バナナマン『Sugar Spot』感想&レビューです。

公演日 2003年 夏
収録 Prisoned in Turkey

Loser
ドッキリ
赤えんぴつ
一番大切な人

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、バナナマンの『Sugar Spot』。

created by Rinker
ユニバーサル ミュージック

この作品でもバナナマン・ワールドが全開です。

以下、それぞれの作品にふれていきます。

「Prisoned in Turkey」は、トルコに旅行にきた友人ふたりのおはなし。

メジャーな観光地をめぐるはずが、ある場所に閉じ込められてしまう。

というのも、トルコ人にたいして設楽が失礼な態度をとってしまったから。

「殺されるんじゃないか」とあせる日村。

いっぽうの設楽は余裕の表情で……

対照的なふたりのかけあいで、笑いをおこすコントです。

バナナマンのコントでは、海外を舞台した作品が、かならず入ってますね。

「夏」は、少年ふたりのおはなし。

ショージキ、笑いドコが、うまくつかめなかった。

ふたりとも「あやか」という同級生を好きになるが、幼いこともあり、3人で仲よく遊ぼうとする。

けれど、ふたりの少年は、それぞれ想いをかかえていて……

夏休みの一場面を描くコントです。

「ドッキリ」は、設楽さんの〝イタズラごころ〟が発揮されている作品。

友人の設楽が、日村の誕生日にドッキリをしかけようとする。

けれど、そのプランが書いた紙を、本人がみつけてしまう。

よくみるとそこには、とんでもないプランが書かれていた。

・見ず知らずのジジイが、ウマのションベンを飲ませる
・ジャガイモを投げつける
・日村のアパートに火をつける

などなど。

ありえないドッキリに、日村は、じょじょにおびえる。

そのようすが、笑いをおこしていきます。

ふだん設楽さんが日村さんにしかけるイタズラを知る人には、楽しめるコント。

よく知らない人でも、設楽さんの発想力を味わえる。

〝Sっ気〟の笑いが好きな人には、ピッタリのコントです。

個人的に好きだったのは、「Loser」「一番大切な人」 ─ 。

以下、くわしくみていきます。

『Loser』

あらすじ

同僚の部屋で、合コンの作戦を練るふたり。

最終目標は、いま話してる部屋でエッチをすること。

待ちあわせのやり方、レストランでの会話など、女の子を連れこむまでの戦略はバッチリ。

しかし、部屋のようすがおかしい。

電気はつかず、水道も止まっている。

さらに日村が用を足すと、汚物がそのままのこる。

くわえて、女の子を誘う口実であるはずのトイプードルも、腐って死んでいて……

感想

プロットもうまいが、それ以上におもしろいのが、ふたりの掛け合い。

テンポよくしゃべり、いかにも「できるビジネスマン」のように話し合う。

しゃべればしゃべるほど、事態はわるいほうに転がるのに、「できるビジネスマン」のスタイルはくずさない。

そのギャップが笑いをひきおこします。

にしても、ふたりの演技はホントにうまい。

『一番大切な人』

こちらは恒例の長尺コント。

以下、概要&ポイントをみていきます。

人物

友人①(日村)
友人②(設楽)

場所

日村の部屋

あらすじ

ピエロの格好で喜ばせたりして、はるかちゃんをゲットしようとする日村。

彼女は設楽の恋人だが、自分が貸した80万を持ち逃げ ─ 。

すがたをくらましているすきに、キモチをうばおうとする。

とはいえ、はるかは設楽への想いを忘れられない。プレゼントされたハンカチを失くしただけでもヘコむほど。

そこへ設楽が帰ってくる。手にはカバン。「お金を返しにきた」と告げる。

怒りの収まらない日村。

罪を問いつめる。

しかし設楽は、「日村が自分にたいして何かを隠してる」と疑いだす。

自分の恋人「はるか」を狙っていると見抜き……

感想

はるかが失くしたハンカチ、設楽が手にもつカバンが、ストーリーのカギ。

オチで大事な役割を担っています。

プロットの展開に合わせながら、ピエロ姿の日村さんが、ダメダメっぷりをうまく表現している。

ふたりの動きは少ないが、そのぶん、構成がかなり練られています。

ミステリー小説を読んでいる感じです。

ちょっとした小道具や、何気ないセリフが、あとの展開で重要になっています。

テキトーにみていると、おもしろさが半減する作品です。

ポイント

笑いのポイントをみていきます。

コントで大事なのは、キャラクターとプロット。

コントのプロットはとてもシンプル。

[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。

コントの書き方 ─ プロットの構成について

なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。

パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。

コントの書き方 ─ プロットの展開について

ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「交錯」だとわかる。

「交錯」では、ひとりの人物が、真相を隠したり、ワナをしかける。それにより、カンちがいする人物が、すじちがいのセリフを吐いたり、行動に出たりする。

そのようすが笑いを引きおこす。

この作品でも、友だちのカノジョを狙う日村が、設楽に自分のキモチを隠す。

設楽が失踪しているあいだ、はるかちゃんにアプローチした事実が、バレるのをおそれてアタフタする。

そのようすが、笑いを誘う。

図にすると、こんなかんじ。

構図 ─ 交錯
日村 ≠ 設楽のカノジョへアプローチ

・はるかちゃんを誘う日村
・日村の企みを見抜く設楽

日村 = 設楽のカノジョへアプローチ

さらに、バナナマンのコントは、〝 ナゾ解きの要素〟をくわえる。

そのために、観ている人を、ひきつけるようにつくられています。

ほんとにうまいなぁと思いますね。

まとめ

こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。

created by Rinker
ユニバーサル ミュージック