どうも、りきぞうです。
大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。
社会人なってからは、予備校講師 → ウェブディレクター → ライターと、いろんな職業にたずさわってきました。
働き方についても、契約社員 → 正社員 → フリーランスと、ひと通り経験してきました。
働くなかで思うのは、自分の市場価値をアップするには「教養」が大切だということ。
「発想がすごいなぁ」
と、思う人は、キホン、教養を身につけています。
なかでも、重要なのは「世界史」です。
ここ数年、ビジネスマンの基礎知識として「世界史」が注目をあつめています。
ネット時代をむかえ、グローバル化が加速しているからです。
外国との交流が増えたことで、日本だけではなく、地球全体の歴史を知る必要が出てきました。
とはいえ、世界史は範囲も広く、どこから手をつければ良いか、わからないですよね。
分量も多くて、なんだかムズかしそう。。
そこでおすすめしたいのが、大手出版社から出ている「シリーズ本」を読むこと。
なかでも、こちらのシリーズは、さいしょに手にとってほしいです。
中央公論社が出した「世界の歴史」シリーズで「旧版」にあたるものです。
中公は、2000年代に、あらたに「世界の歴史」シリーズを刊行しました。
こちらを「新版」とよび、以前のシリーズは「旧版」といわれます。
じつは〝読みやすさ〟でいえば、「旧版」のほうがすぐれています。
「新版」のほうは、どちらかといえば「研究者」「玄人」むけ。
世界史の流れを理解・把握するには適していません。
絶版なのが難点ですが、古本屋 or ネット通販をつかってゲットしてほしいと思います。
…
きょうは、第11巻にあたる
を紹介したいと思います。
「11」では、アメリカの形成期〜帝国主義時代直前まであつかいます。
年代としては、1600年〜1800年ごろにあたります。
また、南米・オーストラリア・ニュージーランドの歴史もカンタンですが、ふれています。
目次
中屋健一『世界の歴史 11 ─ 新大陸と太平洋』(中公・旧版)(中公・旧版)の概要
まずは目次から。
こんなかんじです。(※ こちらの都合で、番号をふりました。)
02 植民地の人びととその生活
03 自由と平等をもとめて
04 新しい国づくり
05 西にむかう若い共和国
06 ジャクソニアン – デモクラシー
07 西部開拓と奴隷問題
08 逃げられぬ南北の争い
09 南北戦争とリンカーン
10 憎悪と汚職の再建
11 「泥棒貴族」たちと労働者
12 大いなる西部の発展
13 インディアンと最後のフロンティア
14 新しいアメリカ社会の出現
15 ラテン – アメリカの動き
16 世界的強国への躍進
17 19世紀末のアメリカ
18 進歩と革新の時代
19 南太平洋の楽土
01〜14で、形成期〜帝国主義時代以前の流れを、一気にたどります。
イギリス独立戦争・南北戦争なども、くわしくみています。
いっぽうで、政治制度だったり、アメリカ社会の状況だったり、数字を出して、詳細にふれています。
15で、ラテンアメリカ。
16〜18で、発展期のアメリカ。
19で、オーストラリア・ ニュージーランドについてあつかいます。
全体として、文体もカンケツで、読みやすい。
内容については、政治・経済・文化 ─ ジャンルをバランスよくあつかっています。
中屋健一『世界の歴史 11 ─ 新大陸と太平洋』(中公・旧版)の詳細
以下、気になったトコを、カンタンにみていきます。
ポイントは、つぎのとおり。
- 孤立主義のはじまり
- 産業面での自立・独立
- 南北戦争の背景&影響
ひとつひとつ、のべていきます。
孤立主義のはじまり
いまはトランプ大統領が〝壁〟をつくり、アメリカ優先主義をかかげています。
かつてはモンロー主義があり、孤立外交をすすめました。
その意味では、伝統にのっとる手法です。
では、孤立主義のはじまりは、いつから始まったのか?
じつは、3代大統領「ジェファソン」のときにすでになされていました。
当時からヨーロッパ大陸では、戦争をガンガンやっています。
・ほかの国が戦争してるあいだに、自国の産業を強化したい
こんな理由から、外交において孤立主義をかかげました。
ヨーロッパの国際紛争に巻き込まれたくないという、この当時の国民感情は、つぎの大統領のジョン=アダムスのときでも、また第3代大統領「ジェファソン」のときでも同じであった。この3代にわたる大統領の時代、すなわち建国より20年間にわたってとられた孤立主義外交政策は、かくして第二次大戦にいたるまで、アメリカの伝統的は外交政策となり、またヨーロッパに干渉せず、干渉されないとするモンロー主義外政をも生んだ。(p.108-109)
その意味では、アメリカ外交では〝伝統的な戦略〟だといえます。
経済が弱ったら、ウチにこもる。
トランプさんは、直感的にわかっているのかもしれません。
産業面での自立・独立
教科書では、「ボストン茶会事件」をキッカケに、対イギリスとの勝利によって、独立を勝ちとったとされます。
政治面では独立は、「アメリカ独立戦争」(1775年)で獲得したものです。
いっぽう、「第二次独立戦争」(1812年)によって、経済面でもアメリカは自立・独立をはたしていきます。
キッカケは戦争によって、イギリスから商品が輸入されなくなったこと。
〔……〕新興国のアメリカは、種々の影響をうけた。なかでも、戦争前の出港禁止以来、米英貿易は困難となっていたが、ついにイギリス商品はまったくアメリカにはいってこなくなっな。このことは、〔……〕イギリスに対抗できなかったアメリカの諸産業を発展させることになった。(p.128)
なかでも木綿は深刻でした。
そこでアメリカは自国生産にシフトして、木綿中心を工業を発展させます。
こうして産業面でもイギリスの手から離れていきます。
ことに、木綿工業は急速は発展をうみ、戦争が終わったころには、保護関税さえ制定することができれば、どうやらイギリスの木綿工業に対抗しうる程度にまで到達していた。(p.128-129)
残念なことにイギリスは、戦争に敗北しただけでなく、大きな市場を手放したことになります。
のちに大英帝国を築くとはいえ、つねに成功していたわけではなかったとわかりますね。
アメリカにとっては、1775年より、1812年の戦争のほうが、大きな転機といえます。
南北戦争の背景&影響
独立戦争後、アメリカでは「南北戦争」が勃発します。
という構図といわれますが、すこし違います。
正確には、
の対立です。
つまり南部では奴隷を使わないと、成り立たないビジネスをやっていました。
べつに人種差別を目的に、奴隷を賛成していたわけではありませんでした。
しかも皮肉なことに、奴隷をつかうキッカケになったのが、綿操機の発明です。
開発者「ホィットニイ」は、綿操機をつくれば、黒人奴隷に負担がかからないと考えます。
けれど、機器の開発により木綿の生産性が向上。
結果、より奴隷をつかうようになります。
〔ホィットニイの〕発明によって、綿の生産に革命的な進歩をおこさせ、そのためにせっかく廃止されようとしていた南部諸州の奴隷制度を、より強化する結果をもたらしたからである。(p.177)
こうして南部は、奴隷なくして産業が成り立たない状況におちいります。
そのため、奴隷の使用をめぐって、北部と争うようになり、南北戦争に突入します。
ひとつのテクノロジーが、戦争を引き起こしたといえるかもしれませんね。
奴隷制度に反対であったマサチューセッツ人の一発明が、皮肉にも奴隷制度を強固にして、かつ、アメリカ合衆国の歴史を大きく変えたのである。(p.178)
北部 / 南部の実力
ではじっさいに、兵力・戦力からみたばあい、どちらのほうが優勢だったのでしょうか。
人口の規模でいえば、北部は約2000万、南部は約1000万 ─ つまり、倍近くの差がありました。
くわえて、工業も北部のほうがすすみ、全生産の 81% を占めていました。
さらに流通の開発もおくれ、 南部では食糧難にも陥っていました。
人口は北部2200万人にたいして、南部は950万、しかもそのなかには350万の黒人奴隷をふくんでいた。経済力にいたっては、圧倒的に北部が優勢で、石炭・鉄・銅などは、大部分は北部に存在し、当時の工業の 81% は北部にあった。〔……〕南部は輸送力不足のため、ときおり地域によっては食糧不足に悩まされた。(p.225)
数字だけをみれば、圧倒的に北部が有利です。
ただし、兵隊としての実力は、南部のほうが上でした。
つまり南部の人のほうが、戦いが上手だったということ。
これが南北戦争を〝ごしらせた〟要因です。
では兵力でまさる南部が、なぜ敗北したのか?
それはイギリスがカンケーしています。
独立宣言後、イギリスとアメリカのあいだで貿易は再開されていました。
じつは南北戦争当時、イギリスでは小麦がとれず、飢饉がおそいます。
そのため、南部の「木綿」よりも、北部の「小麦」がほしくてしかたありませんでした。
結果、北部ではイギリスとの貿易が積極的におこなれ、資金もうるおいます。
このお金が戦費につかわれる。
いっぽうで南部は、資金・食糧ともに底をつき、戦争を継続できなくなります。
これが敗北の決定的な要因です。
大きくみると、産業の種類(小麦 or 木綿)によって、戦争の勝敗が分かれたともいえそうです。
おわりに
旧版ながら、この「世界の歴史」シリーズは、かなり読みやすく、おすすめです。
ムズかしい用語を、ほとんどつかわず、一般の人がみても、わかるように書かれています。
なにより、知的好奇心をうながすように、歴史をたどるため、読んでいて飽きません。
ざっくり、かつ、ある程度、くわしく世界史の流れを知りたい人には、もってこいの1冊です。
よければチェックしてみてください。
ではまた〜。

