していくプロセスが、笑いをひきおこすます。

ちなみにタイトルは、Destroy the comtosipionは、「型をこわせ」という意味です。

なるほど〜。

『Destroy the comtosipion』

こちらは恒例の長尺コント。

以下、概要&ポイントをみていきます。

人物

夫(設楽)
妻(日村)
ホテルのボーイ(設楽)
佐藤(日村) … 取引先の男

場所

プーケットのホテル

あらすじ

新婚旅行以来、10年ぶりにプーケットを訪れる夫婦。

女性への求愛の儀式「男と象の綱引き」などをみて、妻はウキウキしている。

いっぽう、夫は冷めたようす。

そのために、プーケットまで来て、取引先と人と会い、打ち合わせをすると言いだす。

不機嫌になる妻 ─ 。

そこで、夫の愛情をたしかめようと、ワナをしかける。

ホテルのボーイにたのんで、「妻が誘拐された」「返して欲しければ、象と綱引きしろ」と伝えてもらう。

しかしボーイはあやまって、夫ではなく、取引先の男(=佐藤)に伝えてしまう。

誘拐事件を聞いた佐藤は、「自分が解決せねば」と使命感をいだく。

ウソと知らずに、右往左往し……。

感想

ストーリーがあり、見ごたえのある作品。

コントというより喜劇ですね。

メインプロット以外にも、

・現地のボーイがヘンな日本語を覚えている
・日村さん演じる妻が、オネエ口調でしゃべる

など、笑いドコがたくさんある。

ついつい笑ってしまいますね。

オチもすばらしいので、ぜひ本編をチェックしてみてください。

それにしても、これだけストーリー性のあるコントを、2人だけ演じている。

バナナマンさんの構成力はすさまじいです。

ポイント

笑いのポイントをみていきます。

コントで大事なのは、キャラクターとプロット。

コントのプロットはとてもシンプル。

[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。

コントの書き方 ─ プロットの構成について

なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。

パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。

コントの書き方 ─ プロットの展開について

ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「交錯」だとわかる。

「交錯」では、ひとりの人物が、真相を隠したり、ワナをしかける。それにより、カンちがいする人物が、すじちがいのセリフを吐いたり、行動に出たりする。

そのようすが笑いを引きおこす。

この作品でも、ボーイのミスにより、「知り合いの妻が誘拐された」と思い込む佐藤が、すっとぼけた使命感をいだき、事件解決のためにアタフタする。

そのようすが、笑いを誘う。

図にすると、こんなかんじです。

構図 ─ 交錯
知り合いの妻 = 誘拐の人質

・ボーイのミスで、「妻の誘拐」が佐藤に伝わる
・使命感に燃える佐藤、アタフタする

知り合いの妻 ≠ 誘拐の人質

プロットのキーは、ボーイがまちがって、「妻の誘拐」を、夫ではなく、べつの人物に伝えてしまうトコ。

このできごとがキッカケで、ストーリーが展開していく。

ただ、はなしの後半、「妻の誘拐」が夫にちゃんと伝わるが、夫はアタフタしなくなる。

というのも、それが妻によるワナだと見ぬくから。

このあたりに「夫婦のあり方」が描かれ、ストーリーに厚みをもたせてます。

バナナマンのコントが、単純に笑いを追求するだけじゃない ─ そのスタイルがあらわれていますね。

まとめ

こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。

created by Rinker
ユニバーサル ミュージック