【書評】石角友愛『いまこそ知りたい AI ビジネス』感想&レビューです。

どうも、りきぞう(@rikizoamaya)です。

大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。

社会人なってからは、予備校講師 → ウェブディレクター → ライターと、いろんな職業にたずさわってきました。

働き方についても、契約社員 → 正社員 → フリーランスと、ひと通り経験してきました。

数年まえから AI(人工知能)が話題になっています。

今後、経済・仕事・生活に、普及するとされてきます。

どんな立場の人にも、避けられないテクノロジーになりそうです。

とくにビジネスにおいては、知らなくてはならない技術です。

とはいえ、AI はフクザツで、とっつきにくいイメージがありますよね。

「自分のビジネスに、どう応用するの?」
「AI を導入したあと、自分の仕事はどうなるの?」

こんなギモンをもつ人も多いはず。

わたしも、自分の商売や仕事への知りたいと思っていました。

そんなとき、つぎの本が目につきました。

石角友愛『いまこそ知りたい AI ビジネス』



著者は、AI ビジネスの本拠地『Google』に勤めたあと、シリコンバレーで起業した方です。

第一線で、AI ビジネスにたずさわったいる方。

いまは、日本企業向けに、AI 導入のアドバイザーをしているようです。

AI ビジネスの将来と課題を、実体験をもとにのべています。

AI が普及したあと、自分の産業がどう変化し、働き方がどうなるのか──。

ギモン&悩みをもつ人には、ぴったりの内容になっています。

石角友愛『いまこそ知りたい AI ビジネス』の概要

目次は、こんなかんじ。

第1章 ここがヘンだよ、日本の AI ビジネス
第2章 AI ビジネスの最先端を見てみよう
第3章 AI を導入したい企業がすべきこと
第4章 AI ビジネスの課題とは
第5章 AI 人材とこれからの日本
第6章 AI 時代における私たちの働き方


1章で、AI ビジネスの現状。誤解されているトコと理由をのべる。

2章で、AI ビジネスの事例を紹介。

3章で、じっさいに AI を導入する手順をのべる。

4章で、AI ビジネスの課題について。著作権など、法律の視点から、これからの問題をあぶり出していく。

5章では、AI 時代に求めれる人材と資質について。教育のあり方をのべる。

6章は、AI 普及後のキャリアについて。ココをイチバンに読みたい人が多いかも。

全体として、事例が多いのが特徴です。

納得しながら、読める内容になっています。

石角友愛『いまこそ知りたい AI ビジネス』の詳細

以下、引用をあげつつ、コメントしていきます。

AI は道具にすぎない

AI を話題にするとき、「人間の知能を越えるか」が問題になります。

とはいえ、しょせん AI はキカイです。手段にすぎません。

あたりまえですが、支配されることも起こりません。

まずは、この認識をもつ必要があります。

しかし日本では、AI を「モノ」とみなし、自分たちの仕事やビジネスに、フリな事態を起こすと考えがち。

その要因は、AI を「ヒト」のように扱うこと。

『ペッパー』など、AI を擬人化することが、ビジネス導入への弊害になっています。

AI とは〔……〕機械学習をはじめとする「手法」や学問領域の総称でしかなく、姿形のないものだ。(0215)

AI ビジネスを考えるうえでは、この擬人化が弊害になる。抽象的は概念は、抽象的なまま議論しないと、本質を見誤り、機会損失につながるからだ。(0220)

なので、ふだんの言葉づかいも、

「AI が、……する」

ではなく、

「AI で、……する」

に改めるべき。

メガネや家電と、同じレベルで取り扱うのが、ポイント。

AIビジネスにかかわる人間は、「AI」を一人称の主語として使わない。 彼らは「AI〝が〟予測する」とは言わず、「AI〝で〟予測する」という言い方をする。 これは「インターネット〝が〟メールを送る」と言わずに「インターネット〝で〟メールを送る」と言うのと同じことだ。 AIは、火や電気やインターネットと同様で、単なるツールでしかない。(0247)

ツールとみなせば、むやみに AI を恐れることもない。

「活用してやろう」とポジティブに考える人も増える。

「仕事が奪われるかも……」なんて、不安に陥る必要とない。

「AI=よくわからないブラックボックス」ではなく、 AIを作るのは自分たち人間で、AIに指示を与えているのも人間である ということが早いうちに理解できると、「AIには意志があって人間を超えるのか?」とか「AIは私の仕事を奪うのか?」といった議論から離れることができるだろう。(0276)

AI の活用で成長する産業は7割

じっさいに、『マッキンゼー』のレポートによると、今後 「AI ツール」を導入することで、伸びる産業は、7割を越えるとされています。

とくに、観光・物流・小売・自動車のジャンルでは、インパクトは大きい。

よくみると、じかに人がたずさわる産業(=サービス産業)が多いですね。

とくに、日本の場合だと、8割以上が「サービス産業」でまわっています。

深刻な人手不足の状況では、貢献度は、より高くなります。

企業規模もカンケーない

さらに、コストが下がり、AI があたりまえになってくると、企業規模にカンケーなく、導入することになります。

うちは中小企業だから関わりないと、〝たかをくくっている〟と、必要不可欠な技術に、乗りおくれることになる。

そうならないためにも、〝おっくう〟がらずに学んで、導入できないかトライしてみるキモチが必要です。

「AI導入は企業サイズにかかわらず〝now or never〟の状況だ」とお伝えした。「自分の業界には縁がない」「うちの会社は小さいから関係ない」とは言えない時代に突入していることがおわかりいただけただろうか。(0367)

しかし〔……〕裏を返せば、 今、正しくAIの導入をすれば飛躍的に事業を成長させるチャンス だともいえる。今から取り組めば、〔……〕売り上げも利益も倍以上にできる可能性も十分にある。(0371)

導入のコツは、課題を把握すること

AI を導入するとき、かならず壁になるのが、

「ビッグデータがない」
「データを得る方法がない」

という、問題。

しかし「データ」いっても、さまざま。

使えるデータもあれば、活用できないデータもある。

データさえあれば「すべて解決できる」というわけではない。

〔……〕多くの日本企業が「データ集めなきゃいけない病」にかかっていると感じる。
AIの活用は、必ずしもビッグデータを集めなくてはいけないわけではない。 「まだこれくらいしかデータが 溜まっておらず、見てもらうには不十分ではないかと思っている」と相談にみえる企業もあるが、実際に手元にあるデータを見ると、十分面白い解析ができるケースも少なくない。有効なデータであれば、数百行のリストでもいい場合もある。 (0868-0867)

大切なのは「なにを解決したいのか」

くりかえすと、AI はツールにすぎない。

とすれば、そのツールをつかって、「いったいなにを解決したいのか」のほうが、より重要になる。

メモを残すためにペンを持つ。逆ではない。

ペンだけ持ってても、しかたない。

データはあくまでデータに過ぎず、大事なのは、そこから質の高いモデルを作り、それを商品や製品に組み込み、金のなる木に変えることである〔……〕(0913)

AI におけるデータは、「燃料」「石油」にたとえられる。

これにならえば、石油だけもっていても、仕方ないことになる。

石油をつかって、なにをするかが、ビジネスで重要になる。

アマゾンの元チーフサイエンティストであるアンドレアス・ワイガンド氏は、「データは『 21 世紀の石油』と同じ」 と発言している 15。 これには「データを持つ会社が世界を動かす」といった意味もあるが、石油もデータも「生のままでは使い物にならない」 といった意味でもあると私は理解している。データは、使える形に処理してこそ価値が生まれるものなのだ。(0915)

ツールに振りまわされずに、課題の設定のほうが大事。

それを軸に、AI を学び、導入する。

AIビジネスを考えるときは、ニーズや課題を抽出する必要がある ということ。そして、その ニーズや課題解決にAIが寄与できるとなると、新しいビジネスモデルが生まれ、イノベーションが起こる ということだ。(0653)

AI 導入で、仕事は増える

「仕事が奪われる」という意見もありますが、とはいえ、新しいテクノロジーは、やはりタスクと雇用を増やす。

むしろ、「キカイが置きかえる」とされるタスク&仕事も、奪われることはない。

例として、配車マン(トラックドライバー)をあげる。

AI で、配車の管理システムを作ったとき、こんな質問を受けた。

どのトラックがどこに届けるか、という仕分けとスケジューリング(配車作業)は、これまで配車マンが毎日数時間かけて行なっていた。 そこで我々は、その配車システムを行なっているベテラン配車マンが、どのように配車を行なっているかをAIに学習させた。 〔……〕彼は「これから僕の仕事はどうなるんでしょうか?」と、不安そうな声で聞いてきた〔……〕。(2031-)

だれもが抱きそう質問だが、心配はいらない。

断言できるが、彼の仕事は、これからもなくならない。なくならないどころか、むしろこの配車システムを導入したことで、彼のポジションが最も安泰なポジションになったといえる。彼にはこれから、AIを教育するトレーナーとして活躍してもらわなくてはならないからだ。このAIモデルを企業内で横展開していくためには、彼の知見が最も重要になってくる。(2031-)

現場ならではの意見ですよね。

批評家や経済学者は、「AI が仕事を奪う」と主張しがちです。

しかしじっさいにビジネスにしていれは、配車マンと同じような状況におかれている人が多いはず。

むしろ日本の場合は、「人手不足」なので、AI をつかうのが得策。

すばやく導入し、うまく活用できる人が、豊かさに過ごせます。

今、日本は高齢化と少子化で、慢性的な人手不足だ。 この先はより一人あたりの生産性を上げていかないと、国際競争の中で生き残っていけない。 機械に任せられる部分は任せ、限りある時間を人間にしかできない仕事に充てていくと考えることは重要である。(2153)

これからは、AIに仕事が奪われる時代になるのではなく、AIを使いこなしてより良い仕事をしてキャリアアップしていく人と、そうでない人に分かれる時代になる といえるだろう。(2156)

おわりに

そのほか、AI 時代に活躍できる資質など、より実践的なアドバイスが述べられています。

ひとりのビジネスパーソンとして、どうキャリアを歩んでいけば良いかを考えるうえでも参考になります。

もちろん、事例をあげつつ、ビジネスへの AI 導入法も書かれています。

じっさいに、AI をつかって、商売をしようかなぁと考えている人にも参考になると思います。

よければチェックしてみてください。

ではまた〜。