バナナマン『wonder moon』感想&レビューです。

公演日 2010年8月4日〜8日
収録 wonder moon
hasty
the melancholic
4
Happy Birthday
赤えんぴつ
swear to the moon in Hawaii

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、バナナマン『wonder moon』。

「花鳥風月」シリーズの「月」にあたり、そのラストです。

個人的にいいなぁと思ったのは、「4」「swear to the moon in Hawaii」 ─ 。

両方とも、プロット&キャラクターがさえています。

以下、それぞれ、カンタンにみていきます。

『4』

あらすじはこんなかんじ。

日村さん演じるライターが、設楽さん演じる紳士に助けられる。

謎の紳士は、いきなり「月」と「数字の4」にまつわるエピソードを語る。

興味をもったライターは、それをネタに本を出版することに。

数日後、再会。

出版でしたことに感謝するライターだったが、紳士の正体は、じつは「死神」─ 。

死神は、ライターに「死」を宣告しにきたんだけど……

感想

ジンワリ笑える作品ですね。

「月」と「数字の4」にまつわる、ふしぎなおはなしをネタに、ふたりのやり取りがつづく。

〝おとぼけな〟ライターと、クールな紳士のコントラストがいいかんじに出ています。

ラストのオチも Good 。

『swear to the moon in Hawaii』

バナナマンライブ恒例の長尺コント。

ラストはいつもこれですね。

今回も見ごたえがあります。

以下、概要&ポイントをみていきます。

人物

・ミツイ(設楽)
・カレン … ミツイの婚約者

・カレンの父(日村)

・ツネオ(日村)
・カオリ(設楽)

場所

ハワイのホテル

あらすじ

結婚前夜。

ミツイは花嫁「カレン」とケンカ。

それにつけこみ、ミツイに恋するカオリが、結婚を解消させようと画策 ─ 。

カオリに恋するツネオをそそのかし告白させる。

むすめの結婚にあまり納得しないカレンの父には、自分とミツイがキスしている写真をみせる。

カオリのワナにはまるミツイ ─ 。結婚をあきらめようとする。

だが、カオリにそそのかされたツネオが、改心 ─ 。

カオリの策略をミツイにうつあけ、花嫁のカオリと、結婚するようにうながす。

今度は、カオリがピンチにおちいっていくが……

感想

30分以上の長尺コント。

コントというよりも喜劇ですね。

カオリ、ツネオ、カレンの父 ─ それぞれのキャラクターが立っています。

狂言まわし「カレン」の、〝イケイケな〟セリフ&アクションをみるだけでも、笑ってしまう。

ポイント

笑いのポイントをみていきます。

コントで大事なのは、キャラクターとプロット。

この作品ではプロットに注目してみます。

コントのプロットはとてもシンプル。

[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。

コントの書き方 ─ プロットの構成について

なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。

パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。

コントの書き方 ─ プロットの展開について

ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、笑いの構図は「交錯」とわかる。

「交錯」では、セリフやアクションによって真相をかくし、登場人物をカン違いさせ、ストーリーをすすめていきます。

このおはなしでも、ひそかにミツイを想うカオリが、策をほどこす。

・ツネオをそそのかしカレンに告白させる
・ミツイの婚約者の父に、花ムコが「うわき」をしていると告げる

などなど。

その〝ウソ〟をみて、観ているひとは笑う。笑いをひきおこす。

図にするとこんなかんじです。

構図 ─ 交錯
ミツイ = うわき → 結婚解消

・カオリ、結婚を壊そうとする
・ツネオをカレンに告白させる
・カレンの父に、ミツイの浮気をカン違いさせる
・改心するツネオが、カオリの策をバラしていく

ミツイ ≠ うわき → 結婚成立

カオリの策略を軸に、はなしが展開していきます。

また、舞台がハワイということで、相撲取り「小錦」をみつけたカオリが、いっしょに写真をとってもらう ─ 。

こんな〝小ボケ〟が、ちょこちょこあいだにはさむのも、スパイスとしていいかんじです。

演出面でもカオリが、ひとり舞台にのこり、独り言をつぶやくシーンがあります。

そのときの間がなんともよかった。

しゃべりで埋めず、雰囲気だけ笑いをとっています。

これは、バナナマンさんにしか出せない味ですね。

まとめ


こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。