シソンヌ『シソンヌライブ sept(セット)』感想&レビューです。

公演日 2018年8月
収録 代わりに読んで
車に乗るな
成美と百花
割烹SHU
野村くん、オーディションを受ける
カメラマンとアシスタント

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

とりあげるのは、『シソンヌライブ sept(セット)』。

タイトルどおり、7回目の単独ライブを収録しています。

シソンヌさんの魅力は、じろうさんのキャラにあります。

かれの「狂気がかった」性格が軸となり、笑いをおこしていきます。

『成美と百花』は、じろうさんの〝ブキミさ〟が全面に出ているコント。

はじめて演じる女性役にはまりこむ女性。

二重人格風の性格が笑いをおこしていきます。

個人的に良かったのは、『割烹SHU』『野村くん、オーディションを受ける』『カメラマンとアシスタント』の3本。

以下、くわしくみていきます。

『割烹SHU』


あらすじ

割烹料理屋。

弟子が独立した店をみるため、師匠が食べにやってくる。

お世話になったことを語る弟子「あきら」。

とはいえ、出した店の立地条件は、かならずしも良くない。

30年間、だれにも使われていない地下室。

さらに冷房をつければ、耐えきれないほどの「激臭」が室内に広がる。

こんなトコじゃ、お客が入らない ─ そう心配する師匠。

しかし弟子は、激臭を逆手にとり、ニオイに合わせた料理を提供する。

試食した師匠は、昇天するほど、ご満悦のようすで……

ひとこと

シソンヌさんらしい発想によるコント。

マイナスとマイナスをかけわせてプラスにするということは、よく聞きますね。

けれど、「くさい環境」&「くさい食べもの」をかけ合わせて、絶品の料理を提供する ─ こういった発想は、おふたりならでは。

いっぽうで、弟子の〝ヒネリをくわえた〟店づくりを尊重する師匠 ─ かれを演じる長谷川さんの演技が、ほんとによかった。

相手をみとめつつも、ところどころで、愛のあるツッコミをいれる。

その口調&間のとり方が、ほんとにうまいです。

じろうしんばかり強調されますが、長谷川さんあってのシソンヌだと、あらためて確認できる作品です。

『野村くん、オーディションを受ける』

あらすじ

会議室。

中学生「野村くん」が、オーディションにやってくる。

5時間以上の遅刻に、ごきげんななめの審査員「トリコロール滝沢」。

しかしいざ審査がスタートしても、独自のペースにもっていく、野村くん。

・苗字&名前のあいだに「の」をいれる
・オーディションにもかかわらず、審査員の素性をたずねる

などなど、トリコロール滝沢を、ホンロウさせる。

それでも、ゲイである自分と同じように、どこか「世の中になじめない雰囲気」を感じとった滝沢 ─ 。

イライラしながらも、野村くんに、これから生きていくうえでのアドバイスをほどこし……

ひとこと

こちらは、シソンヌライブでは、おなじみの「野村くん」が主人公のコント。

あいかわず、独特のしぐさ&口調で、やりとりする相手をとまどわせながら、笑いを起こしていきます。

また、こちらも同じように、どこか「人間味」のあるストーリー展開になっています。

今回は、審査員が「ゲイ」という気質を背負った人物。

「社会的マイノリティ」で、野村くんにも同じにおいを感じる。

「トリコロール滝沢」のキャラも笑えるいっぽう、かれが同情をよせる雰囲気が、どこかしみじみさせる。

みたあとに、どこかアタマにのこる作品になっています。

野村くんファンではなくても、ぜひみてほしいコントです。

『カメラマンとアシスタント』

あらすじ

撮影現場。

先輩カメラマンが、新人の後輩アシスタントに、はげしい口調で指示を出している。

叱られながらも、とぼけながら、ニコニコ対応する女性アシスタント。

どなりつけられながらも、なんとなくテンポが合うふたり。

しかしとつぜん、笑った顔で、

「訴えます」

と、先輩に告げる。

本気にとらない先輩。

けれど、どこか〝マジな感じ〟を受けったカメラマンは、アシスタントにたいして、

・スタバでおごる
・カメラをさわらせる

などなど、保険をかける。

だが、不安が的中し、アシスタントは、ほんとに弁護士をつれてくる。

突然の訴えに、理由をといつめる先輩 ─ 。

すると後輩は、

「あたしは、精神的苦痛を味わっていない」
「けれど、このままだと、いつか先輩は、ほかのひとから訴えられる状況におちいる」
「だから先に、あたしが訴えた」

と、告げる。

納得できない先輩は、訴えを下げるよう、求めるが……

ひとこと

「パワハラ」をテーマにした作品。

シソンヌさんのライブでは、ちょくちょく「社会性のある素材」がコントになりますね。

といっても、単純にパワハラは良い/悪い、と主張するわけではなく、シソンヌさんのキャラを登場させ、笑いにしていく。

今回は、あいてのことを思って、先に訴ええた後輩女性 ─ 彼女のふるまいが笑いの軸になります。

このあたりは、シソンヌさんにしか出せない発展ですね。

ホンロウされる先輩演じる長谷川のリアクションも、いいかんじです。

本作のなかでは、いちばんインパクトのあるコントでした。

ぜひチェックしてほしいと思います。

まとめ


こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。