バカリズム『image』感想&レビューです。

公演日 2019年5月
収録 プロローグ
もう!
悪魔の契約
Cappuccino
撃て!
松沼省三の生涯

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、バカリズム『image』。

2019年の単独ライブを収録したものです。

『プロローグ』は、ライブタイトル「image」をテーマにしたコント。

全体の趣旨をあらわすと同時に、イメージにまつわる、バカリズムなりの考えが、笑いをまじえて展開されます。

『撃て!』は、銃をもつ逃走犯を追い込む刑事のはなし。

「あとから警察がたくさんやってくる」
「もう逃げられないぞ」

こういいはなつも、なかなか仲間が、あらわれない。

ぎゃくにピンチに追い込まれた刑事は、あの手この手で時間かせぎをしようとする。

けれど、犯人は銃を撃ってきて、あやうく当たりそうになる。

が、反射的にかわした能力におどろき、自分の潜在能力をあらたに発見する。

いかにもバカリズムさんらしい展開で、ついつい笑ってしまいました。

『松沼省三の生涯』は、89歳のおじいさんのはなし。

臨終まぎわ、すくっとベットから立ちあがり、これまでの生涯をふりかえる。

自身の人生では、自我・欲望を押し殺し、ひたすら人のために生きてきた。

というのも、今世はすて、来世での希望にかけるため。

来世では、好き勝手にやりたいばかりに、今世では、徳を積んできた。

そう告げたあと、来世でやりたいことを、プレゼンスタイルで披露していく。

こちらは、バカリズムさんが得意とするフリップ芸の進化版。

バカリズム自身のやりたいこと&妄想が、全面にあらわれています

個人的に良かったのは、「もう!」「悪魔の契約」「Cappuccino」 ─ 。

以下、くわしくみていきます。

『もう!』

あらすじ

ラーメン店。

職人かだきの店主は、さいきんはやりの店が大キライ。

ひとりの客にむかって、

「うちは、塩ラーメン一本でやっている」
「ミーハーねらいで、激辛やデカ盛りメニューなんかつくらない」
「もちろん、テレビや雑誌は、お断り」

と、言いはる。

そこへ、タイミングよく、テレビ取材をもうしこむスタッフが、やってくる。

主張した手前、さっきのセリフどおり、取材は断ろうとする。

そんな態度を見せた瞬間、スタッフは、すぐさま店を出ようとする。

あわてて、止める店主。

すると、さっきの言葉とはうらはらに、

・店を取材していい
・お客の顔も映していい
・レシピも知りたければ教えてあげる

と、大盤ぶるまいして……

ひとこと

わりとベタな展開ながら、ついついわらってしまいました。

バカリズムさん演じる、店主の〝職人かたぎ風の口調&態度〟が、なんともいえない魅力をはなっています。

かたくなに「塩ラーメン一本でやってるから」とくりかえすセリフには笑いがとまりませんでした。

バカリズムさんは、シュールが売りなんていわれます。

けれどこの作品をみるかぎり、ベタもシュールもカンケーなく、笑いにとりくんでいることがわかります。

やはり、ムズしいことは考えず、笑うのが視聴のコツです。

『悪魔の契約』


あらすじ

アパートで、ひとりの男が、くつろいでいる。

そこへ、ひみつの儀式により、魔界から呼び出された「悪魔」がやってくる。

呼び出したからには、おまえの寿命とひきかえに、願いをひとつ叶えてやろう、とアパートの男にいいはなつ。

しかし、悪魔を呼びだしたことに、身におぼえのない住人 ─ 。

どうやら、儀式をおこなったのは、まえに住んでいた人らしく、当人はすでに引っ越していた。

呼びだした者の住所がわからず、途方にくれる悪魔 ─ 。

しかたなく、目のまえの男にたいして、条件とひきかえに願いをかなえてやろう、と言いはなつが、住人はあっさりことわる。

さらには、契約を申し込んでいるからには、そっちが条件を下げろ、とまで言われる。

契約をしないと、魔界に帰れない悪魔は、しぶしぶ条件をさげて、

・中古のCD
・日焼けしたフィギア
・毛玉のついたアウターコート

と交換で、手を打とうするが……

ひとこと

このあと、悪魔につづき、「死神」までやってくる。

悪魔と同じく、魂とひきかえに、願いをいいはなつ。

このあたりの反復も、おもしろいですね。

まえの住人は、やたら儀式に凝っていたようで、そこが透けてみえるのも、よかったです。

悪魔・死神とはいえ、フリな立場になれば、人間に屈するしかない ─ 。

バカリズムならではの考察にみちた作品だといえます。

ラストのオチも、うまかった。

『Cappuccino』

あらすじ

カフェ。

ふたりの男女がはなしている。

男が、

・ジム通いで、割れた腹筋
・家賃が高そうなリビングの写真

を、女にみせる。

男の〝ひけらかし〟に、イヤな顔をせず、手をたたいて、ホメる女 ─ 。

しかし、男のはなしをきくたびに、クシャミが止まらない。

気になった男がたずねると、女は、

「このクシャミは、『自慢アレルギー』だ」

と、つげる。

自分はイヤとは思ってないんだけど、自慢ばなしをきくと、カラダが勝手に〝拒否反応〟をおこすらしい。

その後も、男のそれとない自慢ばなしに、クシャミを連発して……

ひとこと

こちらは、めちゃくちゃ皮肉のきいたコント。

ライブでは、毎回このモチーフの作品が披露されますね。

「小麦アレルギーの人が、小麦がキライじゃない」というリクツで、自慢ばなしはキライじゃないが、意志に反して、カラダがアレルギー反応をおこす ─ 。

この発想は、バカリズムさんにしか出せません。

ふだんのバカリズムさんの思いが透けているようで、とてもよかった。

とくに男の人は、自慢ばなしは、やめましょうね(笑)

まとめ


こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。