バナナマン『Love is Gold』感想&レビューです。

公演日 2015年7月
収録 CRAZY for YOU
wish
the Supernatural
AKEMI
赤えんぴつ
LOVED ONE 

どうも、コント作家のりきぞうです。

今回も、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、バナナマンの『Love is Gold』。

以下、気になる作品をみていきます。

『CRAZY for YOU』

オープニングのコント。

コンビニの女性店員に恋する男(日村)。

しかしストーカーまがいの行動がだんだんとわかっていく……。

プロットはシンプルですが、会話テンポがすばらしいです。

日村さんのキモキャラにインパクトがあり、一気にひきこまれます。

『wish』

日村さん演じる、育ちのいいお坊ちゃん。

「人生では愛と金、どちらが大事か」─ 。

こんな問いがうかび、さまざま人たちにふれ、こたえをさがしていく。

「チンピラ」「老人」などクセある人物たちが、彼らなりの回答をしめす ─ 。

その答えがあまりに独特で、笑ってしまいます。

ちなみに、その人物たちをすべて設楽さんが演じています。

バナナマンファンにとっては、おなじみの演出ですが、構成力がすごいですね。

『LOVED ONE』

30分以上の長尺コント。

全体のなかで、イチバンよかった。

キャラクターとプロットの運び方がマッチしていました。

以下、ポイントです。

人物

店主(日村)
客(設楽)……バツイチ

場所

田舎の食堂

あらすじ

地方の食堂にきた客。店主はわざわざこんな田舎に来た理由をきく。

別居中の妻の実家がここにある。離婚する意志を伝えにきた。男は打ちあける。はげます店主。

話のついでに店主は、自分の恋バナをはじめる。

さいきん東京から戻ってきた同級生。むかし好きだったが、ふたたび好意をいだく。

客は、その女こそ、自分の妻だと確信。こっそり店を出ようとするが、サイフを駅で落としことに気づく。

駅にもどりサイフを取りに行こうとする客。

しかし店主は食い逃げを疑い、客をその場に留める。客は店をなかなか出られず……

感想

30分以上あるため、コントというより喜劇にちかいかな。

この作品について、そこそこの年齢になったからつくれた、とラジオで設楽さんが言っていました。

言葉どおり、若い人よりも、人生の「ほろ苦さ」みたいのを経験した人にピッタリな作品。

離婚を決める夫に、叶わぬ恋をもとめる中年。「哀しみ」と「笑い」が同居する、不思議なコント。

バナナマンじゃないと、出せない味だなぁ。

ポイント

コントでだいじなのは、キャラクターとプロット。

この作品ではプロットに注目してみます。

コントのプロットはとてもシンプル。

[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。

コントの書き方 ─ プロットの構成について

そのなかで「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。

パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。

コントの書き方 ─ プロットの展開について

ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「交錯」だとわかる。

「交錯」は、隠した感情や事実がバレないように、ひとりの人物が、コトバやアクションを取りつくろうようすを描き、ストーリーを展開させる。

この作品でも、店主の恋する女性が、自分の妻だという事実がバレないように、客はどうにか店を出ようとする。

けれど、サイフをもたず食い逃げを疑う店主が引きとめる。

そのあいだ、店主が好きな女性が妻だと気づかれないように、取りつくろう。

このアタフタする姿をみて、観客は笑う。笑いを引き起こす。

図にするとこんなかんじ。

構図 ─ 交錯
店主が好きな人 ≠ 客の妻

・客が、自分が店主の「恋がたき」だと気づく
・店を出ようとするが、店主は引きとめる
・恋の相手が自分の妻だとバレないよう、取りつくろう

ミツオ ≠ アケミの浮気相手

食い逃げを阻止しようする店主。

自分の妻にホレる店主から逃れようとする客。

2人の駆けひきが、笑いをひきおこします。

このように、「交錯」の笑いでは、

・どんな事実を隠しているのか
・その事実が明らかになるキッカケはなにか
・明るみになるプロセスをどう描くのか

がポイントになります。

お手本としても、バナナマン作品は、学ぶトコが多いですね。

まとめ

こんなふうに、コント作品をみるとき、プロットの構図に注目してみると、より楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。