【書評】山崎圭一『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』感想&レビューです。

どうも、りきぞう(@rikizoamaya)です。

大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。

社会人なってからは、予備校講師 → ウェブディレクター → ライターと、いろんな職業にたずさわってきました。

働き方についても、契約社員 → 正社員 → フリーランスと、ひと通り経験してきました。

働くなかで思うのは、自分の市場価値をアップするには「教養」が大切だということ。

「できるなぁ」
「発想がすごいなぁ」

と、思う人は、キホン、教養を身につけています。

なかでも、重要なのは「世界史」です。

ここ数年、ビジネスマンの必須知識として「世界史」が注目をあつめています。

ネット時代をむかえ、グローバル化が加速しているからです。

海外の人たちとの交流が深まるなか、世界全体の流れを知っておかないと、マズそうです。

とはいえ、世界史は分量が多くて、どこから手をつければ良いか、わからないですよね。

そんなとき、つぎの本が目につきました。

著者は、現役の公立高校の先生。担当は「日本史」「世界史」です。

そして、YouTube で授業を、まるまる公開しています。

その経験から本書を出版しましたが、ほんとにわかりやすいです。

なによりすばらしいのは、その構成です。

「大航海時代」「ヨーロッパ近代の幕開け」を軸に、世界史の流れを追っていきます。

わたしも何度も、世界史を本を読んできましたが、いまひとつわかりませんでした。その場では理解できるんですが、すぐに忘れてしまうんです。

いっぽう本書は、「近代」を軸に、世界史全体をながめるため、忘れてにくくになっています。

・ざっくり世界史の流れを知りたい
・社会人として、学びなおしたい

こんな人たちには、ピッタリの本です。

『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』の概要

まずは目次から。

こんなかんじです。

ホームルーム1 「わかりにくい」という世界史の教科書の〝弊害〟
ホームルーム2 世界史は数珠つなぎにして学べ!
ホームルーム3 世界史は「年号」を使わずに学べ!
序章 人類の出現・文明の誕生
1章 ヨーロッパの歴史
2章 中東の歴史
3章 インドの歴史
4章 中国の歴史
5章 一体化する世界の時代
6章 革命の時代
7章 帝国主義と世界大戦の時代
8章 近代の中東・インド
9章 近代の中国
10章 現代の世界

「ホームルーム1〜3」で、本書の特徴をのべたあとに、時系列で歴史をたどっていきます。

2章〜4章で、各地域の「古代〜中世」までの流れをみていきます。

5章で、「近世」をとりあげ、各地域が一体化していくようすを描いていきます。

6章〜9章で、、近代化した世界をのべていき、ラスト10章で、戦後の状況をおっていきます。

教科書らしく、たいへんスッキリした内容です。

『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』の詳細

以下、気になったトコを、カンタンにのべていきます。

構成がすばらしい

うえにも書きましたが、なにより構成がすばらしいです。

「5章」の世界が一体化する時代を軸に、ヨーロッパ・中東など、それまでの各地域のようすを描いていきます。

そして、世界が一体化し、近代化を果たしていく状況をみながら、「産業革命」や「独立戦争」、2つの「世界大戦」を、個別でみていきます。

1章から4章までで、「ヨーロッパ」「中東」「インド」「中国」という4つの地域を取り上げ、それぞれ古代から大航海時代までの歴史を解説していきます。5章以降から、いよいよ4つの地域が一体化する世界史に入ります。5章では大航海時代をメインに、6章、7章で近代のヨーロッパ世界が、様々な革命を通じて世界中に影響力を強めていく過程を解説します。(0394)

8章、9章で、近代のヨーロッパ世界に大きな影響を受けた中東・インド・中国などのアジア世界の変遷を解説します。そして最後に、10章において第二次世界大戦後から現代につながる世界の歴史を解説する、という流れになります。(0398)

世界史を知ろうとするとき、それぞれの年代や事件を、〝つまみ食い〟するように、学びがちです。

この本では、「世界の一体化」「世界の近代化」を軸に、世界史をとらえるので、全体の流れを大まかに理解できるようになります。

これは活気的だと思います。

世界史の教科書は、フクザツすぎる

たとえば、学校でおしえる世界史は、各地域も年代も〝とびとび〟です。

グラフにあらわすと、こんなかんじだそうです。

やる気、失せますよね。。

そりゃ、受験生が苦労するわけです。

いっぽうで、本書の構成をグラフにあらわすと、このようになります。

スッキリしてます。

「大航海時代」&「世界の近代化」を軸にしたことで、全体のながれを、ざっくりとらえることができるわけです。

物語としても、おもしろい

この構成&枠組みの発想は、 むかし遊んだゲームからヒントを得たそうです。

私がかつて遊んでいたテレビゲームに、「前半は、複数の主人公がバラバラにストーリーを展開し、後半でそれらの主人公が集まって1つの物語をつくっていく」というロールプレイングゲームがありましたが、本書の構成も、同じようなイメージです。(402)

ここでいうテレビゲームとは、『ドラクエ4』のことです。

やった人ならわかりますが、『ドラクエ4』では、ひとりの登場人物の視点から、ストーリーが展開するわけではありません。

「ライアン」「トルネコ」 など、複数&個別の視点から、ストーリーが展開し、そのあと、じょじょにあつまり、パーティー(チーム)を組んでいく流れになっています。

本書も同じです。

「ヨーロッパ」「中東」「インド」など、各地域のストーリーをみたあとに、「大航海時代」をキッカケに、それぞれの地域が一体化していくようすを描いていきます。

こうすることで、ゲームと同じように、物語としても楽しめます。

飽きることなく、さいごまで読みとおせるわけです。

それぞれの地域の特徴

各地域の特徴も、わかりやすいです。

ゲームでいう「キャラ」の特色を、上手に説明してくれています。

たとえば、ヨーロッパは温暖な気候と生産力の高さをバックグラウンドに、有力な国が多く出現し、世界に大きな影響を及ぼしていきます。中東は、砂漠に点在する多くの部族をまとめるイスラームの存在が欠かせないものとなります。インドは宗教・民族・言語など、1つにまとまらない「多様性」が特徴となります。中国では、独裁的ともいえる強力な指導者が次々と登場します。(0408)

メインとなる4地域 ─ ヨーロッパ・中東・インド・中国 ─ の特徴をはじめに設定しておくことで、近代化&グローバル化のあとのようすを、深く理解できるわけです。

各地域の「個性」をつかむことで、5章以降の内容が、より立体的に理解できるようになります。(0410)

フクザツな歴史状況も、カンタンに解説

そのほか、わかりにくい歴史状況も、端的にのべてくれます。

個人的に、「中世ヨーロッパ」のようすは、フツーの本をみても理解しづらいです。

いっぽう、本書では、スッキリまとめてくれています。

たとえば、「神聖ローマ帝国」の成り立ちは、こんなかんじ。

フランク王国(ドイツ)では、分裂後から100年も経たないうちにカール大帝の血をひくカロリング家が断絶し、諸侯の選挙で王が選ばれるようになります。中でも、オットー1世 という人物は、アジア系の マジャール人やスラヴ人と戦って勝利し、名声を高めていきます。すると、ローマ教皇がカール大帝に続きオットー1世に再び接近します。 カール大帝と同じようにオットー1世にも西ローマ皇帝の位と冠が与えられ、キリスト教会と東フランク王国は関係を深めました。のちに、キリスト教会と関係を結んだ東フランク王国は、 神聖ローマ帝国といわれるようになります。(0892)

わかりやすいですよね。

世界史を学ぶと、ローマ帝国が崩壊するあたりまで、なんとなく理解できます。

けれど、中世に入ったあたりから、〝こんがらがって〟きます。

とくに、神聖ローマ帝国の成り立ちであったり、中東とのカンケーだったり。

このあたりも、簡潔にわかりやすく解説しています。

おわりに

ますますグローバル化がすすみ、海外の人たちと交流が深まるなかでは、世界史の教養は不可欠になっています。

本書は、ざっくりと世界史全体の流れを理解するには、最適な1冊です。

この本で、各地域と年代の大まかな流れをみたあとで、個別の年代なり人物を学んでいくのが、おすすめだと思います。

よければチェックしてみてください。

ではまた〜。