【書評】谷田部 卓『これからの AI ビジネス』感想&レビューです。

どうも、りきぞう(@rikizoamaya)です。

大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。

社会人なってからは、予備校講師 → ウェブディレクター → ライターと、いろんな職業にたずさわってきました。

働き方についても、契約社員 → 正社員 → フリーランスと、ひと通り経験してきました。

数年まえから「 AI 技術」が話題になってますね。

これからますます、あらゆる産業に人工知能が浸透していきます。

どんな年代・職業の人でも、AI にかんする知識は、避けられそうにありません。

とはいえ、AI の内容はフクザツで、とっつきにくいですよね。

  • 言葉は知ってるけど、そもそも AI って、なに?
  • AI が普及するっていうけど、具体的にどうなるの?

こんなギモンをもつ人も多いはず。

わたしもそうでした。

そんなとき、つぎの本が目につきました。

谷田部 卓『これからの AI ビジネス』


著者は、エンジニアでもあり、機械学習について講師をしている方です。

本書では、AI 技術について、さまざまな視点から分かりやすくまとめています。

イラストと豊富で、文章も端的にまとめています。

世のなかに AI についての入門書は、たくさんありますが、個人的には、コレがイチバンしっくりきました。

単元ごとにわかれているため、興味あるトコをサラッと読むことができます。

全体をとおしても、2時間くらいで読みきれると思います。

谷田部 卓『これからの AI ビジネス』の概要

大まかな目次は、こんなかんじ。

PART1 人工知能とは何か
PART2 AIビジネスの登場
PART3 AI活用の時代
PART4 AI活用の時代
PART5 変容する社会における企業の姿


PART1で、人工知能の特徴。

PART2で、近年の AI ビジネスの動向。

PART3で、今度のビジネスにおける、AI 技術の活用法。

PART4で、AI 経済で必要になるスキルと能力。

PART5で、AI が普及したあとの社会全体のイメージについて述べています。

構成がスッキリしていますね。

『これからの AI ビジネス』で気になったトコ

以下、引用をのせつつ、気になった箇所についてコメントしていきます。

さいきん注目 AI 技術 ≒ 機械学習

「人工知能」と一口にいっても、その技術(方法論)はさまざまです。

そのなかで、いま話題になっている技術が、「機械学習」です。

機械学習とは、AI を成立させるための技術です。

過去のデータから、キカイがくりかえし学習し、ある対象の「パターン」や「特徴」を発見するテクノロジーです。

機械学習の種類

機械学習の種類は、つぎの3つです。

  1. 教師あり学習
  2. 教師なし学習
  3. 強化学習

研究者によって分類はさまざまですが、一般的には、こんなふうに区別されます。

それぞれ、つぎのように説明します。

教師あり学習

あらかじめ正解のデータ(教師データ)を必要とする。教師データからパターンや特徴を学習させる。(015)

教師あり学習

正解のデータ(教師データ)を与えずに学習させる。教師あり学習とは異なる用途で使用される。(015)

強化学習

教師あり学習のように明解は正解のデータ(教師データ)を与えずら行動の選択肢と報酬(評価・採点)を用意する。正解がわからない問題に対して、試行錯誤しながら答えを探していく。(015)

つまり、「課題解決の道すじ」と「膨大なデータ」をキカイに組み込めるかどうかが、「教師あり学習」「教師なし学習」の区別になります。

教師あり学習の1分野=ディープラーニング

AI の話題では、「ディープラーニング」というフレーズをよくききます。

ディープラーニングとは、機械学習 → 教師あり学習の1ジャンルです。

じつはこの技術が「ブレイクスルー」を果たし、AI 全体のテクノロジーが再注目されるようになりました。

そのキッカケとなったできごとが、有名な「グーグルの猫」です。

膨大な画像データ(写真)をとりいれたキカイが、「猫」の特徴を見ぬき、分類できるようになりました。

これを機に、AI なかでも「ディープラーニング」の技術が一気に注目され、各企業が参入に乗りだしました。

いまでは、AI といえば、ディープラーニングのことを指してもいいほどです。

ディープラーニングの弱点

とはいえ、あたりまえですが、ディープラーニングも万能ではありません。

デメリットがあります。

それが「過学習」の問題です。

ディープラーニングは〔……〕画像認識において人の眼をも凌駕することができます。しかしその精度を出すためには、数十万という大量の教師データが必要になります。この教師データがないと、うまく学習できません。 この過学習は非常に厄介な状態で、教師データにだけにしか正解が出せない状態です。いわば学生が一夜漬けで教科書を丸暗記したようなもので、ちょっと捻った応用問題を出されると、手も足も出せないのと同じ状態になります。(036)

つまり、課題を解決をしようとしても、ベースとなる「ビッグデータ」がなければ、キカイは〝妙な解答〟しか導かないということです。

これは理解できる問題ですよね。

だからこそ、大手 IT 企業は、利用者からお金を払ってでも個人データを獲得しようとします。

おとなりの中国なんかは、政府がじかに国民ひとりひとりの情報を管理している状態です。

それもこれも、AI の精度を高めるために必要だからです。

ビジネスにおける「機械学習」の3要素

しくみとしてはうえにあげたとおりです。

それをふまえて、ビジネスにおいて「機械学習」は、3要素から成り立っている、とされています。

  1. 情報科学
  2. 計算機環境
  3. ビッグデータ

イラストでは、こんなかんじ。

① 情報科学は、いわば理論&方法論(アルゴリズム)にあたるトコです。

うえにあげた「機械学習」「ディープラーニング」もココに含まれます。

じっさいの担い手は「データサイエンティスト」となります。

② 計算機環境とは、おもに演算機器をさし、たとえば「GPU 搭載のコンピューター」「クラウド」などが、その例です。

① の理論をベースに、② において実装されていきます。

そして、③ のビッグデータで、② の成果を検証し、正しい解を学習させていきます。

ビジネスで機械学習(AI 技術)を活用する場合、この3つの要素がカギになります。

逆にいえば、どれかひとつでも欠けていたら、そのサービスは失敗の道をたどります。

AI ビジネスの課題

3つの要素は前提として、そのほか AI ビジネスでは「お金」の面でも、さまざまな問題があります。

顧客の課題を機械学習で解決可能かは詳細検討が必要であり、じっさいに PoC をしないと判明しない。この場合の「初期費用回収問題」を解決する必要がある。

顧客の課題が解決可能でも、その解決コストの対費用効果を顧客が受け入れるかどうかも問題となる。(086)

どこかの企業が AI を活かそうとしても、その前段階で、対象となるサービスで、「AI が使えるのか」を検証する必要があります。

そして、この検証にかける費用が、めちゃくちゃかかるわけです。

さらにいえば、導入したにしても、ずっと継続していくわけですが、その運用費もかかります。

ユーザー企業は、未だに人工知能かあれば何でも解決できるといった安易な考えが大半です。大手 IT 企業なら AI テクノロジーが得意なので、何とか課題解決できるだろうと思っているようです。〔……〕PoC がうまくいき、機械学習で課題解決の目処がたっても、実用化するさいのコストが高すぎて ROI (投資利益率)が合いません。(087)

AI をビジネスで活かすには、この2つの壁があるわけです。

「AI 経済」で必要なスキル&行動

この手の話題はさんざんされていますが、本書の答えはシンプルです。

AI が得意ではないことをする、AI にはできないスキルを身につける、というものです。

では、AI が不得意なのは、どんなことか。

それは、つぎの3つです。

  1. 課題を設定する
  2. 自然な会話
  3. 創造的な作業

仕事において、人間が付加価値を出すには、この3つの能力を伸ばすのが得策です。

具体的な行動(コンピテンシー)としては、つぎの5つです。

  1. 課題設定力・目的設定力
  2. データ活用や IT にかかる能力・スキル
  3. コミュニケーション能力
  4. 分野を超えて専門知や技能を組み合わせる実践力
  5. リーダーになる資質

さらにじっさいのスキル・思考法としては、つぎの3つがカギになります。

  1. 知識と情報判別
  2. 寛容性とアレンジ
  3. アート思考

ちなみに、③ アート思考とは、論理的な思考をベースとした、(自分なりの)「美意識」「スタイル」「感性」のことです。

抽象的でわかりにくいですが、とにかく今日明日で身につけられるものではありません。さらにいえば、だれかが教えてくれるものでもなく、マニュアルがあるわけでもありません。

ふだんから書籍などをよみ、自分なりの思考法で、スタイルを確立していくしかありません。

なかなか不透明で、困難な時代だとわかります。

おわりに

AI をテーマした本は、カンタンなものからムズかしいものまでさまざまです。

本書は、入門書としては最適で、ざっくり AI を知りたい人にはおすすめの1冊です。

イラストも豊富なので、高校生くらいの知識があれば、わりとさらさら読みすすめられると思います。

よければ、チェックしてみてください。

ではまた〜。