インパルス『村雨 〜むらさめ〜』感想&レビューです。

公演日 2010年5月
収録 コンビニ強盗
雨宿り
科学者の誇り
ランチタイム
妖刀村雨
大人たちへ SEVEN

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、インパルス『村雨 〜むらさめ〜』。

前回のライブから約4年ぶりになります。

今回も、インパルスさんの世界観が、さくれつしています。

個人的に好きだったのは、『雨宿り』『妖刀村雨』『大人たちへ』の3本。

以下、[あらすじ → 感想]に順で、みていきます。

『雨宿り』

あらすじ

凶悪犯「神崎」を追っている刑事。

夕立にあたり、とある店のまえで雨やどりすることに。

そこに老人が立っており、「夕立のことを、むかしは『村雨』といった」とポツリ。

知的なかんじのする老人に、刑事は「神崎」のことをたずねる。

しかし、警察手帳をみせるも老眼がひどくて見えない。

ようやく警察とわかってくれた老人に、「神崎」の写真を見せるが、これまた見えない……。

それでも老人は「なにかピンときた」とくりかえし……。

ひとこと

公演タイトル「村雨」のワードについて触れ、ほかの作品にもカラむ「神崎」を紹介します。

全体のバックボーンをつたえるコント。

メタ的な役割があるとはいえ、単体の作品てしても成立しています。

老人のケータイで店のまえにある公衆電話を鳴らし、〝神崎からかかってきた〟とまどわすシーンは、わかりやすくおもしろい。

ちなみにオチは、ほかのコントにも影響してくるので、かならずチェックしてください。

『妖刀村雨』

あらすじ

「神崎」を追っていた刑事。

自宅で目を覚ますと、シャツが血だらけに。そばには刀が置いてある。

混乱していると、ソファにすわる男が声をかけてくる。

「自分は戦国時代の人斬り」
「妖刀に封印されていたが、おまえが刀を抜いてくれたことで、解放された」
「おかげで、これからも人を殺せる」

そうつたえる。

おびえる刑事だったが、「神崎の目撃情報」がケータイにかかってくる。

人斬り侍は語りつづけるが、神崎に夢中の刑事は、耳にはいらず……。

ひとこと

「人を殺してやる」とおどしても、「すこしだまってろ」とブチギレる。

立場がひっくりかえる点が、笑いどころ。

そのあと刑事がかまってくれずヒマになり、部屋のモノをいじくりだす。

戦国時代にはない道具ばかりで、さらにとまどう人斬り侍。

タジタジになるようすも、なかなかおもしろい。

オチもたいへんよくできていた。

『大人たちへ』

あらすじ

放送室をジャックする高校生。マイクをうばい、教師たちに不満をうったえる。

そのとき背後のロッカーから、初老の男が飛びだしてくる。

教師かと思いきや、留年を47回くりかえしている高校生。

ジャックした高校生に賛同し、自分も協力したいと手をとる。

さっそく訴えをさけぶが、はなしのとちゅうで、初老の高校生はマイクをうばう。

「一階の階段をスロープにすべきだ!」
「トイレの個室の便座はあたたくしろ!」
「給食の味付けが濃すぎる!」

など、高齢者ならではの不満を口にする。

的はずれな言い分をくりかえす老人に、もうひとりの高校生はイライラして……。

ひとこと

若者/老人。コントラストをきかした作品。

対比の使い方がうまいです。

高齢者の言い分も、切迫しているかんじがよく出ていて、笑いと切なさがうまくマッチしています。

〝留年を47回している〟という、ありえない設定を受け入れれば、わりとすんなり笑えることができます。

まとめ

ラストの『SEVEN』が、全体の締めくくりで、それまでのプロットを回収します。

とはいえ、個別で観たばあい、ややインパクトに欠け、〝締まりのない〟作品になっています。

そこが惜しいです。

とはいえ、ひとつひとつのコントはおもしろく、充実した内容になっています。

ぜひ、ごらんになってみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。