うしろシティ『人生に、エクスカリバーを。』感想&レビューです。

公演日 2019年6月〜8月
収録 雪に閉ざされた山荘
電車
ここは天国
ショートコント
高校生日本縦断
地下格闘技
寿司屋のサービス
カードバトル

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、うしろシティ『人生に、エクスカリバーを。』。

10回目の単独ライブを収録したものです。

『電車』は、超能力をつかえるおじいさんと、乗客のおはなし。

夢をきっかけに、〝妙なかけひき〟をするふたりのようすが、笑いをおこします。

『寿司屋のサービス』は、クレーマーとお寿司屋さんのおはなし。

こちらも「サービス券」をめぐり、みたことのないかけひきがつづきます。

このあたりの発想は、うしろシティのおふたりにしか出せないですね。

全体をとおして、かるく笑える作品ばかりです。

個人的に好きだったのは、『雪に閉ざされた山荘』『ここは天国』『高校生日本縦断』の3本。

以下、[あらすじ → ひとこと]の順で、みていきます。

『雪に閉ざされた山荘』


あらすじ

真冬の山荘。

殺人事件がおこる。

高校生「はじめ」が犯人を推理している。

となりには、同級生の「みゆき」 。

名探偵でもある「はじめ」だったが、今回は推理にゆきづまり、犯人の目星がつかない。

そこへ「みゆき」の何気ない一言が耳に入ってくる。

それにより「ヒント」をえた「はじめ」は、犯人の検討がつきはじめる。

けれどさらにつっこんで考えてみると、ふたたび推理にゆきづまる。

そのときふたたび「みゆき」の何気ない一言が。

それにより「ヒント」をえた「はじめ」だったが、どこか釈然としない。

どうやら、さいしょから「みゆき」の手のひらにのせられているようで……

ひとこと

『金田一少年の事件簿』のパロディです。

「はじめ」ではなく、サポート役であるはずの「みゆき」のほうが事件の真相をよくわかっていた ─ この発想のもと、笑いが展開されていきます。

視点がおもしろいですよね。

ヒントをくりかえす「みゆき」に、

「その神視点からの物言いはやめろ」

と、「はじめ」がキレるシーンには、くすっとさせられました。

だれがみても笑える作品にしあがっています。

『ここは天国』


あらすじ

事件に巻き込まれてなくなる男。

目をさますと、まっしろな世界が広がっている。

そこへ笑顔いっぱいの男が、テンション高めに近づいてくる。

事情をたずねると、どうやらここは「天国」らしい。

ここでは、みんな仲良く暮らしている、きみもぼくたちを家族と思って平和に暮らしていこう、とすすめる。

とはいえ、どこか「偽善っぽい」かんじの天国に、亡くなった男は腰がひける。

さらに、すすめてくれた〝あやしげな実〟を食べている相手の男は、それがないと〝禁断症状〟が出るようで、呆然として、しゃぶらずにはいられない。

あまりの不気味さに、天国を抜け出そうとするが……

ひとこと

こちらもよくある「天国ばなし」のパロディです。

天国の住人たちがすすめる〝あやしけな実〟が、めちゃくちゃおもしろいです。

新人さんに実を分け与えようとするものの、そのかたちを見た瞬間に、動きがとまり、むしゃぶりつかずにはいられない ─ そのアクションが、ほんとによかった。

『高校生日本縦断』


あらすじ

トラックの車内。

運転手と、ヒッチハイクでひろった青年がはなしている。

15歳にして日本縦断しているらしい。

全国をまわることで、大人たちのやさしさにふれて、充実しているようす。

運転手にたいして、これまでお世話になったエピソードを、うれしそうに語る。

しかしはなしをきいた運転手は、

・泊めてくれた宿の主人
・ごはんをおごってくれたマスター

のことばかりで、運転手の〝いいはなし〟が出ないことに、ご立腹 ─ 。

ヒッチハイクの主役を、だれだと思っているんだ、と問いつめて……

ひとこと

こちらも発想がおもしろいコント。

ヒッチハイクにたいして、じっさいに運転手の心情にスポットをあてる ─ その視点が、よくあらわれています。

とちゅうまでは運転手さんの気持ちに共感するものの、じつはかれは「夢に破れた男」で、みらいに可能性のある青年に、嫉妬をいだいていた。

このあたりの構成も、ほんとにうまいなぁと感じますね。

ちなみにラストのコントで、『ここは天国』とのリンクがみられます。

ショートながら、いいかんじにまとまっていました。

まとめ


こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。