エレ片『コントの人 8』感想&レビューです。

公演日 2014年1月30日〜3月1日
収録 タワーマンション
ヘブンアーティスト
ねじまきミドリ
リュージュ
カフェ女子
全肯定人間

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、エレ片『コントの人 8』。

『カフェ女子』は、毒舌たっぷりのコント。

政治的、性愛的な禁止用語連発で、かなりきわどいです。

『全肯定人間』は圧巻でした。

下品なわけだけでなく、人間の本性にせまる意味で、知的な作品 ─ 。

コントの域をこえていますね。

パッケージのイメージとはことなり、『コント人 8』では、エレ片コントの質が、いっきに上がりました。

アホなコント以外にも、アタマのいい作品だって、つくれるんだ ─ 。

そんな心意気を感じさせるものでした。

個人的に好きだったのは、「タワーマンション」「ねじまきミドリ」「全肯定人間」 ─ 。

以下、くわしくみていきます。

『タワーマンション』

あらすじ

タワーマンションの住人3人。

50階の共有スペースにあつまり、高層階に住む人たちのワルグチを言いあう。

低層階のメリットをあげて、おたがいを励ましあう会をひらく。

しかし低層階の利点は、「家賃が安い」くらいしかない。

さらに仲間のひとり(片桐)は、ひそかに高層階にあこがれをいだき、自分の階とくらべて、30階以上の住人には土下座までする覚悟。

それをきいたもうひとりの仲間(やつい)は、35階に引っこすことになったと告げる。

じつはふたりともあいてをバカにしていたようで……。

 

共通の敵をおくことで団結していたふたり。

しかしじつは、敵であるはずの高層階にあこがれているとわかり、おたがいに憎しみが倍増する。

人間関係の負の部分を、笑いにかえています。

後半、やついさん演じる住人が、片桐さんに、土下座を強要するシーン。

なつかしき『半沢直樹』のパロディをとりいれているのが、なんともおもしろい。

『ねじまきミドリ』

あらすじ

劇団員の男女ふたり(今立 & 片桐)。

舞台で好評のコントを、お笑い作家にチェックしてもらう。

しかし〝かわいい店員に一目ぼれした客がすぐフラれる〟だけのネタで、なんのヒネリもない。

笑えないだけでなく、先輩の女劇団員が、後輩の劇団員に、むりやり「かわいい」と言わせているフシがみられる。

先輩のチカラをつかって、ブスなのに「美人」だと思い込ませていると気づいた作家は、後輩の〝洗脳〟を解こうとするが……。

 

小さな劇団で地位をきずき、自己満足をみたすためだけに演劇をやるオンナ。

そんなヤツを皮肉っています。

かなりブラックなネタです(笑)

コントの設定では、劇団員のふたりがみせるネタは〝つまらない〟ことになっていますが、あまりにヒネリがないため、ついつい笑ってしまいます。

作り手として、〝つまらない〟設定で〝おもしろく〟みせるのは、ムズかしいとおもいます。

苦労したんじゃないかなぁ。

『全肯定人間』

あらすじ

同僚の片桐 & 今立(片桐 & 今立)。

片桐は、だらしなく、部署を転々とさせられ、会社のお荷物になっている。

いっぽうの今立は、しっかり者で、仕事の評価もたかく、出世コースにのっている。

そんな同僚にシットする片桐。

そんなとき、今立が〝あいてのやることなすことを、ぜんぶ肯定してくれる〟ロボットをもってくる。

「コイツに〝ホメらていた〟から、今立は出世しているんだ!」

そう思いこむ片桐だったが、やさしい今立は、そのロボットを貸してあげることに。

おなじようにロボットは、だらしない片桐の行動をすべて肯定する。

努力する人を非難することにたいして、

「努力を否定するなんて、斬新な発想だなぁ」

ひたすらTwitterにワルグチを書くことにたいして、

「フォロワー「0」なのに、よくつづきますねぇ。持続力があるなぁ」

ネガティブな面を、なんでも肯定してもらった片桐は……。

 

エレ片コントのラストは、通常「仁子」が登場するポップでバカバカしいストーリーですが、今回はテイストがちがいます。

人間の〝おろかさ〟をあらわにする、ハイレベルは作品です。

はっきりいって、これまでのエレ片コントのなかでは、イチニをあらそうデキです。

この作品を観るだけでも、本ライブをチェックする意味はあります。

正直、エレ片にはバカバカしさしか期待してませんでしたが、これはかなり知的で、おそろしいくらい人間の本性をあばいています。

すばらしいのひとこと。

まとめ

こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。