東京03『いらいら』(第9回)感想&レビューです。

公演日 2009年5月
収録 BAR
返信メール
人間ドック
友人の家
あの話
初デート
修学旅行

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、東京03の『いらいら』。

9回目の単独ライブを収録したものです。

『BAR』 & 『返信メール』は、角田さんが〝追い込まれる男〟を熱演しています。

ラストの『修学旅行』は長尺コント。

じっくりコントを観たい人には、おすすめ。

なかでもよかったのは、『友人の家』『あの話』 ─ 。

以下、くわしくみていきます。

『友人の家』

人物

同僚① (飯塚)
同僚② (角田)
不審者(豊本)

場所

マンションの一室

あらすじ

同僚をつれて帰宅する角田。そこになぜか友人(豊本)が。あきらかな不法侵入。

恐怖をおぼえる同僚ふたりにたいして、犯人の友人はいたって冷静。

その態度が、よりいっそう恐怖をかりたてる。

そのとき角田が「純金製のカバのオブジェ」がなくなってることに気づく。

友人を疑いたくない角田だったが、しぶしぶバックをしらべることに。

すんなりカバンをわたす豊本に、ふたりはひとまず安心。

しかしなかにはカバンの置きものがはいっていて……。

ひとこと

冷静なまま友だちの部屋へドロボーに入る男を、豊本ちゃんがみごとに演じています。

本人の雰囲気と役柄がマッチしています。

ドロボーが同僚の友人だと知り、絶叫する飯塚さんの演技もおもしろかった。

ふるえながら「おれ、はじめてナマのドロボーを見たよ」っていうセリフには、おもわず笑ってしまった。

ポイント

笑いのポイントをみていきます。

コントで大事なのは、キャラクターとプロットです。

この作品ではプロットに注目してみます。

コントのプロットはとてもシンプルです。

[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。

コントの書き方 ─ プロットの構成について

なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。

パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。

コントの書き方 ─ プロットの展開について

とはいえ、この作品のばあい、うまくパターンには収まらない。

盗みをはたらいているトコを友人に見つかっても、なに食わぬ顔で冷静な態度で接する。

それが不気味でもあり、おかしくもある。

しいてあげるなら「不条理系」の笑い。

「日常ベース」や「常識的な視点」をだいじにする、東京03にしては、めずらしいコントです。

『あの話』

人物

同僚① (角田)
同僚② (飯塚)
先輩(豊本)

場所

居酒屋

あらすじ

同僚が2人で飲んでいる。

そのとき先輩から角田へTEL。

「だいじな話があるから、いまから合流したい」 ─ 。

電話をきった瞬間、角田はあせる。

ちょっと前に、豊本のケータイが壊れるアクシデントがあったが、その犯人が自分だった。

「だいじな話は、きっとそのことだ」
「あの話にまちがいない」

サシで先輩と話したくない角田は、「飯塚も同席してくれ」とたのむ。

しぶしぶ応じる飯塚。

しかし到着した先輩がはなすのは「結婚ばなし」。

胸をなでおろす角田。

しかしホッとしたのもつかの間。

いきなり飯塚が「真相を隠したまま、お祝いできない」「正直にうちあけるべき」だと言いはじめる。

正義感にうながされた飯塚を、角田は説得するが……

ひとこと

これは東京03らしいコントです。

ふだんの生活で起こりそうな話をネタにしています。

それにしても展開がバツグンにうまい。

ちょい役だと思った同僚の飯塚が、後半、主役である角田の心理をグラグラ揺さぶる。

ポイント

ここで笑いのポイントをみていきます。

コントで大事なのは、キャラクターとプロットです。

この作品ではプロットに注目してみます。

コントのプロットはとてもシンプルです。

[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。

コントの書き方 ─ プロットの構成について

なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。

パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。

コントの書き方 ─ プロットの展開について

ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「交錯」だとわかる。

「交錯」は、隠した感情や事実がバレないように、ひとりの人物が、コトバやアクションを取りつくろうようすを描き、ストーリーを展開させる。

アタフタするすがた or 事態が明らかになっていくようすが、笑いを引きおこす。

この作品でも、角田のせいでケータイが壊れ、その真相を先輩にバラすと飯塚が言いだす。

それにより、同僚の飯塚にも、先輩の豊本にも、顔色をうかがうハメに。ケータイを壊したのが自分だとバレないよう、2人にたいしてアタフタする。

このようすが笑いを引き起こす。

図にするとこんなかんじ。

構図 ─ 交錯
角田 ≠ 犯人

・「白状しろ」とせまる飯塚
・真相がバレないよう、アタフタする角田

角田 ≠ 犯人

「交錯」では、真相がハッキリするまえに、人物がアタフタするようす or まわりがかんちがいするようすが、キーになる。

この作品でも、

・飯塚と先輩を2人っきりにさせないために角田がトイレをガマンする
・豊本が自分のケータイに飲み物をこぼし、壊れるのをねがう

などなど、角田のアタフタするようすを、えがいています。

まとめ

こんなふうに、ストーリーの構成に注目すると、よりコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。