インパルス『球根 Ⅱ』感想&レビューです。

公演日 2006年6月
収録 空港にて
家庭訪問
探偵
幼稚園
交番
葬式
博物館
東京タワー
旅館

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、インパルス『球根Ⅱ』。

単独ライブのもようをおさめたものです。

『空港にて』は、空港の手荷物シーンでのやり取り。

検査の入り口を通るだびに「ピーピー鳴る」搭乗客。

なぜ警告が鳴ってしまうのか ─ それにたいする検査員の言い訳・理由が、笑いをおこします。

『探偵』は、浮気調査を依頼するクライアントと探偵のやり取り。

調査報告をするものの、リサーチのなかみは、どうみても探偵がコンパして、カノジョができるまでの、おはなし ─ それでも調査費をはらうクライアントのイライラが、みどころです。

個人的に好きだったのは、『家庭訪問』『葬式』『旅館』の3本。

以下、[あらすじ → 感想]に順で、みていきます。

『家庭訪問』

あらすじ

リビング。

家庭訪問のため、教師がやってくる。

学校内での行動について、母親に説明する先生。

・イジメの主犯格で、ほかの生徒に暴力をふるっている
・お母さんのあなたが、叱らないから、横柄な態度に出ている

と指摘。

反省する母親 ─ 。

いっぽう、神妙は表情で、生徒「しげる」の〝非常識な行動〟を注意する先生だったが、言っている本人が、

・鼻をほじる
・出されたお菓子をバリバリ食べる
・くつ下をぬぎ、足の指をボリボリかく

などなど、汚いふるまいを連発 ─ 。

ガマンならないお母さんは……

ひとこと

言動/行動、言ってること/やっていることの対比・ギャップが、いいかんじで笑いをおこしています。

ベタな展開ながらも、ついつい笑ってしまいましたね。

『葬式』

あらすじ

父親の葬儀をとりしきるむすこ。

けれどお経を読むお坊さんがこない。

ようやく来たかと思えば、顔はアザだらけで、頭にはタンコブまでできている。

どうやらチンピラにカラまれたらしく、ボコボコにされたらしい。

心配するむすこをよそに、葬儀にとりかかるお坊さん。

「恩は石に刻め、アダは水に流せ」と説きつつ、穏やかな口調で、お経を読みはじめる。

しかし、いざ念仏を唱えると、

・とちゅうで舌打ちをくりかえす
・いら立つような声をあげる
・「もくぎょ」を、あのクソガキにみたてて、つよく叩く

などなど、暴行を受けたことを思い出し、怒りがおさまらない。

あまりの態度に、お経をとめる喪主のむすこだったが……

ひとこと

こちらも、穏やか/怒りの対比がきいていて、ほんとにおもしろいです。

とめに入る喪主のむすこにたいして、やんわりとした口調で、

「どう、なさいましたかな?」

と、ふりかえるときの表情は、なんともいえません。

はなしの設定が、バツグンにうまいコントです。

『旅館』

あらすじ

古びた旅館。

カメラを片手に客が泊まりにやってくる。

宿の女将が、部屋まで案内する。

「古めかしいとはいえ、まるで実家に帰ってきたみたい」

と感想をもらす客 ─ 。

すると女将は、

客にたいして母親のように接するサービスもおこなっている

と、すすめる。

せっかくだからと応じる客だったが、女将は、

「カメラなんか、やってないで、ちゃんと就職しろ!」
「さっさと、風呂に入ってこい!」

などなど、なれなれしく、ほんとの母親のように接する。

サービスとはいえ、どうも納得いかない客は……

ひとこと

こちらは「実家サービス」を軸に、はなしが展開していく作品。

20分以上の長尺コントになります。

女将演じる板倉さん、客演じる堤下さんのやりとりが、いいかんじの笑いをおこしていきます。

くわえて、ラストちかく、母親のように、女将が新しく買ってきた服をさしだす場面。

そのデザインが、めちゃくちゃおもしろかった。

「ガルフィー」という、イヌの絵柄のついたトレーナー ─ その謎のキャラクターが、じわじわと笑いを誘います。

その後、板倉さん演じる女将も、同じ「ガルフィー・トレーナー」を着てくるシーンも、爆笑もの。

小道具によって、反復の笑いをきかせるあたり、ほんとに構成がうまいです。

全体をとおして、イチバンよかったです。

まとめ

こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。