| 公演日 | 2010年2月 |
| 収録 |
クレーム 落ち込む同僚 自虐 遭難 恩師 誕生日 カクピーの結婚 |
どうも、コント作家のりきぞうです。
きょうも、コント作品をレビューしていきます。
取りあげるのは、東京03の『自分、自分、自分。』。
10回目の単独ライブを収録したものです。
この作品でも、日常で感じる違和感を、コントにしています。
『落ち込む同僚』&『遭難』では、角ちゃんのアタフタするキャラがいい感じに出ています。
ラストの『カクピーの結婚』は、長尺コント。
じっくりコントを観たい人にはオススメ。
…
そのなかでもよかったのは、「自虐」&「恩師」 ─ 。
以下、くわしくみていきます。
目次
『自虐』
人物
学生時代の先輩(角田)
後輩①(飯塚)
後輩②(豊本)
場所
披露宴の会場
あらすじ
友人の結婚式。
独身の先輩ひとり、後輩ふたりが参加。
場をもりあげるため、先輩が自虐ネタを披露。
・顔だってワルい
・こんなオレに嫁なんかくるわけがない
けれど後輩ふたりは、真にうける。
あわれんでかなしい顔に。
あせる先輩は、ネタとわかってもらおう、と大げさに自虐をくりかえす。
さらに、かなしい表情をみせる後輩。
本気で同情する後輩たちにたいして、先輩は……
ひとこと
ふだんの生活でも、自虐で盛りあげようとする人は、いますよね。
フツーは「そんなことないです」ってフォローする。
けど、本気で心配すると、どうなるか? ─ そんな発想から生まれたコントです。
日常のワンシーンを、うまく切り取っていますよね。
ポイント
笑いのポイントをみていきます。
コントで大事なのは、キャラクターとプロットです。
この作品ではプロットに注目してみます。
コントのプロットはとてもシンプルです。
[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。
なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。
パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。
ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「逆転」だとわかる。
「逆転」では、ひとつの出来事をキッカケに、それまでの立場が反転するようすを描きます。
人物の地位や権威をひっくり返すことで笑いを生み出していきます。
この作品でも、後輩たちを楽しませるはすが、ぎゃくに、先輩の自分が同情される立場に追いやられる。
喜ばせるはずが、はんたいに、自分もまわりも悲しませてしまう。
図にすると、こんなかんじ。
・自虐を「ホントのこと」だと受けとる後輩
・先輩に同情
・そのやさしさが、先輩を凹ませる
先輩 < 後輩
ネタだと気づかない後輩にキレる先輩 ─ 。
ですが、はなしの後半、自虐のほとんどが、じつは事実だったコトが発覚 ─ 。
こんなかんじでオチにもっていく。
また、先輩が自虐を言うたびに、後輩たちの悲しげな表情が深まっていく演技も Good でした。
『恩師』
人物
同級生① (飯塚) … 同窓会の幹事
同級生② (豊本) … 同窓会に参加する元生徒
教師(角田) … 同級生2人の元担任
場所
居酒屋の通路
あらすじ
トイレから出たとき声をかけられる飯塚。
相手は中学時代の元担任。偶然の再会によろこぶ。
しかしどこか気まずいようす。
というのも、まさにいま同窓会の真っ最中。教師が嫌いで招待しなかった。
その場を去ろうとする飯塚に、教師はコミュニティサイトから同窓会開催の情報を知ったことを告げる。
自分をのけものにした生徒たちを説教しにきたらしい。
けれど飯塚は暴力をふるわれるくらい嫌われているため、乗りこむのはやめたほうがいいと説得。
それでも教師は言うことをきかず……
ひとこと
これまた日常におこりそうな話をネタにした作品。
東京03らしいです。
教師のねっちっこい性格を、角ちゃんがうまく演じています。
ポイント
笑いのポイントをみていきます。
今回もプロットに注目してみます。
さきほど、プロットの「展開」には「型」があるといいました。
ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「交錯」だとわかる。
「交錯」は、隠した感情や事実がバレないように、ひとりの人物が、コトバやアクションを取りつくろうようすを描き、ストーリーを展開させる。
アタフタするすがた or 事態が明らかになっていくようすが、笑いを引きおこす。
この話でも、同窓会の件を生徒が教師にかくし、ただの飲み会だとウソをつく。
当たりさわりのない会話で、状況から逃れようとする。
生徒が取りつくろうようす or 同窓会を知る教師がやってくるようすが、笑いをひきおこす。
図にするとこんなかんじ。
- 同窓会の事実を隠す生徒が、取りつくろう
- 同窓会の事実を知る教師が、それとなくさぐる
飲み会 = 同窓会
プロットの軸になっているのは、先生に内緒で同窓会を開いているという点 ─ 。
このできごとがキーとなり、はなしが展開する。
「交錯」の構図では、
・なにかを隠したもの同士が接することで、どんな笑いが起きるか
に注目すると、しくみがはっきりみえる。
たとえば、このあと、トイレにいって帰ってこない飯塚を、友人・豊本がよびもどしにきます。
先生への危害をおそれた飯塚は、先生に隠れてもらう。
で、それとなく「もし先生が来たらどうする?」とたずねる。
豊本は「ボッコボコだよ〜」と、あっけらかんにこたえる。
こんな過激なセリフも、先生を抜きに同窓会を開いているため。
先生がいると思わずに、暴言をはくすがたが、よりいっそう笑いをひきおこす。
こんなふうにプロットの流れに注意してみると、深くコントを把握できます。
もちろん、フツーにみてもおもしろい。
コミュニティサイトで悪口を書かれている事実をしみじみ語る教師なんか、ほんといい味をだしてますよね。
「ボッコボコだよ〜」と笑顔でいいはなつ豊本さん演技も「残虐性」が、かいまれる。
ほんとにうまいです。
まとめ
こんなふうに、ストーリーの構成に注目すると、よりコントを楽しめます。
ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。ちがう記事ものぞいてみてください。
ではまた。
よきコントライフを〜。


