バナナマン『kurukuru bird』感想&レビューです。

公演日 2006年8月
収録 kurukuru bird
宮沢さんとメシ
too EXCITED to SLEEP
青い鳥
キャンプファイヤー
LAZY

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、バナナマン『kurukuru bird』。

「花鳥風月」シリーズの「鳥」にあたる作品です。

10年以上前の作品ですが、古いとは感じません。

個人的に良かったのは、「宮沢さんとメシ」「LAZY」─ 。でした。

ふたつともストーリー重視で、コントより喜劇にちかいです。

「キャンプファイヤー」の雰囲気も好きです。

分量の都合からカットしますが、こちらもおすすめ。

自己肯定感に満ちたキャラクターを設楽さんが演じています。本人にマッチした役柄ですね。

ちなみにこのコントは、「東京03」とのコラボ作品『hand made works』で、続編というかたちで収録されています。

興味ある方はチェックしてみてください。

『宮沢さんとメシ』

バナナマンのコントのなかでベストファイブに入る作品。

彼らのオススメのコントを聞かれたら、これを出しておけばまちがいないありません。

それくらいのできばえです。

あらすじ

たまたま友人に会ってメシに誘われる。

弁当を買ったばかりで断る。

しかしじつはその食事に「宮沢りえ」が来るとわかる。

手のひらを返し、あらためて誘いにノる。

感想

おおまかなストーリーはコレだけ。

けれど、設楽さん&日村さんの演技がうますぎて、ふたりのかけひきだけをみるだけで、おもわず笑ってしまう。

コントに吸い込まれる。

セリフのテンポ、ストーリーの流れが、完ぺき。

若手の芸人さんも、お手本にしていると多いはず。

それくらいすばらしい作品です。

『宮沢さんとメシ』

恒例の長尺コント。

30分ちかくあります。

以下、概要とポイントをみていきます。

人物

友人①(設楽)
友人②(日村)

場所

マンションの一室

あらすじ

ルームシェアをする、友人ふたりが、引っこしの作業をしている。

性格がルーズな設楽 ─ 。

日村の妹「カオリ」との結婚も、いまになって伝える。

そのために、日村は家賃を払えなくなり、マンションを引き払うことに。

ズルズルした設楽に不満を口にしているとき、エミコちゃんを思い出す。

2年まえに設楽と付きあっていたが、ほったらかしにしている、と指摘 ─ 。

付き合い自体を、否定する設楽。

じつは日村は、エミコに恋をしていた。

当時の日記を証拠に、ふたりの仲を追求していく。

そのときの日記を確認すると、たしかにエミコは、設楽に〝好意をよせている〟かんじ。

とはいえ、はっきりはしない。

しかし、さらに日記を読みすすめると、エミコが好きだったのは日村のほうだとわかってくる。

その事実に気づかなかったのは、設楽のだらしなさが原因だった。

真相を知った日村は、2年ぶりにエミコに電話をかけるが……

感想

日村さんがつけている日記を手がかりにストーリーがすすんでいきます。

恋愛がテーマですが、スタイルは推理小説と同じです。

2年まえ、エミコはだれが好きだったのか?

このナゾが、ストーリーを動かしていきます。

日村さんの〝非モテっぷり〟、そのために、ひね曲がった性格が全面に出ているトコも、Good でした。

ポイント

コントで大事なのは、キャラクターとプロット。

この作品ではプロットに注目してみます。

コントのプロットはとてもシンプル。

[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。

コントの書き方 ─ プロットの構成について

なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。

パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。

コントの書き方 ─ プロットの展開について

ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「交錯」とわかる。

「交錯」では、セリフやアクションによって真相をかくし、登場人物をカン違いさせ、ストーリーをすすめていきます。

このおはなしでも、2年まえ、「エミコと設楽が付き合っていた」と思いこむ日村が、証拠となる日記を持ちだして、事実を追求する。

しかし、設楽の証言とつき合わせていくと、エミコは設楽とは付き合っていないとわかる。

さらに、エミコが好きだったのは、日村だったという事実もあきらかになる。

日村の「かんちがい」「思いこみ」が、ストーリーをうごかし、笑いをひきおこす。

図にすると、こんなかんじ。

構図 ─ 逆転
エミコの好きだった人 ≠ 日村

・エミコが設楽と付き合っていると思い込む日村
・エミコが好きだったのは日村
・だらしない設楽が日村へのラブレターを渡し忘れていた

エミコの好きだった人 = 日村

友人の〝なまけぐせ〟(= LAZY)が原因で、じぶんの恋が、フイになる ─ 。

この展開が、笑いをひきおこします。

ほかにも、日記を読むとき、ストーリーとはカンケーない秘密を読みあげてしまうなど、あいまあいまの小ボケにも、くすっとさせられます。

まとめ

こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。