ロッチ『ストロッチベリー』感想&レビューです。

発売年 2011年11月
収録 いちご亭ジャム丸
XPhone5
おつとめご苦労さまです
八雲源五郎
タイトルマッチ
目撃者ムラサワ
サプライズパーティー
ご本人さんが…
プラマイゼロ

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、ロッチ『ストロッチベリー』。

『XPhone5』は、新作のスマホを買うために、店のまえでイチバンに並ぶ男のはなし。

2日前から並んでいたため、ついつい居眠り。

その後の悲劇が笑いを起こします。

こちらは、中岡さん演じる同じ人物が「プラマイゼロ」に再登場 ─ 。

連作コントになっています。

『ご本人さんが…』は、ものまね芸人の悲劇。

あらかじめ「ものまねの最中に、ご本人が登場する」と告げられる芸人 ─ 。

「なんで、先に言うんですかぁー」とつっこむと、なんと本人がスタジオにくるまえに亡くなってしまったらしい。

かなしみくれる芸人は、ものまねどころではなくなる。

「死」をあつかいながらも、うまく笑いにかえる流れは、なかなかうまいです。

書き手としては、かなしみを笑いをかえるのは、ほんとにむずかしいので。

どれも5分程度のネタなので、さらっとみれます。

なかみも軽いテイストなものばかり。

頭をつかわずに楽しめます。

気軽に笑いたい人におすすめです。

個人的に良かったのは、『おつとめご苦労さまです』『目撃者ムラサワ』『サプライズパーティー』の3本。

以下、くわしくみていきます。

『おつとめご苦労さまです』

あらすじ

刑務所。

出口から、ヤクザの親分が出てくる。

そこへ、弟子のひとりがお迎えにやってくる。

しかし、そのすがたは、マウンテンバイクに乗った、サイクリスト ─ 。

てっきり、黒塗りのベンツでやってくるかと思っていた親分は、すかさずツッコミをいれる。

「いま、自転車が流行っている」と気にしない子分は、ヤクザの親分を、自転車のうしろに乗せようとして……

ひとこと

ヤクザ/自転車の対比により、笑いをおこす作品 ─ 。

発想がとってもおもしろいですね。

中岡さん演じる子分の

「そうか、2人乗りしたら、出所そうそう、捕まってしまいますもんね」

のひとことには、笑ってしまいました。

セリフまわしも、うまいです。

『目撃者ムラサワ』

あらすじ

ひったりくり事件の犯人を追う刑事 ─ 。

目撃者がいないか、あたりに聞きこみをおこなう。

近くとおる若者に声をかける。

すると、犯人に近い男を見たような口ぶりみせる。

しかし、会話のふしぶしに、

「ぼくって、……じゃないないですかぁー」

と、さもお互いに知っている風なかんじで話す。

「いや、きみのことは、よく知らんわ」

とツッコミをいれていると、自分の腕時計を自慢しているなかで、さらりと、

「犯人も、コレと同じ時計をしてたじゃないですかー」

と、犯人につながる目撃情報を口にする。

あわてて、メモる刑事。

そのあとも、「ぼくって、……じゃないですかぁー」と自慢しているなかで、ちょくちょく〝犯人の手がかり〟を口にして……

ひとこと

全コントのなかで、いちばんおもしろかった作品。

発想がよく、笑うと同時に、ついついうなってしまいました。

コカドさん演じる、

「セリフの4、5回に1回は、めちゃくちゃ大事なこと、言うぞ」

のひとことは、ほんとにうまいですね。

くわえて、オチもよく、構成もばつぐんによかったです。

『サプライズパーティー』

あらすじ

部屋。

男ふたりが、友人の誕生日のために、サプライズパーティーを準備している。

友人のひとり「コカド」が

「でも、いきなり、祝ってもうれしくないんじゃないかなぁ」

と心配していると、もうひとりの「中岡」が、

「そんなことは、イヤと言っても内心は、うれしいもんだよ」

とフォローをいれる。

励まされたコカドは、そのままパーティーを用意をすすめる。

せっかくだからと、中岡に〝実験台〟になってもらい、リハーサルをおこなう。

そのとき、コカドがふと、

「中岡の誕生日はいつ?」

と問いかけると、

すかさず、

「おれの誕生日、きょう」

と、こたえる。

なんともいえない沈黙がただよう。

すっかり忘れていたコカド ─ 。

申し訳ないと思いつつ、そのままほかの友人のサプライズパーティーを準備する。

すると友人の中岡は、じつはこのサプライズパーティーの準備も、自分を驚かす〝ひっかけ〟だと思いはじめる。

ワクワクしながら、ネタバラシをまつ、中岡だったが……

ひとこと

じゃっかんプロットが、混み入っている内容です。

構成もさることながら、自分の誕生日が「きょう」であることを告げるときの、なんともいえない〝間〟が、なんともよかった。

そのときのリアクションは、おふたりにしかできない立ちふるまいですね。

この雰囲気を味わうだけでも、観る価値のあるネタです。

まとめ


こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。