かもめんたる『下品なクチバシ』感想&レビューです。

公演日 2014年2月〜3月
収録 とある夫婦の夜
相談
始まりは電気シェーバー
声。
バージンロボット
I 脳 YOU.
全ての女優に幸あれ!
ちょっと長い結びのコント

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、かもめんたる『下品なクチバチ』。

個人的によかったのは、『相談』『始まりは電気シェーバー』『声。』の3本。

以下、[あらすじ → ひとこと]の順で、くわしくみていきます。

『相談』

あらすじ

飲み屋。

「会社を辞めたい」と言う後輩。

先輩は親身になって相談にのるが、妻からくりかえし電話がかかってくる。

「玄関にサルが死んでいる」

妻は精神的に追い込まれているようで、ありもしないウソをつくように。

「わたしの相談に乗ってる場合ですか」
「もっと奥さんのことを心配したほうがいいんじゃないんですか」

後輩のほうが先輩を心配になり……。

ひとこと

わかりやすいプロットです。

立場がひっくりかえるパターンで、構図でいえば「逆転」にあたります。

コントの書き方 ─ プロットの展開について

かもめんたるさんならでは〝狂気〟もかいまれて、バランスのとれたコントです。

「サルが玄関で死んでる」

どんなウソをつくんだ(笑)

『始まりは電気シェーバー』

あらすじ

電気量販店にやってくる男(岩崎)。

店員(槙尾)にたいして「このまえ、あなたのススメで購入した電気シェーバーが盗まれた」とつたえる。

クレームかと思いきや、とつぜん「縁」について語りだす。

あなたと出会い、買わなければ、盗まれることもなかった。

「縁」って何でしょう?

あっち系(=スピリチュアル系)の客に、警戒する店員だったが……。

ひとこと

なにをするかわからない不気味さをもつ客。

けれど、じつは〝あっち系〟を演じているだけで、マトモだとわかる。

むしろ店員のほうが、サディスティクなくらい利益を追求する男で、おそろしい。

この対比は、かもめんたるのおふたりにもいえます。

岩崎さんのほうがブキミで、槙尾さんのほうがまっとうにみえますが、じつは逆。

槙尾さんのほうが〝底知れぬ怖さ〟をかんじます(笑)

反転するさまが、かもめんたるの魅力ともいえます。

『声。』

あらすじ

上京したてのふたり。

かたほうのアパートに、もういっぽうが遊びにくる。

おたがいクセのあるカン高い声でしゃべる。

ふたりともこの声がコンプレックスで、そのために「声優学校」に入り、プロをめざすとわかる。

しかし、遊びにきた友だち(岩崎)が部屋をあとにすると、アパートの友だち(槙尾)は〝フツーの声〟にもどる。

どうやら声優でのしあがるために、ワザと〝カン高い声〟を出していたようで……。

ひとこと

ここでも槙尾さんの怖さが出ていますね(笑)

とはいえ、このあと岩崎さん演じる友だちも、〝カン高い声〟をつくっていたとわかり、ののしり合います。

どっちが〝カン高い声〟をつかう権利があるのか。

バカバカしくも、将来のかかった争いがはじまります(笑)

まとめ

ほかにも「働きたくない男」をえがいた連作コント『とある夫婦の夜』『ちょっと長い結びのコント』などが収められています。

こちらは展開が〝SFちっく〟で、好みがわかれるかもしれません。

今回も、かもめんたるさんの持ち味である〝ブキミさ〟と〝笑い〟がミックスされたコントを堪能できました。

この手の笑いに興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。