バカリズム『生命の神秘』感想 & レビューです。

公演日 2007年6月30日、7月1日
収録 止まらなくて……
総合刑事
爽快昔話
ふるさと
熊谷さん
橘斬九郎
非ハリウッド

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、バカリズム『生命の神秘』。

ピンで活動をはじめて以降、2回目の単独ライブになります。

『総合刑事』『橘斬九郎』は、バカリズムワールド全開のコント。

何本か観ると、バカリズムさんのコントは、フツーなら交わるはずのない場面 or 要素を、かけ合わせるトコが特徴、とわかります。

それぞれの要素を違和感なくミックスさせて、笑いをおこす。

だれにでもできそうですが、バカリズムさんのセンスあってこそ、できるワザです。

個人的に良かったのは、「爽快昔話」「熊谷さん」「非ハリウッド」 ─ 。

以下、くわしくみていきます。

『爽快昔話』

あらすじ

むかしばなしを朗読する男。

主人公は「タロウ」。

出だしは「むかしむかしあるところに……」からスタートするが、いま時代の〝イラッとするできごと〟が語られる。

コンビニ袋にお弁当をナナメにして入れる店員。

二名の客を、テーブルではなくカウンター席に座らすカフェの店員。

居酒屋の入口をふさぐようにして、たむろする大学生たち。

無礼な連中には、天罰がくだされ……。

ひとこと

バカリズムさん自身が味わったであろう〝イライラ経験〟が、むかしばなし風に語られていく。

主人公の「タロウ」は、とくにカンケーありません(笑)

バカリズムさんの〝繊細さ〟が伝わってくるコントですね。

『熊谷さん』

あらすじ

探偵が、事件の関係者をあつめる。

「犯人はこのなかにいる!」

決めゼリフを述べ、いざ「犯人」を名指ししようとしたとき、「熊谷さん」がいないことに気づく。

とまどう探偵。

バイトでおくれるとわかり、熊谷さんがくるまで、みんなに待ってもらうことに。

しかしそのうち、関係者の数人がかえりたいと言いだす。

さらに「熊谷が犯人だろ」とわかってしまい……。

ひとこと

2時間サスペンスのパロディ。

とちゅう関係者のひとりと子どもじみたケンカをしはじめるのが、ツボでした。

「は? 泣いてねーし。泣いてるのはオメーだし」

バカリズムさんっぽいですね(笑)

『非ハリウッド』

あらすじ

スウェットすがたの男。

友だちの「マキムラ」に電話をかけている。

なにかと〝じぶんの暮らしとハリウッドスターの生活〟を比べたがる。

〝スウェットのひもが、片方だけ出なくなる〟

〝ボックスティッシュがきれて、代わりにトイレットペーパーで拭きとる〟

「こんなこと、ハリウッドスター(トム・クルーズ)は味わったことないんだろうなぁ」。

問題がおきるたびに、わざわざマキムラに電話をかけなおす。

しかしあいては、男のTEL番を登録せず、かけるたびに名まえを聞きかえし……。

ひとこと

笑いのポイントがつかみにくいコントだったが、みょうに印象にのこる。

〝スウェットのひもがカラむ〟など、あるあるネタで、笑いをとっているんですが、ソレだけともいえない。

なぜ何回もマキムラに連絡をするのか。

なぜマキムラは男の名まえを登録しないのか。

シュールな作品ようにみえて、じつはウラではっきりとしたワケがあるようにもみえる。

この絶妙なバランスが、おもしろい。

ちなみに、この男のキャラは、前回ライブでのコント『ヌケなくて……』『イケなくて……』でも登場した人物でしょうか。

まとめ

こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。