ダニエル・ピンク『フリーエージェント社会の到来』感想&レビュー

どうも、りきぞうです。

大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。

社会人なってからは、[予備校講師 → ウェブディレクター → ライター]と、いろんな職業にたずさわってきました。

働き方についても、[契約社員 → 正社員 → フリーランス]と、ひと通り経験してきました。

きょうは、ダニエル・ピンク『フリーエージェント社会の到来』を紹介します。

わたし自身、それなりにフリーランスとして働いてきました。

フリーで働き始めて、さいしょの頃に読んだ本で、たいへん影響を受けました。

・会社を辞めて、「フリーランス」で働こうか、迷っている
・「フリーランス」の現状&実体を知りたい
・今後の「フリーランス型社会」の状況を知っておきたい

─ こんな人には、ピッタリの本です。

以下、[概要 → ポイント]の順でみていきます。

『フリーエージェント社会の到来』の概要

著者

「ダニエル・ピンク」は、働き方研究の第一人者です。

大学の先生ではなく、自身も〝動きながら〟議論を展開しているトコが、好感がもてます。

本書は、かれの処女作で、フリーランスの現状&今後のあり方を、詳細に示しました。

構成

目次は、こんなかんじ。

出版年 2014年(※ 新装版)
目次 第1部 フリーエージェント時代が幕を開けた
第2部 働き方の新たな常識とは?
第3部 組織に縛られない生き方もできる
第4部 フリーエージェントを妨げる制度や習慣は変わるか
第5部 未来の社会はこう変わる

目についた項目から、読みすすめてオーケーです。

第1部では、フリーエージェント社会到来の背景を述べています。

第3部では、じっさいに「フリーエージェント(フリーランス)」で暮らしている人たちについて、インタビューをまじえて述べています。

おすすめは、この2つです。

『フリーエージェント社会の到来』のポイント

以下、気になったトコをあげていきます。

ポイントは、つぎの3つ。

  • 「フリーエージェント社会」が到来する背景
  • 「フリーエージェント社会」による働き方の変化
  • 「フリーエージェント社会」における保障

ひとつひとつみていきます。

「フリーエージェント社会」が到来する背景

「フリーエージェント」とは、

・組織に属さない
・取り引き相手(クライアント)を自分で見つける
・自身のペースで作業・業務をこなす

─ こんな人たちをさします。

2002年の時点で、アメリカ人の「1/4」が、この働き方を実践しています。

なぜ、フリーで働く人が増えたのか。

最大の要因は「デジタルツールの普及」です。

「工業社会」では資本設備が高価なため、ひとつの組織に作業の担い手が集まる必要がありました。

けれど「情報社会」では、パソコン&デジタルデバイスを、安く手にすることができます。

働き手は資本設備に依存せず、それぞれが自分のライフスイルに合わせて働けるように。

こうしてフリーエージェント社会が到来することになりました。

「フリーエージェント社会」による働き方の変化

フリーエージェント社会は、仕事にたいする考えも変えます。

工業中心の社会では、ひとつの組織に属して、安定した賃金をもらうのがフツーでした。

労働倫理は、「一生長く働いていれば、最後には報われる」 ─ 。

いっぽうフリーエージェント社会では、このようなマジメでかたくるしい倫理観は通じません。

たとえば「成功」の意味。

工業社会では、

・より多くの収入を得る
・組織で出世する
・事業を拡大する

などなど。

しかし、フリーエージェント社会では、自分らしく自由に働くことを成功の意味と捉えます。

くりかえせばと、組織に依存せず、みずからのペースで働ける環境が、その背景にあります。

「フリーエージェント社会」における保障

組織で働くメリットは、保障があることです。

雇用保険のほか、継続的に給料が入ってきます。

いっぽう、フリーエージェントはつねに不安定。

管理能力がないと〝食いっぱぐれ〟ます。

しかしフリーランスなりの保障もあります。

そのひとつが「業務の分散」です。

どこかひとつのところから打ち切られても、取り引き先をいくつかもっていれば、そこで収入を得られる ─ 。

複数の取引相手をもつのは、フリーランスの特権で、これが保障になります。

たしかにひとつの組織に属して働くのは、安定しているようにみえます。

けれど、市場競争が激しいなかで、大きな組織でも安泰とはいえません。

個人にフォーカスすれば、収入のルートを複数もっておくのは、賢い選択です。

その意味では、フリーランスの保障のほうが、安定しているともいえるかもです。

まとめ

いま、フリーランス型の働き方がひろまっています。

その現状と、今後のあり方を知るには、最適な一冊といえます。

ただし本書は、あらゆる職業がフリーランス型になっていくと主張しているようにみえました。

わたしは、職種によって、フリーランスにむいている業務と、むいてない業務があると考えています。

仕事によって、賃金の増減、保証のあり方、キャリアの方向性も多様なはず。

職業別の分析があれば、よりおもしろいとおもいました。

興味ある方は、チェックしてみてください。

ではまた〜。