ロッチ『ラストベストロッチ 3』感想&レビューです。

発売年 2017年4月
収録 変なノリ長いヤツ
表参道の美容室
オヤジ狩りされてるのにされてないことにしようとするオッサン
試着室
20歳の告白
wi-fi
フラダンス
透視
before
除霊
ネパールのチェーン

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、ロッチ『ラストベストロッチ 3』。

『フラダンス』は、ハワイの首飾り「レイ」を買いにきた女性のおはなし。

試着するたびに、じっさいに踊るときに「しっくり」くるか確認するため、その場でフラダンスを披露 ─ このくりかえしが笑いをおこします。

ゆっくりとしたテンポで、なんともいえない笑いをさそいます。

『透視』は、透視ができるようになった、元サラリーマンのおはなし。

超能力を手にしたことで、コレでスターになることを夢みる。

が、その透視のやり方が、めちゃくちゃシンドに。

顔を真っ赤にして、めちゃくちゃ〝リキををいれる〟ことで、ようやく紙の裏に書かれた文字を確認できる。

超能力者っぽくないふるまいが、笑いをおこします。

どれも5分程度のネタなので、さらっとみれます。

なかみも軽いテイストなものばかり。

頭をつかわずに楽しめます。

気軽に笑いたい人におすすめです。

個人的に良かったのは、『表参道の美容室』『試着室』『除霊』の3本。

以下、くわしくみていきます。

『表参道の美容室』


あらすじ

美容院。

中年女性がやってくる。

「ただのデブのおばさんですぅー」が口ぐせ。

どんな質問にたいしても、謙遜の態度をみせる。

しかし「どんな髪型にしますかぁー?」などの問いかけにも、

「ただのデブのおばさんですぅー」

と、枕ことばのように、くりかえす。

さらに、

社長のダンナを「チビでハゲ」
東大生のむすこを「ブサイクな童貞野郎」

と、さげすみ、謙遜をわすれない。

だが、控え目な態度も、話し相手によって、その都度かえているようで……

ひとこと

やたら謙遜する女性を、ロッチさんなりに皮肉ったネタです。

相手をヨイショするために、自分 or 他人をさけしみ、それにより控え目な態度をみせる。

ふだんまわりにいそうな人物を素材に、笑いにかえています。

穏やかな口調で、相手をボロカスにののしるギャップが、なんともおもしろいです。

『試着室』


あらすじ

試着室で、ひとりの中年男性がボトムスを試し履きしている。

店員が「履けましたぁー?」と声をかえると、「あ、はぁーい」の返事。

しかし、その受け応えをきいて、カーテンをあけるものの、男は履き途中で、

「あ、あ、あ」

と、あわてた表情をみせる。

すかさずカーテンをしめて、「とちゅうで開けて、すいません」とあやまる店員。

そのあと、「履けましたぁー?」とたずねると、同じく「あ、はぁーい」と返答が。

今度は大丈夫と思い、カーテンをあけるものの、ふたたび、

「あ、あ、あ」

と、あわてた顔をみせる。

その後、何度カーテンをあけても、同じ表情をくりかえし……

ひとこと

反復による笑い。

履き途中にカーテンをオープンさせられたときの、男演じる中岡さんの表情&リアクションが、めちゃくちゃツボです。

なかなかボトムスを履かず、何度カーテンをあけても、あわてた表情をみせる ─ この反復が、笑いをもたらす。

本作品なかで、一番好きなネタです。

『除霊』

あらすじ

霊に取り憑かれたとする男が、霊媒師のもとにやってくる。

さっそく除霊してもらおうと、儀式をはじめる。

しかしそのやり方が、背中をバシバシ叩き、男にとってはガマンできないほど痛い。

それでも霊を取りのぞくには、背中をバシバシされるほかはなく、必死にたえる。

だが、どうしても、その痛さがガマンならない。

痛みを回避するため、霊に取り憑かれた男性は、あえて悪霊のフリをして、「悪霊だだぁー!」と叫ぶが……

ひとこと

ベタな展開ながら、ついつい笑ってしまいます。

背中をバシバシされているときの、男演じる中岡さんの表情が、なんともおもしろい。

くわえて、痛みを回避するため、あえて演じる悪霊も、どこかコッケイ ─ 。

悪霊のフリをする男を、さめた目線で見つめる霊媒師 ─ そのときの「間」も、じわじわとした笑いをおこします。

「悪霊は、自分で「悪霊」って名のらないんですよ」とひとことも、よかったですね。

まとめ


こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。