公演日 |
2007年2月 |
収録 |
ま行時代
オープニング
ヌケなくて……
冬ジョンソン
NHSNJG
野球官能小説
泣き男泣く
トツギーノ
九龍の拳
イケなくて……
エンディング
ぱ行時代
マキガミ
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どうも、コント作家のりきぞうです。
きょうも、コント作品をレビューしていきます。
取りあげるのは、バカリズム『宇宙時代 特大号』。
バカリズムさんが、ひとりになってから、さいしょの単独ライブです。
バカリズムさんの原点ですね。
『トツギーノ』は、テレビのネタ番組で、話題になりましね。
『ま行の時代』、『ぱ行の時代』は、さいしょの人類をえがいた作品。
そうだいなテーマですが、うまく笑いに展開しています。
この2本をみれば、バカリズムさんが、いかにコトバに敏感になっているかがわかります。
…
個人的に良かったのは、「野球官能小説」、「泣き男泣く」、「イケなくて……」 ─ 。
以下、くわしくみていきます。
『野球官能小説』
あらすじ
シブい声の男(バカリズム)が、マイクにむかって官能小説を朗読。
しかし、みさこ & たかひろの情事を〝野球用語〟にたとえて語っていく。
ムネは「キャッチャーミット」、お◯ん◯んは「ペタジーニ」……。
そのあとも、エロティックなワードは、野球にからんだコトバにおきかえられ……。
ひとこと
発想が good 。
みさこのセリフが、なぜか「ビールいかがっすかー?」「代打とりごえ」など、トーンをおとした声になるのが、おもしろい。
ふつうのネタなら、野球を〝官能小説風に語る〟かんじになりやすいが、お色気ワードを、野球用語におきかえる──その点がバカリズムさんらしいですね。
『泣き男泣く』
あらすじ
自分の〝涙もろさ〟について語るサラリーマン(バカリズム)。
一般的な「泣き上戸」とは比べられないほど、泣きやすい。
あさ通勤するときには、並走する電車が、とちゅうではなれていくだけで涙があふれてくる。
「それぞれの電車が、それぞれの目的地にむかって、ガタンゴトンって進んでいくんだなぁ(泣)」
「オレなんて、まだまだガタンゴトンって鳴らせてないなぁ(泣)」
さらに、会社の会議では、上司のメガネをみただけで泣いてしまう。
「課長のメガネ、度がはいってんなぁー(泣)」
「だてメガネじゃないんだなぁー(泣)」
けっきょく、会社をクビになってしまい……。
ひとこと
これもバカリズムならではのネタですね。
じっさいにはありえないストーリーですが、なぜかキモチをもってかれます(笑)
泣いてしまう対象が、〝ヒト〟ではなく〝モノ〟なのが、バカリズムさんの性格をあらわしているような気がします。
まさか「度の入ったメガネ」にカンドーするとは ^_^ ;
『イケなくて……』
あらすじ
交通事故で亡くなる男(バカリズム)。
自分のカラダから遊離して、しばらくその場にただよう。
しかし、あの世へ逝けるかと思いきや、いくら待っても、何もおこらない。
焦りだす男。
「成仏! 成仏!」など、天国へ行けるようなフレーズを口にするが、何もおきない。
ようやく空から〝それっぽい光〟が降りてくるが……。
ひとこと
全体をとおして、いちばんストーリー性があるコント。
たったひとりで、これだけの物語を組み立てるんですから、ほんとうにスゴイ。
死んでもなお、みじめで、不安におもいにかられる。
なんだか、いま時代のようすを、暗に示しているようにもみえます。
ちなみに、このコントと同じ人物が『ヌけなくて……』でも、登場しています。
こちらは「エロ系」のネタで、びっくりするくらいアホらしい。
けど意外に、「生(性)」と「死」のコントラストを意識して、つくったのかもしれません。
考えすぎかな?
まとめ
こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。
ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。
ちがう記事ものぞいてみてください。
ではまた。
よきコントライフを〜。