リンダ・グラットン『ワークシフト』感想&レビュー【要約】

どうも、りきぞうです。

大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。

社会人なってからは、[予備校講師 → ウェブディレクター → ライター]と、いろんな職業にたずさわってきました。

働き方についても、[契約社員 → 正社員 → フリーランス]と、ひと通り経験してきました。

きょうは、リンダ・グラットン『ワークシフト』を紹介します。

わたし自身、それなりにフリーランスとして働いてきました。

フリーで働き始めて、さいしょの頃に読んだ本で、たいへん影響を受けました。

ブロガーのちきりんさんも、この本に触発されて、働き方にかんする書籍を出版したほどです。

若い世代はもちろん、「これから10年以上は働こう」と考えているひとには必読本です。

・会社を辞めて、「フリーランス」で働こうか、迷っている
・より良く働くために、なにしたらいいのか、わからない
・今後の「働き方」のようすを知っておきたい

─ こんな人には、ピッタリの本です。

以下、[概要 → ポイント]の順でみていきます。

『ワークシフト』の概要

著者

著者は「働き方研究」の第一人者です。

世界的権威でもある彼女の議論には説得力があります。

構成

目次は、こんなかんじ。

出版年 2012年
目次 働き方の未来は今日始まる
働き方の未来を予測する
第1部 なにが働き方の未来を変えるのか?
第2部 「漫然と迎える未来」の暗い現実
第3部 「主題的に築く未来」の明るい日々
第4部 働き方を〝シフト〟する
未来のために知っておくべきこと

第1部で、これからの働き方を変える5つの要因をしめします。

第2部では、それらによって変化した働き方のネガティブな面を予想していきます。

大まかにいえば、多忙・孤独・貧困です。

第3部では、変化した働き方のポジティブな面を予想していきます。

ざっくりいえば、協力・共感・自立です。

第4部では、未来の働き方にむけての処方せんについて。

いまのわたしたちがやっておくべき「対策」を提案します。

『ワークシフト』のポイント

以下、気になったトコをあげていきます。

ポイントは、つぎの3つ。

  • ナルシズムのひろまり
  • ミニ起業家の台頭
  • 〝専門家〟の条件
  • スキル形成のコツ

ひとつひとつみていきます。

ナルシズムのひろまり

今後、インターネットのさらなる普及で、人びとは「個人化」していきます。

結果、「ナルシズム」がひろがります。

ここでいう「ナルシシズム」とは、

いつも「自己」を中心に、発想をする or 行動すること

をさします。

自分が「何者であるか」を他人に説明し、アピールする。

それにより、自分を安心させ、自分がどう思われているかを、しきりに知りたがる傾向が強まる、とします。

これは、いまつかわれている「ナルシスト」とは、ちがいます。

情報環境が変わることで、どうしても「ナルシズム」がひろまるということです。

謙虚な人でも「ナルシズム」を意識しないと、損をして、不利な立場に立たされる。

自分をみせるのが苦手な人でも、SNSをつかって、自分をアピールしないとマズいわけです。

過酷な世界といえます。

あらゆる情報がたちまち世界中に知れ渡る時代に生きていると、あらゆる自己宣伝戦略を駆使して、自分がいかに素晴らしい人間かをアピールし続けなくてはならない(p.136)

─ 第2部「漫然と迎える未来」の暗い現実

ミニ起業家の台頭

ナルシズムがひろまるいっぽうで、個人の影響力は増していきます。

こちらもインターネットの広がりにより、(相対的に)組織のチカラが、弱まってくるからです。

結果、ビジネスにおいては、

「ミニ起業家」

とよばれる人びとが台頭します。

特定の大企業ではなく、こうしたミニ起業家たちのエコシステムが市場の方向性を大きく左右するようになる。(p.211)

─ 第3部「主題的に築く未来」の明るい日々

このような「ミニ起業家」が、いたるところで乱立し、市場全体を動かしていきます。

また業務のあり方・働き方についても、組織単位ではなく、プロジェクト単位でおこなうようになります。

垂直の関係を築かなくても、水平の関係を築くことを通じて大勢の人たちの行動を調整することが可能になりつつあるのだ。〔……〕オンライン百科事典ウィキペディアの執筆・編集のプロセスはその先駆けと言える(p.218)

─ 第3部「主題的に築く未来」の明るい日々

これもまた、インターネットの恩恵によるものです。

〝専門家〟の条件

では、市場環境の変化により、ひとりひとりの働き手は、どうなっていくのか?

それは、

情熱をもって打ちこめる「仕事」を見つけられるかどうか

に、かかっています。

これからは、「知識」「創造性」「イノベーション」に土台を置く仕事に就く人が多くなります。

そういう職種で成功できるかどうかは、仕事が〝好きかどうか〟でかかわるトコが大きい。

情熱をもって取り組める仕事ではないと、創造性が生まれず「価値」がつきにくい

したがって、どうしても仕事では〝遊びの要素〟が多くなり、自分も相手も〝楽しませるもの〟ではないと、仕事として成り立っていかない ─ 。

未来の世界では、単なる模倣にとどまらない高度な専門技能を身につけたければ、遊びと創造性がこれまで以上に重要になる。(p.269)

─ 第3部「主題的に築く未来」の明るい日々

遊びを極めた者が、「専門家」と呼ばれるようになります。

たとえば、「プロゲーマー」とされる方々は、この部類に入ると思います。

かれら/かのじょたちをみていれば分かりますが、当然ながら〝ラクな道〟では、ありません。

それこそ「1日10時間」以上は、ゲームに没頭しているわけですから。

もし専門家を目指すなら、楽しみつつも、徹底しなければならない ─ ムズかしい態度が、試されているわけです。

スキル形成のコツ

(遊びの)専門家にならずとも、一般の人がスキルをみがく場合、どんなふうにすれば、いいのか?

コツはあるのか?

それは、

いまやってる仕事にちかくて、すこしでも興味がある職種を、同時並行で取り組むこと

いきなり異業種に転職するのではなく、いまのスキルをいかしたまま、楽しそうな仕事に手をだしていく。

注意したいのは、ひとつの仕事に固執しないことです。

というのも、情報環境の変化がはげしいので、スキルやキャリアも、すぐに廃れてしまうからです。

いつでも乗りかえられるように、動きながら準備していく態度が必要になります。

専門分野で高度な知識や技能を習得した後で、それを土台に隣接分野の技能や知識を磨いたり、忘れていた技能や知識を再び見いだしたりすればいい。これが本章で言う「専門技能の連続的習得」である(p.273)

─ 第4部 働き方を〝シフト〟する

まとめ

・今後の労働環境の変化を知りたい人
・環境変化に合わせて、どうスキルを身につければいいのか知りたい人

こんな人には、おすすめの1冊です。

自己啓発的な要素もあるので、読んだあと「ポジティブ」にもなれるのも、良いトコです。

働き方に悩んでいる方は、ぜひチェックみてください。

ではまた〜。