公演日 | 2016年6月〜7月 |
収録 |
パーティー ジーパン専門店 雪山にて 友達 音楽 自転車 山深い森 10年後 銀行強盗 再会 |
どうも、コント作家のりきぞうです。
きょうも、コント作品をレビューしていきます。
取りあげるのは、うしろシティ『すばらしく眠い』。
7回目の単独ライブを収録したものです。
『友達』では、キョーレツな個性をもつキャラを軸に、笑いをおこしていきます。
キャラだけみると、この人物がイチバンおもしろい。
名まえだけでも笑えます。
今回は、作品どおしがリンクしている構成になっているので、イチから順番に観ていくのがオススメです。
…
個人的に好きだったのは、「雪山」、「自転車」、「10年後」です。
以下、くわしくみていきます。
『雪山』
あらすじ
雪山で遭難した男。 山小屋の主人に助けられる。
ついでに食事までいただくが、出てくる料理が、こだわりのラーメンだったり、ニューヨーク塩でつくってカップ麺だったり。
下山したあと、「なんの変哲もない食事が、サイコーにおいしかった」と言うつもりだった男は、〝いっぷう変わったメニュー〟にハラがたってきて……。
ひとこと
さらに山小屋の主人は、お酒までふるまってくれます。
しかしそれは雪山では定番のウィスキーではなく、カシスオレンジ。
スタンダードをもとめる男は、さらにイライラしてきます。
あいかわらず展開のさせ方がおもしろいですね。
わざわざウィスキーの容器にいれて、カシスオレンジを差しだす主人。
「胃がカッカしてあったまるよ」
ボケのフリもうまいです。
ちなみに、ぜんぶをとおしでみると、この主人のバックボーンがわかるしかけになっています。
ほかのタイトルを飛ばさずに観るのがオススメです。
『自転車』
あらすじ
三輪(さんりん)をはずして、自転車に乗るこども。
お父さんにささえてもらい、練習中。
チラッとふりかえると、自転車をささえていたのは、まったく知らないおじさん。
怖がる子どもにたいして、おじさんは、ダンディーな口調でせっする。
さらに子どもから自転車をうばい、乗ろうとする。
しかしおじさんは、うまく乗れず、そのままたおれる。子どもにささえてもらっても、やっぱり乗れない。
起きあがるおじさんは、自分が何者かを語りはじめ……。
ひとこと
おじさんの正体もおもしろいですが、ふりかえったときに、〝見知らぬひとが自転車をささえていた〟という発想がよかった。
このシーンは序盤におかれますが、コントのつかみとしてもバッチリでした。
ちなみにこの見知らぬおっさんも、ぜんぶをとおしてみると、どんな人物なのかわかるようになっています。
つながるかんじが、なんとも気持ちいいですね。
『10年後』
あらすじ
高校の卒業以来、10年ぶりに再会する友人ふたり。
いっぽうの金子は、たまたま遭遇したとおもうが、もういっぽうの阿諏訪は、〝高校のときの約束を果たすためにきた〟とおもう。
気まずい金子。
忘れていたことをごまかし、約束について熱く語る阿諏訪に、はなしを合わせるが……。
ひとこと
プロットの軸がしっかりしている作品です。
コントのプロットにはパターンがありますが、このおはなしは「交錯」にあたります。
構図については、つぎの記事で書いたので、参考にしてください。

忘れているのにもかかわらず、阿諏訪に合わせる金子は、じょじょに追いつめられていきます。
〝がんじがらめ〟になっていくプロセスが、笑いをおこしていきます。
金子といっしょに約束をした、もうひとりの友人。
阿諏訪は彼にも電話をかける。
約束の中身を知るチャンスとおもい、ケータイをよこどりしますが、その友人も忘れている……。
阿諏訪に合わせて、「約束を忘れるなんてサイテーだ!」とブチギレるシーンは、イチバンの笑いどころです。
『銀行強盗』
強盗の人質になったふたり。
いっぽうの男(金子)が、「自分たちで犯人を取りおさえよう」と持ちかける。
真剣なまなざしでプランをはなすが、とちゅう「おまえの顔、なんかムカつくな」と、いきなり悪口を言いだす。
とはいえ、なにごともなかったように、プランのはなしをつづける男。
もういっぽうの人質(阿諏訪)は聞きながすが、ふたたび「おまえの顔、なんかムカつくな」の一言。
ひっかかる協力者は、男のはなしをとめて……。
ひとこと
このあと〝なぜ悪口をはさんだのか〟─
そのワケがあきらかになります。
いきなり悪口を言いだすタイミングが、おもしろい。
緊迫した状況のもとで、しょーもない口ゲンカをはじめる展開もいいですね。
まさに喜劇ってかんじです。
ののしった理由について、男はもっともらしく語りますが、たのもしいしゃべり方に反して、ピントがズレているのも、笑えます。
たぶん納得できないとおもいます。
ぜひ本編をごらんください。
まとめ
こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。
ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。
ちがう記事ものぞいてみてください。
ではまた。
よきコントライフを〜。