公演日 | 2007年8月 |
収録 |
uneducated a shocking move ギリギリセーフ SKYDIVING 赤えんぴつ No clue |
どうも、コント作家のりきぞうです。
きょうも、コント作品をレビューしていきます。
取りあげるのは、バナナマン『Spicy Flower』。
「花鳥風月」シリーズの「花」にあたる作品です。
10年以上前の作品ですが、古いとは感じません。
個人的に良かったのは、「a shocking move」と「No clue」でした。
両方ともストーリー重視のコントで、喜劇にちかいです。
目次
『a shocking move』
日村さん演じる男がはじめてのひとり暮らしをはじめる。
その引っ越しを友人の設楽さんが手伝いにくる。
はじめはいい物件だとホメているが、だんだんダメな箇所が見えてくる。
どうやら事故物件のようで……
感想
コントではおなじみの「引っ越し」をテーマにした作品ですね。
・窓は開けたら目のまえが墓場
・ケータイの電波が届かない
トンデモ物件でした。
「気にしない」と強がりながら、アタフタする日村さん。
ダメな箇所を冷静にツッコむ設楽さん。
ふたりのコントラストが、笑いをひきおこします。
『No clue』
こちらの作品は、恒例の長尺コント。
今回も30分以上あります。見ごたえ十分。
以下、概要とポイントをみていきます。
人物
SF作家(設楽)
編集者(日村)
場所
作家の仕事部屋
あらすじ
締め切りがもうすぐ
作家をせかす編集者。
けれど、ウダウダして、いっこうに筆がすすまない。
そこで編集者は、
「じつは今回をもって仕事をやめる」
「最後なので無事成功させたい」
と告げる。こうして、どうにか、原稿を書いてもらうように、うながす。
しかし、作家の専門はSF。
今回の発注は「恋愛もの」。うまくいかない。
そこで自分の実体験と、編集者の恋愛話をネタすることに。
恋愛のネタを提供するため、編集者はカノジョの「ミライちゃん」と電話する。
なぜか相手の機嫌がわるい。今日はカノジョの誕生日。忘れていた。
作家のほうは、ふたりのケンカから、構想が浮かんでくる。
さらにネタがほしいと、編集者にミライちゃんにも「仕事も辞めること」を伝えるよう、せかす。
しぶしぶ応じる編集者。
案の定、カノジョはカンカン。
作家は、原稿の方向性がはっきりしてくる。
いっぽう編集者は、カノジョとの仲が、わるくなっていき……
感想
本編は、よりフクザツです。
作家のむかしの恋や、編集者が仕事をやめ、小説家になりたいと思っていたり。
いろんな要素が絡んできます。
正直なところ、ストーリーを追うだけで精一杯。
「笑いの軸はコレ!」っていいにくい作品です。
とはいえ、ほのぼのした笑いにつつまれる。
あいかわらず、ふしぎな笑いを提供してくれます。
ポイント
つぎに笑いのポイント。
コントで大事なのは、キャラクターとプロット。
この作品ではプロットに注目してみます。
コントのプロットはとてもシンプル。
[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。
コントの書き方 ─ プロットの構成についてなかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。
パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。
コントの書き方 ─ プロットの展開についてストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「逆転」だとわかる。
「逆転」では、ひとつの出来事をキッカケに、それまでの立場や地位がひっくり返るシーンを描いて、ストーリーを展開させる。
状況が人物が反転するようすを示すことで、観てる人を笑わせる。笑いを引き起こす。
この作品でも、恋愛経験の少ない作家に、カノジョのいる編集者がネタを提供しようとする。
恋愛について、〝うえにたつ〟編集者 ─ 。
しかしカノジョとケンカし、ふたりのカンケーを悪化させてしまう。
いっぽうで、作家のほうは小説のアイデアが浮かび、原稿執筆のながれがみえてくる。
こうして、ふたりの立場が入れかわる。
終盤では、気を落とした編集者を、作家がサポートし、カップルのカンケーを修復 ─ 。
図にすると、こんなかんじ。
・自分の恋愛ネタを提供する編集者
・カノジョとの関係が悪化
日村 < 設楽
もちろん、笑いのドコは、これだけではありません。
とはいえ、大まかなプロットはこんな感じ。
逆転の構図によって、ストーリーを展開させ、笑いをつくり出しています。
ちなみに、ほかのバナナマン作品とくらべて、プロットが入り組んでいて、単純に笑える作品ではありません。
どちらかと言えば、〝ツウ好み〟のコントです。
とはいえ、フツーにみていても、笑えるところは、笑えます。
よければ、自分なりにチェックしてみてください。
まとめ
こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。
ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。
ちがう記事ものぞいてみてください。
ではまた。
よきコントライフを〜。