公演日 | 2008年5月 |
収録 |
チーム 営業スタイル 卒業生 角田の紹介 火曜日の朝 儀式 義兄弟 |
どうも、コント作家のりきぞうです。
きょうも、コント作品をレビューしていきます。
取りあげるのは、東京03の『スモール』。
7回目の単独ライブを収録したものです。
けっこうまえの作品ですが、東京03らしさが出ています。
…
『営業スタイル』 & 『角田の紹介』は、角ちゃんのダメダメなかんじがよく出ている。
『義兄弟』は長尺コント。
…
個人的に、好きだったのは『卒業生』&『儀式』の2本 。
以下、くわしくみていきます。
目次
『卒業生』
[概要 → ポイント]の順で、みていきます。
人物
教師① (角田)
教師② (飯塚)
元生徒(豊本)
場所
職員室
あらすじ
職員室。
後輩の先生が中3のクラスを受けもつことに。責任の重さから不安になり、先輩の先生に相談する。
中3を生徒を担当すれば、卒業後に生徒がたずねる機会もある。それをはげみに、がんばれとはげます。
そこへ卒業生がやってくる。
さっきまでのアドバイスに反するように、角田先生の態度はよそよそしい。
「忘れた」とストレートに告げる。
「思い出してほしい」ともとめる卒業生にたいして、ついには逆ギレ。
「二度と学校に来てはいけない」とつきかえす。
ぼうぜんとする飯塚先生。
しかし、この生徒、芥川賞をとり、学校に報告するためにやってきた。
それを知った角田先生は、手のひらをかえして……。
ひとこと
まさに手のひら返し……。わかりやすいストーリーで、だれもが笑えるコントですね。
じつは卒業生は、飯塚先生から教えられていた。
ツッコミ役かなぁーって思っていた飯塚さんも、角田さんと同じようにキレる。
すこしヒネリをくわえた展開もよかったですね。
ポイント
ここで笑いのポイントをみていきます。
コントで大事なのは、キャラクターとプロットです。
この作品ではプロットに注目してみます。
コントのプロットはとてもシンプル。
[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。
コントの書き方 ─ プロットの構成についてこの作品でも、飯塚先生が、中3の生徒を受けもつ悩みを相談する。それをうけて、角田先生が卒業生に感謝されるのが励みになるとアドバイス。
これが「設定」にあたり、つぎの「展開」を決めていく。
「展開」では、ひとつのできごとをキッカケに、「設定」の状況を変えていく。
ここでは、〝じっさいにやってきた卒業生の名まえを、角田先生が思い出せない〟コトが、これにあたる。
このできごとが、「設定」の前提をひっくりかえす。
ラストの「オチ」で、手のてらをかえす角田先生が、卒業生をもてなす。
コントの構成は、こんなかんじです。
『儀式』
人物
先輩(角田)
後輩(飯塚)
新人(豊本)
場所
バイトの休憩室
あらすじ
むかしかなりのワルだったとウワサされる新人。ベテランの先輩はかまわずエラそうにしゃべる。
「むかしのことはカンケーない」
「おまえがどんなワルでも先輩の自分にしたがってもらう」
そこへ後輩がやってくる。すかさず「豊本くんって、人を殺したことあるんでしょ」とひとこと。
殺してはいないが、殺しかけたエピソードをかたる。
かたまる先輩。
態度をかえて、すぐ仕事にもどるようにうながす。
しかし後輩は、いつものように〝新人いじめの「儀式」〟をやろうとけしかける。
ふだんから「むかしはワルだった」と自慢しているてまえ、おそろしい新人をいじめようとするが……。
ひとこと
このあと「儀式」がスタート。
水のはいった洗面器に顔をうずめたり、ひざげりを食らわそうとする。
しかし恐怖心から、どれも遠慮がちに。
この先輩の遠慮がちにいじめるアクションが、笑いどころ。
ポイント
笑いのポイントをみていきます。
コントで大事なのは、キャラクターとプロット。
この作品ではプロットに注目してみます。
コントのプロットはとてもシンプル。
[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。
コントの書き方 ─ プロットの構成についてなかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。
パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。
コントの書き方 ─ プロットの展開についてストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、「逆転」だとわかります。
「逆転」では、ひとつの出来事をキッカケに、それまでの立場が反転するようすを描きます。
人物の地位や権威をひっくり返すことで笑いを生み出していきます。
この作品でも、序盤で、先輩が新人にエラそうな態度に出る。
中盤あたりで、新人が殺人未遂をおかした事実がわかり、終盤で、おびえる先輩が態度をいっぺんさせ、アタフタする。
このようすが、笑いをひきおこす。
図にするとこんなかんじ。
・殺人未遂をおかした新人
先輩 < 新人
「逆転」の構図では、キャラクターの立場をひっくり返す「出来事」がイチバンのキモです。
ストーリーの中盤くらいにもってきて、人物の立場をひっくりかえして、行動やキモチを変化させます。
このコントでも、じつは新人は殺人未遂をおかしているとわかり、それまで後輩に強くあたっていた先輩がおびえだす。
そのようすが笑いをひきおこします。
まとめ
こんなふうに、ストーリーの構成に注目すると、よりコントを楽しめます。
ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。
ちがう記事ものぞいてみてください。
ではまた。
よきコントライフを〜。