| 公演日 | 2013年8月 |
| 収録 |
Cutie funny old man exeperienced singer 日村がゾンビになっちゃった。 赤えんぴつ Lucky charm |
どうも、コント作家のりきぞうです。
今回も、コント作品をレビューしていきます。
とりあげるのは、バナナマン『Cutie funny』。
「old man」は、設楽さん演じる「話ベタの男」がみせるドタバタコント。
日村さんのツッコミがさえています。
「exeperienced singer」はキャラクター重視のコント。
日村さん演じるベテラン歌手(芸名「青春坊や」)が、クセのあるしゃべり方で、笑いを誘います。
こんな話です。
そこそこのトシなのに、いまだデビュー当時の「学ランにジーパン」という格好でステージにあがる。
「ファンの夢を壊したくない」
「青春を謳歌している姿をみせることでファンも元気でいてもらいたい」
自信満々に語る「青春坊や」に、別れた妻から1本の電話。自分の娘がディナーショーを観にくるらしい。
それを聞いたとたん、緊張から自信をなくし、もう歌えないと子どものようにダダをこねはじめます。
大御所なのに、パンツ一丁でマッサージされたりするなど、インパクトあるキャラがみれる。
こっけいさが引き立てるように、マネージャーが淡々とした口ぶりで応じるあたりも good 。
なかでも、イチバンは「Lucky charm」。
以下、くわしくみていきます。
目次
『Lucky charm』
人物
リツコ(日村)
ミツオ(設楽)
アケミ(設楽)
リツコの父(日村)
場所
いなかの町
あらすじ
「ダルマまつり」を開催中の町。結婚を約束するミツオとリツコだったが、リツコの父は猛反対。
なやむミツオ。
すがるおもいで縁起モノのダルマをもって義父のもとへいくと、なんとあっさり認めてくれることに。
ダルマに感謝するミツオだったが、見知らぬ女とぶつかり、湖に落としてしまう。
するとふたたび父の反対にあってしまう。
そんななか、アケミが町に戻ってくる。彼女は家族でイザコザで、むかし父との婚約を破断にされた過去をもっていた。
そのときミツコと遭遇し、むかし自分を棄てた娘だと知る。さらに結婚をひかえているとわかり、自分と同じように婚約を解消させようと画策する。
いろんなジャマがはいり、結婚できないミツオとリツコだったが……
感想
なかなかまとめるのがむずかしい。
それだけプロットはフクザツです。
このあとアケミは、リツコの父からふたたびプロポーズされて、心を取りもどす。
そして、むすめに報告するんだけど、そのとき「あなたの大切な人を愛しています」って言い方をする。
じつはこのセリフをリツコはかんちがいする。「大切な人 = ミツオ」って受けとる。
そのためにリツコはカンカンになり、ミツオに婚約の解消をせまる。
ミツオはミツオで、それもこれも、ダルマを湖に落としたからだと思い込む。
こんなふうに、それぞれの思い込みが、話をすすめていき、笑いを生み出していきます。
計4人の登場人物を、バナナマンの2人だけでやりきるんだから、すごい。
構成能力、ありすぎです。
ポイント
笑いのポイントをみていきます。
コントでだいじなのは、キャラクターとプロット。
この作品ではプロットに注目してみます。
コントのプロットはとてもシンプル。
[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。
そのなかで「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。
パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。
それぞれの想いが行き交い、それぞれがカン違いしながら、話がすすんでいく。
ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「交錯」だとわかる。
「交錯」では、セリフやアクションによって真相をかくし、登場人物をカン違いさせ、ストーリーをすすめていきます。
観客は、誤解が誤解を生むようすを見て笑う。
笑いを引き起こす。
この作品でも、たとえばアケミが「大切な人を愛してます」というセリフをはく。
それがあやまって伝わり、アケミと父の結婚という事実がかくされたまま、リツコはミツオの浮気をうたがい、離婚の解消へとつながっていく。
図にすると、こんなかんじです。
・リツコがカン違い
・リツコがミツオに婚約の解消をせまる
・ミツオは、ダルマを失くしたから、フラれたと思い込む
・ダルマを手にするため、湖に飛びこむ
・カン違いとわかり、疑いが晴れる
ミツオ ≠ アケミの浮気相手
タイトルの「Lucky charm」は「ご利益」という意味。
ダルマそのものに幸運はないけど、それがもとで、リツコは誤解し、父からの結婚の認められる。
このあたりを結びつける構成は、ほんとにうまいです。
プロットのほかにも、アケミのキャラも Good 。
バナナマンのコントのなかでも、1、2をあらそう出来ばえです。
ぜひチェックしてみてください。
まとめ
こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。
ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。
ちがう記事ものぞいてみてください。
ではまた。
よきコントライフを〜。


