シソンヌ『シソンヌライブ huit(ユイット)』感想&レビューです。

公演日 2019年6月
収録 閉めたのに
野村くん、登校する
キッチンようこ
知らない自分
飲み会のあと
叔父と甥っ子

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

とりあげるのは、『シソンヌライブ huit(ユイット)』。

タイトルどおり、8回目の単独ライブを収録しています。

シソンヌさんの魅力は、じろうさんのキャラにあります。

かれの「狂気がかった」性格が軸となり、笑いをおこしていきます。

『飲み会のあと』は、カラオケボックスでのやりとり。

ゲロを吐いた女性を見送ったあと、ふたりの友人が〝かけひき〟するおはなしです。

ストーリーの設定がよく、ついつい先が気になります。

歌ネタの要素もあり、いろんな面から笑えるようにつくられています。

『叔父と甥っ子』は、叔父さんの資産である「一戸建て」をめぐるおはなし。

管理を甥っ子にまかせたものの、経済事情から、「やっぱり家に戻ってこようかなぁ」と伝える叔父 ─ 。

いずれは自分のものに分かっているものの、帰ってきてもらうと、都合のわるい甥っ子は、

「いつごろ、死ぬ?」

と、ぶっちゃける。

あけすけなやりとりが、爽快な笑いをもたらします。

個人的に良かったのは、『閉めたのに』『キッチンようこ』『知らない自分』の3本。

以下、くわしくみていきます。

『閉めたのに』

あらすじ

カーテンが閉まっているカレー屋。

そのまえをウロウロする男性。

かれのすがたをみたとたんに、店内の主人が「サッと」隠れる。

外の男に見られないように、右往左往するが、けっきょく見つかってしまう。

男は、この店の常連客。

閉店したときいて、ふらりとやってきた。

はなしをきいた店主は、フクザツな表情。

というのも、閉店したとたんに、常連客を名のる人たちが、わんさか押し寄せてくる。

覚悟を決めて、店をしめたのに、これじゃあいつになっても、カレー屋から引退できない ─ そうグチをこぼす。

とはいっても、〝人のいい〟主人は、せっかく来てくれた客をむげにはできず、カレーを出す。

客は「うまい、うまい」と言いだし、案の定、「店は閉めないほうかいい」と説得しはじめて……

ひとこと

シソンヌさんらしく、ビミョーな店主の心理をついたコント。

「閉めたあとに、うまいとか言いだしやがって」

─ このセリフには思わず笑ってしまいました。

ちなみにこのコントは、以降の『キッチンようこ』とリンクしています。

『キッチンようこ』

あらすじ

とある洋食店。

中年女性がひとりで、料理の下ごしらえをしている。

今日が「オープン初日」。

それもあって、女性のマスターは、ソワソワしている。

そこへひとりの男性客がやってくる。

さいしょのお客さんに、 やたら緊張する女性店主。

パニックから、

「お代はいらない」

と言いだす。

さらに、ロールキャベツしかメニューにないことに、

「それってどうなの?」

と、みずからの営業方針について、問いつめる。

やたら心配性の女性店主に、客は「大丈夫、大丈夫」と安心させるが……

ひとこと

こちらは、じろうさん演じる「女性店主」のキャラを軸にすえたコント。

どんなことにも、

「それって、どうなのかぁ?」

と、問いかけ、

「ほんとに、ほんと?」

と、安心をもとめる。

2つのセリフが合図となり、店主と客の〝ややこしい〟やりとりがつづいていきます。

長谷川さん演じる客のやさしさも、なんとも魅力的です。

『知らない自分』


あらすじ

シックなバー。

そこへダンディ風の男性客がやってくる。

お酒を注文したあと、マスターにたいして、いきなり、

「おしりをみせてもらえませんか?」

と、たずねる。

唐突なリクエストに、とまどうマスター ─ 。

一級建築士をやっている男性客も、ふと出てしまった、みずからの〝注文〟に、うろたえてしまう。

〝気まずい空気〟が流れるなか、あくまでシックなふるまいをつづけるふたり。

しかし男性客は、ふたたび「お尻」をみたいと言いだして……

ひとこと

今回のライブで、いちばん印象に残ったコント。

「おしり/バー」という対比から、笑いをおこしていきます。

くわえて、おしりについて、いい年をしたふたりが、まじめな口調で語りあうのも、なんともおもしろいです。

中盤以降、じろうさん演じる建築家が、

「なぜ、マスターのおしりをみたくなったのか?」

に葛藤しはじめる。

そのシーンが大がかりなため、まじめ/バカバカしさの対比が、より引きたつ。

構成・セリフまわし・演出が、うまくマッチしたコントにしあがっています。

まとめ


こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。