どうも、りきぞうです。
大学のころから、政治学・社会学の古典に親しんできました。
大学院時代は、人文社会系にすすみ、政治学・社会学を軸に、社会保障を研究していました。
同じように、政治・社会をあつかった名著を、読んでみようかなぁと思う人もいるかと思います。
とはいえ、
・たくさんあって、どれから目を通せば良いのか、わからない
・とくにおすすめの作品は、どれ?
─ こんな悩み&疑問をいだく人も多いはず。
答えは、つぎのとおり。
りきぞう
・年代順に読んでいくと、思想・哲学の流れが、よくつかめる
・ 時間がない人は、とりあえず『政治学』『君主論』『永久平和のために』『社会契約論』の4冊がおすすめ
政治・社会をあつかった古典・名著といっても、そこまで多くありません。
せんぶで、20冊くらい。
一覧をあげると、こんなかんじ。
・アリストテレス『政治学』(BC.325年ごろ?)
・キケロ『法律について』(BC.52年)
・アウグスティヌス『神の国』(426年)
・マキャベリ『君主論』(1532年)
・ホッブス『リヴァイアサン』 (1651年)
・ロック『統治二論(市民政府二論)』(1689年)
・ヒューム『道徳政治論集』(1741年)
・モンテスキュー『法の精神』(1748年)
・カント『永久平和のために』(1759年)
・ルソー『社会契約論』(1762年)
・バーク『フランス革命の省察』(1790年)
・ヘーゲル『法哲学講義』(1821年)
・トクヴィル『アメリカのデモクラシー』(1835年)
・マルクス『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』(1852年)
・ミル『自由論』(1859年)
・デュルケム『自殺論』(1897年)
・レーニン『帝国主義論』(1917年)
・ヴェーバー『職業としての政治』(1919年)
・オルテガ『大衆の反逆』(1930年)
・シュミット『政治的なるものの概念』(1932年)
・アレント『人間の条件』(1958年)
リストアップした作品にふれておけば、政治・社会系の古典は、ほぼカバーできます。
そのうえで、年代順にくだりながら読めば、思想・哲学の流れを把握できます。
とはいえ、時間がない人は、
・マキャベリ『君主論』
・カント『永久平和のために』
・ルソー『社会契約論』
の4冊に目を通すのが良いです。
どれも、ほかの作品はもちろん、歴史的なできごとにも影響を与えたからです。
以下、目次にそって、[背景 → ポイント]をあげつつ、みていきます。
政治・社会をあつかった古典・名著を読むうえで参考にしてみてください。
目次
プラトン『国家論』
成立年 | BC.375年ごろ? |
構成 |
第1巻 「前奏曲」 第2巻〜第4巻 〈正義〉の定義」 第5巻〜第7巻 理想国家のあり方と条件」 第8巻〜第9巻 不完全国家とそれに対応する人間の諸形態」 第10巻 詩(創作)への告発 |
背景
アテナイのケパロスの家で、ソクラテスがおこなった議論がベースになっています。
「老い」「富」につづき、「正しさ」について、討論がなされていきます。
つづいて、プラトンの兄「グラウコン」「アデイマントス」がソクラテスの相手となり、「国家」のあり方について問答がなされます。
ポイント ─ 「洞窟の比喩」「哲人政治」
ポイントは、つぎの2点です。
洞窟の比喩
「洞窟の比喩」とは、イデア論を説明するための「たとえ話」。
洞窟に住む縛られた人びと ─ 。
かれらが見ているのは「影」だが、「実体」だと思いこんでいる。
さらに「実体」をもらたらす声が、洞窟の奥にから聞こえてくる。
すると、思いこみはますます確信に変わる。
この状況と同じように、われわれが現実に見ているものは、イデアの「影」にすぎない ─ 。
哲人政治
「哲人政治」とは、理想国家における君主のあり方。
「善のイデア」を知った者こそが、統治者たりうる。
くわえて、
・寡頭
・民主
・僭主
・独裁
など、ほかの政体と比較して、哲人王による統治が、いちばん優れている。
ひとこと
「洞窟の比喩」のたとえ話で、イデアの実在性を主張します。
いっぽう、「哲人政治」というキーワードをあげて、理想的な君主のあり方について述べます。
プラトンの国家論を、ストレートに表しているのが、本書です。
アリストテレス『政治学』
成立年 | BC.325年ごろ? |
構成 |
第1巻 国家の定義・共同体性 第2巻 既成の国家論・優良国家の検討 第3巻 国家の部分、国制の分類 第4巻 種々の現実の国制 第5巻 国制の変革 第6巻 民主制・寡頭制の維持 第7巻 国家の善と教育1 第8巻 国家の善と教育2 |
背景
アリストテレスの講義がベースになっています。
本人なのか、生徒&親族が編集したのか、わかっていません。
本書のテーマは、タイトルどおり「ポリス」について。
定義からはじまり、いかに統治されるべきか、についてのべていきます。
ポイント ─ 「ポリス的動物」「3つの政体」
ポイントは、つぎの2点。
ポイント的動物
ひとは「ポリス的動物」である。
人間は「善」をめざす存在。
いっぽう、ポリス(共同体)において「最高善」が達成される。
なので、ひとがポリスをもつのは、当然といえる。
3つの政体
あらゆる共同体は、
・貴族制(=2人以上による統治)
・国制(=多数にによる統治)
─ 3つの政体に分類できる。
けれど、どの政体も、
・貴族制 → 寡頭制
・国制 → 民主制
へ堕落する危険性をはらんでいる。
メリット/デメリットをふまえると、そのなかでも「貴族制」が、いちばんマシといえる。
ひとこと
本書で、有名な「ポリス的動物」について議論が展開されます。
いっぽう、政治学では定番の「3つの政体論」についても述べています。
どちらも、その後の政治・社会にかんする議論で、大きな影響をあたえました。
また、政治にかぎらず、グループ or コミュニティを考えるうえも参考になります。
ただし残念なのが、翻訳に恵まれていないこと。
むかしの翻訳本は、どれも品切れ。
最新の翻訳は、4000円以上と、高額です。
それでも中古本なり、図書館で借りるなりして、チェックしてほしいと思います。
キケロ『義務について』
成立年 | BC.52年 |
構成 | ? |
背景
キケロ自身は、思想家である同時に、ローマの政治家でもありました。
[プラトン → アリストテレス]など、ギリシャの国家論をふまえつつ、ローマ帝国期の国家の在り方について論じます。
本書は、ヨーロッパにおける自然法思想の原点とされる名著です。
ポイント ─ 「自然法」「国家(res publica)」
ポイントは、つぎの2つです。
自然法
法は、「自然の理(ratio)」に基礎をおくべきである。
というのも、「善」の根拠は、自然にあるから。
また、人間においては「理性(ratio)」こそが、「自然の理(ratio)」にあたる。
この法律のあり方を「自然法」とよぶ。
国家(res publica)
「国家(res publica)」とは、公共の利益を実現する団体である。
そのうえで、「自然の法則(lex)」と「人間社会の法律(lex)」が同じ原理で、働いている必要がある。
なので、国家の統治者は、理性にもとづく、高い倫理性が要求される。
ひとこと
本書は、のちの「自然法思想」に大きな影響をあたえました。
ロックも、カントも、キケロの思想を参考に議論を展開します。
ただし日本ではあまりメジャーではなく、翻訳も恵まれていません。
いちおう『世界の名著』(中公)に収録されています。
いっぽう、最新の翻訳は、『選集』にあたるしかありません。
アクセスのわるさが難点です。
アウグスティヌス『神の国』
成立年 | 426年ごろ |
構成 |
第1部 第1巻〜第5巻 ローマへの批判 第6巻-第10巻 異教徒の哲学への批判 第2部 第11巻-第14巻 2つの国の起源 第15巻-第18巻 その歴史・進展 第19巻-第22巻 待ち受ける運命 |
背景
アウグスティヌス後期の主著です。
これ以前、「ゴート族によるローマ陥落」という歴史的事件がおこります。(410年)
このできごとによって、キリスト教への非難が、吹き荒れます。
神学者であった「アウグスティヌス」が、これに答えるかたちで書いたのが、本作です。
ポイント ─ 「地の国/神の国」
ポイントは、つぎの2つです。
「地の国/神の国」
地の国とは「世俗世界」、神の国とは「(イエス由来の)愛の共同体」。
神の国は、現実世界で「善」を実現するための指針となる目標。
教会もまた「地の国」が入り混じっている。
それでも魂の救済を司る権威として、「善」を追求すべきである。
ひとこと
いっぽう本書では、ひとの「自由意志」についても、ふれています。
議論があいまいなため、以後、アウグスティヌスの自由意志については、2つの立場があります。
・救いにおける自由意志を、積極的に認めたとする立場
「予定説」が普及する状況下で、アウグスティヌスが「自由意志」を、どのようにとらえていたのか ─ 。
本書では、この点についてもふれています。
マキャベリ『君主論』
成立年 | 1532年 |
構成 | 全26章 |
背景
外交官「マキャヴェッリ」が、フィレンツェ共和国で失脚したあとに書かれました。
当時イタリアは、多くの小国に分裂し、おたがいに敵対し合う状況にありました。
きびしい国際情勢のなか、君主のあり方を論じたのが、本書です。
ポイント ─ 「力量(virtù)」「狐の狡猾さ」
ポイントは、つぎの2点です。
力量(virtù)と運(fortuna)
君主が、国をうまく統治するには、「力量(virtù)」が大事、と説きます。
いっぽう、生きのこる君主は「運(fortuna)」もそなえている。
力量によって運命をたぐりよせる ─ それがうまく国を運営するコツ。
狐の狡猾さ
国を統治するさい、君主は、信じすぎずも、疑いすぎてもいけない。
バランスのとれた、ずる賢い態度・思考で、支配するのが大切。
いっぽう、愛される君主/恐れられる君主をくらべるなら、恐れられるほうが、はるかに安全。
また、戦いにおいて、策略によるもの/武力によるものがあるが、2つを使い分ける必要がある。
そうじて君主は、狐の狡猾さに似た、柔軟性が求められる。
ひとこと
その後、政治・社会の議論に、大きな影響をあたえました。
さいきんでは、企業組織のリーダー論としても、注目されています。
内容は、かなり実践的で、読んでいて、めちゃくちゃおもしろいです。
ちなみに、翻訳については、たくさん種類が出ています。
どれも読みやすく、ちがいはありません。
わたしは、メジャーな「池田訳」(中公文庫)で読みました。
ホッブス『リヴァイアサン』
出版年 | 1651年 |
構成 |
第1部 人間について 第2部 コモンウェルスについて 第3部 キリスト教的コモンウェルスについて 第4部 暗黒の王国について |
背景
クロムウェルが政権を掌握して国王のチャールズ2世がフランスへ亡命した時期に書かれました。
イギリス市民革命が起きた混乱期に出されたのが、本書です。
ポイント ─ 「万人の万人にたいする闘争」「自然法」
ポイントは、つぎの2点。
自然状態=「万人の万人にたいする闘争」
国家・共同体は、いつでも、自然状態(=万人の万人にたいする闘争)におちいる危険性をはらんでいる。
ここでいう闘争状態とは、武力による戦闘状態ではない。
おたがいが信用できない「相互不信状態」をさす。
政治の役割は、自然状態の解消にある。
自然法
では具体的に、自然状態を、どのように解決・解消するのか。
やり方は、2つ。
1つは、理性にもとづいて、それぞれが、お互いに同意できるような平和条項を考えだすこと。
このルールを「自然法」とよぶ。
もう1つは、平和 or 自己防衛のかぎりおいて、それぞれが、権利を放棄する方法。
闘争の原因である権利をなくすことで、自然状態を解消することができる。
ひとこと
近代の国家論に、大きな影響をあたえた作品です。
翻訳については、「光文社古典新訳文庫」がおすすめです。
というのも、いちばんのキモである「第1部」「第2部」のトコだけを、わかりやすい文章で翻訳しているからです。
ショージキ、「第3部」「第4部」は、キリスト教社会への批判ばかりで、いまのひとが読んでもピンときません。
まずは、「第1部」「第2部」を光文社版で読み、よりくわしく知りたいなら、ほかの翻訳にうつるのがベターです。
ロック『統治二論(市民政府二論)』
出版年 | 1689年 |
構成 |
第1論 全11章 第2論 全19章 |
背景
「名誉革命」(1688年)の2年後、「王の正統性を、人民の同意のうちに基礎づけること」を目的に書かれました。
ホッブスは、「社会契約=国民が主権を国家に委譲した状態」と定義しました。
いっぽうロックは、市民が国家にたいして、抵抗権・革命権をもち、行使できることも、社会契約のうちにふくまれる、と本書で示しました。
『統治二論』は、アメリカ独立宣言&フランス人権宣言に影響をあたえました。
ポイント ─ 「所有権(property)」「信託による政治社会(political society)」
ポイントは、つぎの2つ。
所有権(property)
ホッブスにならい、ひとの自然状態を考えてみる。
そこから、ひと本来の権利も考える。
自然状態とは、自然法の範囲内において、自由な状態をさす。
そこには、主従関係はなく、平等な状況がたもたれている。
当然、各個人の「所有権」も認められている。
所有権の起源は労働であり(=労働価値説)、これこそ、すべてのひとがもつ権利といえる(=自然権)。
したがって、権利が侵害されれば、被害をうけたほうは、抵抗する権利をもっている(=抵抗権)。
「信託による政治社会(political society)」
自然状態では
・公平な裁判官
・判決を正しく行使する権力
が欠けている。
そのため、
・執行権
・司法権
を理解している者にたいして、自然権を移譲・信託し、秩序をもたらす必要がある。
こうして成り立つ状況・状態を「政治社会(political society)」とよぶ。
ひとこと
翻訳については、以前は恵まれていませんでした。
けれどさいきんは、読みやすい翻訳もあり、アクセスしやすくなっています。
おすすめは、「光文社古典新訳文庫版」です。
全訳ではありませんが、エッセンスをまとめた、すばらしいものになっています。
すべて読みたい人は、岩波文庫版の完訳を手にとりましょう。
ヒューム『道徳政治論集』
出版年 | 1741年 |
構成 | 全3部 |
背景
哲学の分野では有名ですが、政治・社会の領域でも、大きな業績をのこしました。
本書は、ヒュームの主著のひとつ。
政治・経済・社会思想から道徳哲学・批評を含む広大な領域をあつかっています。
ポイント ─ 「黙約(convention)」
ポイントは、つぎのとおり。
黙約(convention)
ひとには、利己的/利他的 ─ 両面の特性がある。
そのうち、どちらかいっぽうではなく、自分と他人の両方に利益になる術をみつけていく。
それが「協力」とよばれる。
協力は積み重なり、じょじょに「道徳」「理性」などをつくりあげていく。
さいごは「黙約」(=暗黙の了解)となり、これが社会制度の前提となっている。
ひとこと
「黙約(convention)」のもとに、ひとの社会はつくられている ─ この前提から、
・市場
・国家
について、幅ひろく考察していきます。
残念なのが、翻訳がめちゃくちゃ高額なこと。
ほかの作品もそうですが、ヒュームは、翻訳に恵まれていません。
それでもなんとかチェックしてほしいと思います。
モンテスキュー『法の精神』
出版年 | 1748年 |
構成 | 全6部 |
背景
イギリス議会制度をお手本としながら、権力分散による統治を論じたもの。
いっぽうで、貴族の役割に、比重をおく内容でもありました。
けれど、民主主義政治において〝つかえる〟トコが多くあり、民主憲法の策定に、とりわけ参考にされるように。
アメリカ合衆国憲法の枠組みや、フランス革命中の1791年憲法の制定に、大きな影響をあたえました。
ポイント ─ 「共和政/君主政/専制政」「権力分立」
ポイントは、つぎの2つ。
共和政/君主政/専制政
権力分立をのべるまえに、政体の比較をおこなう。
とりあげるのは、
・君主政
・専制政
の3つ。
共和政は、「どの程度、市民の権利を広げるか」におうじて、性質が変わる。
権利をより広げる場合には「民主主義的共和政」に、より縮める場合には「貴族政治的共和政」になる。
いっぽう、君主政/専制政の区別は、統治者の権力をしばる「中間勢力」(=貴族、聖職者など)がいる/いないで変わる。
いれば「君主政」に、いなければ「専制政」となる。
権力分立
つづけて、権力の分立について。
権力の分立は、政治的な自由を成立させるためには必要。
権力分立とは、
・司法権
・行政権
が分有されている状態をさす。
ひとつの権力が、政治的自由を侵そうとすれば、ほかの権力によって抑制・撃退できる ─ 。
この機能があるため、政治上の自由が確保できる。
いっぽう、権力が分立していないと、共和政でも自由は保証されない可能性もある。
ひとこと
翻訳ですが、全文を読むなら、岩波文庫。
拙訳なら中公クラシックからも出ています。
時間がないなら、こちらがベターです。文章もカンケツで、わかりやすいです。
カント『永遠平和のために』
出版年 | 1795年 |
構成 |
序文
第1章 国家間の永遠平和のための予備条項 ・第1条項 ・第2条項 ・第3条項 ・第4条項 ・第5条項 ・第6条項 第2章 国家間の永遠平和のための確定条項 ・第1確定条項 ・第2確定条項 ・第3確定条項 ・第1補説 ・第2補説 付録 |
背景
タイトルだけみれば、「平凡な理想論が書かれているのかなぁ」と思っちゃいます。
けれど、本書のタイトルは、カントが食堂の絵に刻まれた標語から借用したもの。
つまり、「国家間の平和」にたいして、カントなりの皮肉がこめられています。
当時、カントの住むプロイセンと、敵国のフランスでは、平和講和が結ばれたばかりでした。
とはいえ、どうみても一時的で、またいつ戦争が起きるか分からない状況 ─ 。
そんな状態にたいして、哲学思考をもちいて、平和について述べたのが、本書です。
国連憲章作成にも、影響をおよぼした作品。
国際政治を考えるうえでは、避けてはとおれない作品です。
ポイント ─ 「国家=道徳的人格」「世界市民法」
ポイントは、つぎの2つ。
国家=道徳的人格
人格(person)とは、道徳法則に規定される主体のこと。
道徳法則は、それ自体が目的であり、手段として用いられてはならない。
国家もまた人格であり、道徳法則に規定される。
道徳的人格であることから、国家はそれ自体が目的となる。
誰かに所有されたり、譲渡されてもいけない。
「所有される」or「譲渡する」は、国家を手段としてみなしている。
これを「物化」とよぶ。
くわえて、合併も、国家の存在を否定しているので、認められない。
世界共和国と世界市民法
「国家=人格」とするならば、
・道徳法則を、みずからに課す理性
という2つの特徴があることになる。
国家は、欲求にうながされて、対外的な利益を求める。結果、戦争が起きる。
その後、終結のために、平和条約が結ばれるが、それだけでは不十分。
というのも平和条約は、一時的に調停するだけで、永続的に平和をもらたらすことはできないから。
そこで、国家間による「平和連合」の設置をもとめる。
国家には、欲求に流されるだけでなく、自分に道徳法則を課す能力ももっている。
国家は永遠平和状態を目指すことを義務と見なす。
なので国家は相互の契約に基づき、平和連合を設置が可能となる。
理想は、世界共和国だが、とりあえずは平和連合を目指すようにするのがいい。
じょじょに国内法や国際法を整備して、世界市民法の理念が必要となる。
これによって人びとは、自分たちが永遠平和状態に近づいていると実感できる。
ひとこと
ページ数も少ないので、1日もあれば、読めてしまえます。
メジャーな作品だけあって、翻訳もたくさん出ています。
どれも読みやすいです。
わたしは、「池内訳」で読みました。
ルソー『社会契約論』
出版年 | 1762年 |
構成 |
第1篇 自然状態、社会状態、社会契約の本質的諸条件 第2篇 立法 第3篇 政府の形態 第4篇 国家の体制 |
背景
本書作成のまえ、ルソーは、ヴェネツィア共和国・フランス大使の秘書官でした。
その国から共和国の問題をとりあげるよう依頼されます。
そのさい『政治制度論』を構想し、その一部として『社会契約論』を出版します。
いっぽう、王権神授説を支持する「フランス王国」「カトリック教会」から反発をうけ、弾圧・国外追放をうけてしまいます。
その後、フランス革命に影響をあたえました。
ポイント ─ 「社会契約」「一般意志」
自然状態から社会の成立原理を明らかにして、人民主権など民主主義理論に基づく社会契約説を説きます。
ポイントは、つぎの2つ。
社会契約
ひとはもともと、自由意思をもち、自然状態では、各人は、みずから欲求を満たすために行動する。
いっぽう、生存の危機が起きれば、個人間で協力をもとめる。
そのさいに「約束」がつくられる。
これが、ひとりひとりに「社会契約」として把握される。
一般意志
社会の全メンバーが、お互いに、それぞれの身体&財産を保護するには、それらを含むすべての権利を、共同体に譲渡する必要がある。
全面譲渡によってはじめて、ただ1つの人格と、人格にもとづく国家があらわれる。
そのさい国家は、個人と同じように意思をもつ。この意思を「一般意思」とよぶ。
一般意思が決定されたあとは、各メンバー臣民として従わなくてならない。
なぜなら、私的な利益をもとめる特殊意思とは反対に、公共利益をもとめるものだから。
当然、一般意思をもたらす人民は、主権者として見直す権利も持っている。
ひとこと
こちらもメジャー作品だけあって、たくさんの翻訳が出ています。
わたしは、「中山訳」で読みました。
バーク『フランス革命の省察』
出版年 | 1790年 |
構成 | 全2部 |
背景
1789年、バークはフランス人青年「ランソワ・デュポン」から手紙をもらいます。
かれは、革命側の国民議会の支持者で、新しい祖国のため働くことにたいして意見をもとめます。
返答の手紙が、『フランス革命の省察』の骨子になります。
ポイント ─ 「本源的契約」「時効の憲法」
ポイントは、つぎの2点です。
本源的契約
イギリスでは、フランス革命の根拠となった「社会契約」ではなく、「本源的契約」を重視する。
これは人びとが、根本から保持してきたもの。
祖先から相続し、次世代に継承すべき制度としてあらわれる。
イギリスでも、名誉革命が起きたが、フランス革命とは特徴が異なる。
名誉革命は、王国の古来の国家組織(=本源的契約)に、国王個人による侵害があったのが原因。
革命は、組織を回復し、保持するためになされた。
「名誉革命で、イギリスの民衆は統治者を選ぶ権利を手にした」とされている。
けれど、革命後に起草された『権利章典』をみれば、世襲的な王位継承を選択したことが、よくわかる。
民衆が統治者を選ぶ権利を獲得した「フランス革命」とは、明らかに異なる。
時効の憲法
「時効の憲法」とは、
・伝統
・コモン・ロー
・世襲制度
・教会などの中間組織
など、ある世代が、自分たちの知見では、改変が許されない「しくみ」「ルール」をさす。
「本源的契約」を重視するイギリスでは、これらを大事にする。
「社会契約」のもと、これらを破壊するフランス革命は、許されるものではない。
ひとこと
保守思想の「聖典」とされる作品です。
そのような〝偏見〟を抜きにしても、めちゃくちゃおもしろい作品です。
また、さいきん光文社古典新訳文庫で新訳も出ました。
解説もすばらしく、読みやすくなっています。
ヘーゲル『法哲学講義』
出版年 | 1821年 |
構成 |
緒論 第1部 抽象的な権利ないし法 ・第1章 自分のものとしての所有 ・第2章 契約 ・第3章 不法 第2部 道徳 ・第1章 企図と責任 ・第2章 意図と福祉 ・第3章 善と良心 第3部 倫理 ・第1章 家族 ・第2章 市民社会 ・第3章 国家 |
背景
生前に書かれた『人倫の体系』などが、本書のベースになっています。
これにヘーゲルの死後、かれの講義をうけた生徒・受講生が、編集・解説を施したのが、『法哲学講義』となります。
ポイント ─ 「市民社会と国家」「人格の相互承認と契約」
ポイントは、2つです。
市民社会(burgerliche Gesellschaft) と国家
「市民社会」は、市場での欲望をベースにした労働の体系である(=欲望の体系) 。
いっぽう「国家」は、欲望の体系である市民社会を包摂しながら、
・執行権
・君主権
をつかって、市民の利己性をコントロールする。
国家は、普遍性を実現するための役割をになう。
人格の相互承認
市民社会 or 国家において、自由の根拠は、人格の相互承認にある。
人格の相互承認とは、
という考え方。
わたしが欲求を実現するには、享受するために対象を手にする(=占有する)必要がある。
けれど持っていると、奪われる可能性がある。
そのためには、占有をおこなう人格のあいだで、お互いに承認しあう必要がある。
このプロセスで「契約」がつくられていく。
ひとこと
メジャーな作品ながら、翻訳にはあまり恵まれていません。
中公クラシックなど、古い翻訳にしかアクセスできず、読みやすいとはいえません。
おすすめは「長谷川訳」。
だたしこちらは、5000円以上と高額で、なかなか手が出しづらい。
それでもなんとか目をとおしてほしいと思います。
「ですます口調」で、まるでヘーゲル本人の講義を受けているように、内容が「すうっと」と入ってきます。
トクヴィル『アメリカのデモクラシー』
出版年 |
1巻:1835年 2巻:1840年 |
構成 | 全2巻 |
背景
1831年、フランス政府は、刑務所制度の研究ため、トクヴィルたちをアメリカに派遣する。
当時アメリカは、政治的にも経済的にも、新興国だった。
アメリカ独自の民主主義にふれるなかで、トクヴィルはフランス政府にたいして報告書を作成する。
本書は、コレがもとになっています。
民主的専制・多数者の暴政
民主制(デモクラシー)は、手放しで認められる制度ではない。
というのも、
・民主的専制(=多数者の暴政)
を生みだす可能性があるため、
2つの事態は、民主制それ自体がもつリスクといえる。
自発的結社
デモクラシーが普及する社会では、伝統的なつがなりは失われ、各人は孤独になりやすい。
補うためには「自発的結社(voluntary association)」のしくみが必要。
事実アメリカでは、あらゆる目的にそって、結社がつくられている。
ここに個人主義がもらたす孤立を防ぐカギがある。
ひとこと
こちらは分量が、けっこうあります。
ただし、民主主義のデメリットをあつかっていることもあって、いまこそチェックしておきたい作品です。
さいきん新しい翻訳も出たので、アクセスしやすくなっています。
マルクス『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』
出版年 | 1852年 |
目次 | 全1章 |
背景
1848年、フランスで「二月革命」が起こる。
つづく1851年、ナポレオンの甥「シャルル・ルイ=ナポレオン・ボナパルト」が、クーデターにより皇帝に就任する。
一連の事件を受けて、第二共和政における階級闘争が、皇帝就任を成立させた、と指摘。
本書では、そのプロセスを描きます。
ポイント ─ 「上部構造/下部構造」
ポイントは、つぎのとおり。
◇ 上部構造/下部構造
あらゆる歴史は、
[無階級社会 → 階級社会 → 無階級社会]
と、生産能力&生産関係におうじて、発展・衰退をくりかえす。
なので、政治的・法律的な土台(=上部構造)は、経済のあり方(=下部構造)に規定される。
「ルイ・ボナパルト」の皇帝就任も、おじ「ナポレオン」の時とはちがう。
階級闘争の激化が、左右の党派を崩し、その結果、ボナパルトの台頭&クーデター成功をもたらした。
個人の資質・能力ではなく、構造の変化によって、事件が起きた。
ひとこと
いわゆる「唯物史観」をふれるというより、ひとつの政治評論としてみると、たのしく読むことができます。
翻訳については、さいきんでた「丘沢訳」がおすすめです。
ミル『自由論』
出版年 | 1859年 |
構成 |
第1章 序論 第2章 思想と討論の自由 第3章 幸福の一要素としての個性について 第4章 個人に対する社会の権威の限界について 第5章 応用 |
背景
ミルは、経済学者としても活躍していました。
同時に、哲学者・政治学者としての顔をもっていました。
本書では、「自由」の原理から、政治・社会制度の問題を指摘します。
ポイント ─ 「危害原理」「思想・表現の自由」
ポイントは、2つ。
危害原理
自由とは、危害原理が前提となっている。
危害原理とは、
という考え。
それ以外の行為については、かならず保障され、これが個人に自由をもたらす。
文明発展のためには、
・才能
・多様性
を担保・保障する必要がある。
思想・表現の自由
自由は、「思想・表現の自由」というかたちであらわれる。
これは、3つの理由から許容されないといけなない。
・特定の意見が誤っているにしても、一般の意見が正しいとはかぎらないから
・フクスウの意見を検討してはじめて、正しい意見を、みずから判断できるようになるから
以上をもたらすには、「思想・表現の自由」は確保されなくてはならない。
ひとこと
福沢諭吉も取り上げるほど、むかしからメジャーな作品です。
そのため翻訳もたくさん出ています。
さいきんものなら、どれも読みやすいです。
・くわしいレビュー
デュルケム『自殺論』
出版年 | 1897年 |
構成 |
第一編 非社会的要因編集 第二編 社会的原因と社会的タイプ編集 第三編 社会現象一般としての自殺について編集 |
背景
統計資料から、当時のヨーロッパ各国では、自殺率が、短期間でほぼ一定の値を示していました。
デュルケムは、それぞれの社会におうじて自殺率が変わる、と考えます。
そのうえで、社会の特徴によって、自殺がどのように異なるかを明らかにします。
個人の心理ではなく「社会的要因」によって、自殺をとらえるのが、本書の目的です。
ポイント ─ 「社会的分業」「アノミー」
ポイントは、つぎの2つ。
社会的分業
社会は分業によって発展するいっぽう、社会のしくみ&人びとのあり方も変える。
・職業の専門化
により、それまでの画一化された社会形態(=機械的連帯)はとらなくなる。
分業が発達した社会では、おたがいの個性を必要として成り立つ組織・形態(=有機的連帯)が一般化する。
アノミー
「アノミー (anomie) 」とは、社会秩序が乱れ、混乱状態をしめす「アノモス(anomos)」に由来する。
近代社会では、分業がすすみ、規制・規則がゆるむため、個人の自由度は増える。
いっぽう、自由を享受できず、不安定な状況におちいる人びとも増える。
これは近代社会の病理である。
自殺者のなかにも、アノミーによって、死にいたる者も多くいる。
規制・規則の緩和は、社会にとってプラスに機能するとはかぎらない。
ひとこと
社会学の古典です。
あまりメジャーではないかもですが、政治・社会を述べるうえで、たいへん有益な作品です。
翻訳は「宮島訳」がベストです。
レーニン『帝国主義論』
出版年 | 1917年 |
目次 | 全10章 |
背景
本書の前後で、第一次世界大戦(1914年)が起こります。
高まる帝国主義競争をうけて、本書は書かれました。
・資本主義の最高段階における必然の現象で、絶対に不可避である
─ こう主張します。
ポイント ─ 「独占資本主義」「生産の社会化」
ポイントは、2つです。
「独占資本主義」
自由競争段階である資本主義では、生産の集積がおこり、ゆくゆくは「産業独占体」が生まれる。
資金の融通をになう銀行も「独占体」となり、帳簿をつうじて産業を支配するようになる。
結果、産業独占体・金融独占体は融合・癒着し、「金融資本」が成立する。
金融資本は、経済領域だけでなく、政治・社会のあらゆる場所に浸透し、「金融寡頭制」を敷く。
生産の社会化
帝国主義に発展した資本主義の基礎は独占であり、この段階では生産の社会化は極限まで達している。
資本主義は、「富の生産による搾取」というあり方を失い、「金融詐術」「独占の利得」により利潤をあげるまでに腐敗する。
この時点での資本主義は、社会主義にとって代わられざるをえない。
ひとこと
レーニンというと、社会主義者で、〝終わった人〟のイメージがあります。
けれど本書は、国際金融と国家のカンケーをするどく分析しています。
内容としては、まったく古びていません。
新しい翻訳も出ているので、アクセスもしやすいです。
ウェーバー『職業としての政治』
出版年 | 1919年 |
構成 | 全1章 |
背景
ミュンヘンの学生団体のため講演(1919年)がもとになっています。
当時は、本国「ドイツ帝国」が第一次世界大戦で敗北し、革命によって、帝政が廃止される事態がおきていました。
そのなかで、ウェーバーが「政治家」のあり方について意見を述べたのが、本書です。
ポイント ─ 「暴力行使の独占」「心情倫理/責任倫理」
ポイントは、つぎの2つです。
暴力行使の独占
近代における国家とは、物理的暴力の行使という、特殊な手段を有する団体である。
国家とは、特定の域内において、正当な物理的暴力行使の独占を要求する共同体、とみなすことができる。
政治家は、このような団体の指揮官・運営者であると、自覚しておくべきである。
心情倫理/責任倫理
倫理的行為には、心情倫理的に方向づけられた行為と、責任倫理的に方向づけられた行為がある。
政治家は、心情倫理/責任倫理 ─ この2つの倫理を、職業として負っている。
2つのちがいは、
・責任倫理 → 行為の結果に対する責任が大事
という点。
心情倫理では、行為の結果は二の次となる。
いっぽう、責任倫理では、行為の結果に対する責任を、自分以外のだれかに転嫁できない。
どちらを優先すべきかは、いちがいに言えない。
そのため政治家は、「心情倫理/責任倫理」のジレンマにおちいる。
ただし心情倫理は、結果をかえりみないため、国民にたいして損害をあたえる危険性がある。
ひとこと
翻訳については、さいきん出た「野口訳」がおすすめです。
講演ということで、「ですます調」で書かれています。
画期的です。
オルテガ『大衆の反逆』
出版年 | 1930年 |
構成 |
第1部 大衆の反逆 第2部 世界を支配しているのは誰か |
背景
オルテガは、スペインの社会学者です。
本書は、社会における大衆の権力が勃興してきたなかで、書かれたものです。
ポイント ─ 「密集の事実」「大衆=平均人」
ポイントは、2つです。
密集の事実
いままで少数の人しかできない行為を、大衆もできるように。
行為を享受するため、さまざな施設では、人があふれかえるようになる。
この事態を「密集という事実」とよぶ。
起点は第一次世界大戦前後。
それまでも集団は存在していたが、それぞれが孤立し、つながりはよわかった。
けれど大戦後、生活スタイル&精神性が平均化された結果、「密集」が起きる。
具体的には、
・精神性 → 民主主義における一体感
これらを享受し、行う者たちを「大衆」とよぶ。
大衆=平均人
大衆の特徴は、「権威の拒絶」(=大衆の反逆)。
いつの時代でも、社会は、
・大衆:特別な資質をそなえない人びとの総体
の2つから成り立つ。
とりわけ現在では、両者のかけひきが、大きく動いている。
ひとこと
「大衆社会批判」として定番の本です。
けれどさいきんは、インターネットの発展もあり、「大衆」の定義が、あいまいになってきました。
その意味で、本書は、ふたたび参照されるようになってきました。
シュミット『政治的なものの概念』
出版年 | 1932年 |
目次 | 全4章 |
背景
2つの世界大戦にあいだに書かれたものです。
本人の意図に反して、ヒトラー政権に思想的な根拠をあたえることになりました。
ポイント ─ 「友敵関係」
ポイントは、つぎのとおり。
「友敵関係」
友敵関係とは、政治における「友/敵の対立状況」をさす。
「政治的なもの」は、この「友敵関係」においてあらわれる。
「まわりの者=悪しき者」とみなすことで、はじめて政治権力や国家秩序を構築できる。
ここでいう「敵」とは、たんなる競合相手ではない。
実存的な異質者であり、わたしの存在を根本から否定する他者である。
ひとこと
ヒトラー政権に影響をあたえた政治哲学ということで、戦後しばらくは敬遠されてきました。
けれど政治情勢がフクザツになるなか、国家の本質を考えうえで、シュミットの思想は、説得力をもつようになりました。
近年は、〝ナチスの御用学者〟というレッテルをはずして、かれの哲学が検討されるようになっています。
政治・社会を論じるうえで、「友敵関係」「決断主義」の概念は、参考になります。
アレント『人間の条件』
出版年 | 1958年 |
目次 |
第1章 人間の条件 第2章 公的領域と私的領域 第3章 労働 第4章 仕事 第5章 活動 第6章 〈活動的生活〉と近代 |
背景
『全体主義の起源』では、孤立化した大衆を指摘し、民主政治の問題をとりあげました。
本書では、古代ギリシャ世界を参考にしながら、
・私的領域/公的領域のちがい
・政治活動のあり方
について述べていきます。
ポイント ─ 「労働/仕事/活動」「複数性」
ポイントは、つぎの2つです。
労働/仕事/活動
人間の行動は、
・仕事
・活動
の3つに制約をうけている(=人間の条件)。
労働(labor)とは、生命を維持するための行動。
身体・肉体の維持を、いちばんの目的とする。
古代ギリシャでは「奴隷」が、その役割を担っていた。
いっぽう、労働と区別する仕事(work)は、持続性・耐久性をもつ商品・作品をつくる行動をさす。
ギリシャでは、職人・芸術家が、この役割を担う。
さいごに活動(action)は、人びとのあいだでなされる行動。
言語によって協力/対立をもたらすふるまい。
これこそが「政治」にあたる。
同じ性質をもつ人間は存在せず、自己/他者は言語をつうじて、共同・協調してゆくしかない。
これをうながすのが「政治」である。
複数性
ひとは独自の個性(=独自性)をもち、それぞれがちがい(=差異性)をもっている。
にもかかわらず、同じ人間である(=対等性)とみなしながら、たくさんの人びと(=多数性) とすごす。
このような人びとの状態を「複数性」とよぶ。
ひとこと
こちらも政治哲学の分野では、メジャーな作品です。
いっぽう、労働/仕事の区別など、「仕事論」としても読むことができます。
「AI + ロボ」の普及により、ひとが労働をしなくなる時代 ─ そんな世紀をむかえるあたって、本書はますます注目をされます。
まとめ
まとめると、
りきぞう
・年代順に読んでいくと、思想・哲学の流れが、よくつかめる
・ 時間がない人は、とりあえず『政治学』『君主論』『永久平和のために』『社会契約論』の4冊がおすすめ
政治・社会をあつかった古典・名著を読むうえで、参考にしてみてください。
ではまた〜。