ロッチ『ロッチラリズム』感想&レビューです。

発売年 2010年2月
収録 UFO
オープニングコント
インパラ
ハフハフ
学園祭
ボウズ
猿渡
ユーモアスクール
元カノが……
無の境地

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、ロッチ『ロッチラリズム』。

ロッチさんのライブを収録したものです。

『ボウズ』は、修行に興味のある女の子をめぐり、ふたりのボウズがやりとりするおはなし。

来るはずの女の子がドタキャン。

その事態にたいして、ふたりのリアクションが笑いをおこします。

『元カノ』が……は、別れたばかりの男を、友人がなぐさめるおはなし。

が、なぐさめているとちゅうで、元カノの秘密をぽろっとしゃべってしまう。

ここからストーリーが展開していきます。

全体をとおして、気軽にみれる作品ばかり。

さらっと笑いときに、おすすめです。

個人的に良かったのは、『インパラ』『猿渡』『無の境地』の3本。

以下、くわしくみていきます。

『インパラ』

あらすじ

アフリカのサバンナ。

ふたりの男が、動物たちをみている。

そのとき、いっぽうがインパラのフンを踏んでしまう。

友人が「はやく取れ」とうながしたとき、さっきフンをしたばかりのインパラが、チーターに食べられてしまう。

動物界の雄大さに感動していると、フンを踏んだ男に〝妙な同情心〟がおしよせる。

インパラのフンを、生前さいごの〝遺物〟だと思い、しみじみ観賞しはじめる。

クサいにもかかわらず、なかなかクツからフンを取らない男は……

ひとこと

発想がおもしろいコントです。

中岡さん演じる男が、目のまえで死んだインパラに同情心をよせる。

思いよせる対象が、インパラのフン ─ かなしみ/きたなさの対比が、笑いを起こします。

中岡さんの〝人の良さ〟が、みえかくれして、いいかんじでしたね。

『猿渡』

あらすじ

動物園。

飼育員同士で忘年会をおこなっている。

はじまりのあいさつのとき、ゴリラの飼育ひとすじの「猿渡」が、だいじな発表があると告げる。

自分の助手だった新人を、来年からパンダの担当に移動させる旨をつたえる。

一気にテンションが上がる新人 ─ 。

パンダ担当になったとたんに、まわりよりも〝格上げ〟になったと思いはじめる。

それまでお世話になった、先輩の「猿渡」にタメ口をきいていいのか、と言いだす始末。

さらには、ゴリラのことさえも、バカにしはじめる。

ゴリラひとすじの「猿渡」は、うっぷんがたまりだして……

ひとこと

動物の人気/不人気に応じて、まわりスタッフへの態度をかえる新人 ─ かれの豹変ぶりと、猿渡の〝みじめさ〟が笑いの軸になります。

パンダの担当になったことで、妙な優越感にひたる男。

新人にたいして、

「パンダもゴリラもない! 動物はみんな平等だ!」

と、さけぶ先輩飼育員のセリフが、かなりツボでした。

『無の境地』

あらすじ

とある山中。

男が滝で修行をしている。

そこへ、ひとりの観光客が声をかける。

修行に集中し、気づかない男。

それでもお構いなしに観光客は、ひたすら声をかける。

びしょぬれの状態で、滝から出てくる男。

はなしをきくと、観光客は道に迷ったらしく、バス停の位置がわからないらしい。

「そんなことで、いちいち声をかけるな」
「無の境地にいたる道をジャマするな」

と、イライラする男。

それでもバス停までの道順を教えてやり、もう一度、滝行をやりなおす。

が、ふたたび、観光客が滝のまえにやってくる。

どうも道がわからず、バス停までたどりつけないらしい。

相手の「無の境地」などは気にせず、滝行している男に、またまた声をかけて……

ひとこと

バス停の位置を知りたい男 ─ かれのしつこさが、笑いの軸になります。

なかなか「無の境地」に達することができない男 ─ 中尾さん演じる修行僧の悲惨さが、より笑いをもたらします。

中盤、修行僧は、しつこい観光客に、しびれをきらす。

そのイライラと滝行の疲れから、倒れこみ、失神。

結果、かれのもとめていた「無の境地」に到達 ─ この流れは、なかなかうまいなぁと感じました。

まとめ

こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。