公演日 | 2012年7月 |
収録 |
プロローグ「運命の話」 絶対に負けられない戦い それいけ!ベートーくん マジカル☆中年 鬼 はやすぎた男 TABETA! 運命のスケジュール |
どうも、コント作家のりきぞうです。
きょうも、コント作品をレビューしていきます。
取りあげるのは、バカリズム『運命』。
『それいけ! ベートくん』は、歌ネタ。
『マジカル☆中年』では、哀しいおじさんをえがきながら、笑いをさそっていきます。
『運命のスケジュール』は、〝非現実な世界〟を描きながら、観てる人を考えさせる内容でした。
今回もバカリズムさんの世界を堪能できます。
年々コントの精度はあがっていて、この公演もかなりハイレベルです。
…
個人的に良かったのは、「絶対に負けられない戦い」、「はやすぎた男」、「TABETA!」 ─ 。
以下、くわしくみていきます。
『絶対に負けられない戦い』
あらすじ
とある大会の日本代表戦。
「日本、絶対に負けられない戦いだ」
試合まえ、気合いの入る実況アナウンサーが、力づよく叫ぶ。
「オーストラリアに 2-0 で勝利する必要がある」
予選を突破する条件を述べたあと、幕が暗転。
すぐさま幕がひらき、結果が判明。
「どーした、日本! 0-5 で完敗してしまった」
それでも、予選突破の条件をすかさず述べるアナウンサー。
「負けるな、日本!」
ふたたび暗転し、すぐさま幕がひらく。
結果は、フランスに 0-11 で負けてしまい……。
ひとこと
このパターンが計4回くりかえされます。
回をかさねるこどに、予選突破の条件がきびしくなる。
さいごは、別チームが〝試合放棄〟しないと、決勝トーナメントにいけないほど……。
試合実況のパロディです。(テレ朝系かな?)
たしかに「絶対に負けられない〜」っていうフレーズは、なんとなく違和感があります。
バカリズムさんも感じているのか、この〝きもちわるい〟雰囲気をコントにしてくれました。
プロットの流れもおもしろく、オチもよかった。
かなり皮肉のきいた作品です。
『はやすぎた男』
あらすじ
競技後の記者会見。
「100m走」で金メダルを取った選手が質問にこたえる。
ワールドレコードをたたきだしたものの、結果は「2秒76」。
〝いきすぎた〟数字に、観客 & 選手から白い目でみられる。
その結果、会見の場で謝まるハメになり……。
ひとこと
本来なら賞賛されるところを、人間ばなれした記録をたたき出したことで非難される。
「0.1」のペースで更新するところを、秒単位で塗りかえる。
〝段取り〟をふまない成績に、男は非難される。
なにごともバランスがだいじ。どんなにすばらしい成績でも〝いきすぎ〟れば、けなされる。
どこか教訓をふくんだコントです。
『TABETA!』
あらすじ
メールが主流のなか、手紙でやり取りをおこなう友人。
「黒ヤギさん」から手紙をもらう「白ヤギさん」。
内容を確認するため、さっそく手紙を読もうとするが、そのとたんすぐさま〝食べてしまう〟。
内容がわからず、とほうにくれる白ヤギさん。
しかたなく、おたよりの内容を手紙で送ることに。
返事をもらった「黒ヤギさん」は、その内容を確認することに。
しかしこちらも手にした瞬間に〝食べてしまう〟。
自分の本能に逆らえない「黒ヤギ」と「白ヤギ」。
それでもなんとか手紙を送りつづけるが……。
ひとこと
……と、あらすじを書いていますが、よくよく観ると、ストーリーはオリジナルの童話そのまんま。
では、なにがおもしろいかといえば、バカリズムさんによる「みせ方」。
得意の「フリップ芸」で、ふたり(二匹)のエピソードを紹介していきますが、その演出がおもしろい。
「ヤギ」とはいえ、フリップの絵が、なんとも〝人間らしく〟、ついつい手紙を食べてしまう性格がイヤになる。
自己嫌悪におちいり、友情のために本能に打ち勝てない自分を責める。
ヤギとはいえ、人間の心理を描いているため、どこか心につきささる。
全体をとおして、イチバン印象にのこりました。
オチもすばらしい。
まとめ
こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。
ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。
ちがう記事ものぞいてみてください。
ではまた。
よきコントライフを〜。