バナナマン『good Hi』感想&レビューです。

公演日 2006年8月
収録 Haraguro no Namaiki
cuckoo costume party
karaoke
panic Attack
赤えんぴつ
The pitiful two in the philippines

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、バナナマン『good Hi』。

10年以上まえの作品ですが、ふるい感じはしません。

バナナマン・ワールド全開です。

「二重思考人間」は、なにか言った瞬間、それとは反対の意味を口にしてしまう男のはなし。

キャラクター・コントですね。

「punks」は、ヤンキー2人が、脈絡なくもなく、ダラダラしゃべっていく作品。

ふたりが見ている湖に「ネッシーがいるかどうか」を話しあっています。

けれど、会話のテーマに一貫性がない。

その〝ぶっとびぐあい〟が、笑いをおこしていきます。

キャラクター・コントですが、「二重思考人間」よりもかなりインパクトがあります。

「a little weird」は、友人の設楽にたいして、日村が、ふだんから〝引っかかるコト〟を指摘するおはなし。

コントですが、キャラにのせて、日村さんが素の設楽さんのグチを話していくかんじです。

個人的にいいなぁと思ったのは、「先輩とオマエ」「for people」─

以下、くわしくみていきます。

『先輩とオマエ』

あらすじ

学園。

先輩と後輩の恋をえがく。

陸上部に所属する後輩の日村が、女子高生のゆきえにカラダをぶつける。

「おい、オマエ」とよびとめる先輩。

あやまる後輩。

これをキッカケに、ふたりは親しくなっていく。

後輩に恋をする先輩。

しかしお嬢さま育ちの先輩は、イギリスへ引っこすことに。

日本をはなれるまえに、先輩は、後輩に短距離走のタイムを「3秒縮めてほしい」とたのむ。

それまでまったくタイムを縮められなかった後輩。

深夜、必死に練習し……。

感想

キャラクター・コント。

ストーリーは平凡ですが、「おい、オマエ」が口ぐせの先輩と、どこかすっとぼけている後輩との掛けあいが、なんともおもしろい。

とくに、設楽演じる先輩のキャラクターが濃いので、後半はなにをするにしても、笑ってしまう。

ふしぎな雰囲気のコントです。

『for people』

こちらは恒例の長尺コント。

以下、詳細とポイントをみていきます。

人物

兄(日村) … 教師
弟(設楽) … 探偵

場所

小学校のプール

あらすじ

小学校の教師。

風鈴をプールのなかで割ってしまう。あらためて水を入れ直す。

そこにフラッとやってきた弟。話題は兄の恋バナに。

生徒の「あかね」である母に恋をする兄。

シングルマザーでお金に困っていたため「あかね」の教育費に100万円を貸す。

いっぽうの弟。

彼もまた、恋をしていた。

浮気調査のため、ある女を調べていたが、その相手に惹かれてしまう。

じつは、兄にところにやってきたのも、彼女に貸す100万を借りるため。

こばむ兄。

しかし言いあらそっていると、「あかね」の母と、浮気調査の相手の女が、同一人物だと発覚。

名まえは「かずみ」─ 。

ダマされたとあせるふたり。

我先にと、かずみに真相を問いただし、告白しようとするが……。

感想

ほかの長尺コントにくらべ、ストーリーに一貫性がありません。

とはいえ、笑ってしまうから、なんともすごい。

メインのプロットは、ダマサれているとも知らずに、兄弟が詐欺の女に恋をする点にある。

けれど、そこではあまり笑いおこらない。

むしろ、

・教師が生徒である「あかね」の水着を隠しもっている
・弟の悩みに、兄がテキトーにアドバイスする

こういった、あいだあいだにはさむ「小ボケ」のほうが、笑いをおこしている。

バナナマン好きは、この雰囲気が、なんともたまらない。

初見の人には、そこまでおもしろいとは思えないとかも。

けれど、何度かみると、じょじょにおかしくなる。

バナナマンさんの魅力ですね。

ポイント

笑いのポイントをみていきます。

コントで大事なのは、キャラクターとプロット。

コントのプロットはとてもシンプル。

[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。

コントの書き方 ─ プロットの構成について

なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。

パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。

ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「交錯」だとわかる。

「交錯」では、セリフやアクションによって真相をかくし、登場人物をカン違いさせる。それによって、スジ違いの発言する、もしくは、行動をおこす。

そのようすが見てる人を笑わせる。

この作品でも、「あかね」の母である「かずみ」が、サギ師である事実を隠し、兄弟から金を巻き上げる。その2人のアタフタぶりが笑いを引き起こす。

図にすると、こんなかんじ。

構図 ─ 交錯
かずみ ≠ サギ師

・金を貸してしまった兄
・かずみに貸す金を、兄から借りる弟

かずみ = サギ師

感想でもいったとおり、プロットの軸は、かずみにダマされる兄弟のアタフタぶり ─ 。

だけどそこでは、笑いはあまり起きていない。

・探偵である弟が、調査対象の「かずみ」に惹かれるエピソード
・教師の兄が、生徒の母の「かずみ」に恋をするエピソード

この2つをじっくりえがいて、ふたりともダマされてシーンににスポット当てれば、もうすこし笑いが生まれていたかも。

サイド・ストーリーに、時間を割きすぎている感じしましたね。

ただ、バナナマンクラスになると、こういうベタなパターンは好きじゃないのかもですね。

まとめ

こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。