| 公演日 | 2014年5月~9月 |
| 収録 |
旅の達人 防犯 20年来の友人 角田の秘密 5年分の想い 許せる心 |
どうも、コント作家のりきぞうです。
きょうも、コント作品をレビューしていきます。
取り上げる作品、東京03『時間に解決させないで』。
第一線で活躍する3人 ─ 質の高いコントがそろっています。
『旅の新人』は、変わり者の新入社員が、トラブルをまきおこすストーリー。
『許せる心』では、フクザツな人間模様をえがきつつ、笑いをおこしています。
…
個人的に良かったのは、『20年来の友人』&『角田の秘密』 ─ 。
以下、くわしくみていきます。
目次
『20年来の友人』
人物
男(飯塚) … 交通事故で入院
友人①(豊本) … 高校時代から飯塚と友達
友人②(角田) … 大学時代から飯塚と友達
場所
病室
あらすじ
骨折で入院する飯塚。
そこへ、友人・豊本&角田が、お見舞いにやってくる。
飯塚がケガのいきさつはなしていると、豊本が「大学の頃にも、ウニをふんでケガをしたこと」を思いだす。
高校時代のエピソードで盛りあがる飯塚&豊本。
ふたりとは大学時代に知りあった角田は、はなしに入っていけない。
疎外感をいだく角田は……。
ひとこと
なんとかふたりのカンケーに入れるよう、角田は、飯塚のことを「さとし」と呼びはじめます。
いままで「名字」で呼ばれていた飯塚はとまどい、ツッコミをいれる。
呼び名をかえるときの違和感をコントした作品。
さすが東京03。うまいトコをついてきます。
みょうな疎外感をいだく角田さん。その演技もすばらしいです。
『角田の秘密』
人物
先輩(角田)
後輩(飯塚)
上司(豊本)
場所
オフィス
あらすじ
妻の手術をひかえ、しごとに集中できない先輩。後輩に悩みをうちあける。
とはいえ「ほかの社員に心配をかけたくない」「だまってほしい」とたのむ。
そのとき先輩の上司が帰ってくる。
すぐさま角田につめより、発注ミスで、会社に大損害を与えた事実をつたえる。
「左遷も覚悟しておけ」。
どなりつける。
ヘコむ角田だが、しばらくして、飯塚のほうへチラチラと目をやる。
察しない部下。
しびれを切らす角田はこっそり口にする。
「さっきの秘密、バラしていいよ」……。
ひとこと
角田さんがとくいとする展開ですね。
同情してもらおうと、上司役の豊本さんに、そーっと近づき、懐(ふところ)に入ろうとする。
それでも、ピクリとも動かない上司に、うろたえる。
そのリアクションに笑いがとまりませんでした。
ポイント
笑いのポイントをみていきます。
コントで大事なのは、キャラクターとプロットです。
この作品ではプロットに注目してみます。
コントのプロットはとてもシンプルです。
[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。
なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。
パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。
ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「逆転」とわかる。
「逆転」では、ひとつのできごとをキッカケに、それまでの立場が反転するようすをえがく
人物の地位 or 権威が、ひっくり返ることで、笑いをおこしていきます。
この作品でも、「だれにも言うな」とクギをさしていた上司 ─ 。
しかし、ピンチにおちいったとたんに、「みんなにバラしていいよ」と、手のひらをかえします。
このようすが、笑いをおこしていきます。
図にすると、こんなかんじです。
・上司、秘密をかくしておくように、部下にたのむ
・角田のミスで会社が大損害
・怒り心頭の部長
・左遷に追い込まれる上司
・上司、秘密をバラすように、部下に頼む
上司 < 部下
さいしょは「だまっていてほしい」とカッコつける、先輩の上司 ─ 。
しかし左遷の危機におちいると、状況はいっぺんします。
恥じらいもなく、
「いっぱい同情してほしい」
と、態度をひっくりかえします。
このようすが、笑いをもたらします。
逆転の構図は、わりとベタです。
なので、そぼくで、つまらなくなりやすい。
けれど、東京03の場合は、演技力があまりに高いので、ついつい引きこまれる。
コントでは、プロットだけが大事じゃない ─ そう思わせてくれる作品です。
まとめ
こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。
ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。
ちがう記事ものぞいてみてください。
ではまた。
よきコントライフを〜。


