【厳選】AI と経済にかんする良書3冊

どうも、りきぞう(@rikizoamaya)です。

大学院では、キャリアと社会保障を研究していました。

社会人なってからは、予備校講師 → ウェブディレクター → ライターと、いろんな職業にたずさわってきました。

働き方についても、契約社員 → 正社員 → フリーランスと、ひと通り経験してきました。

数年まえから AI (人工知能)が話題になっています。

一過性のブームにおわらず、今後ますます、経済・産業・仕事に影響を及ぼし、活用されると考えられています。

どんな職種においても、AI 抜きに、市場を渡りあるいていくのは、ムズかしくなりそうです。

とはいえ、AI が経済にあたえる影響って、イメージしにくいですよね。

「市場にどんなインパクトを与えるの?」
「わたしたちの仕事はどうなるの?」

こんなギモンをもつ方も多いはず。

そこできょうは、AI と経済のカンケーを考える本を紹介したいとおもいます。

ここ数年、AI 関連の書籍がたくさん出版され、どれを手にとっていいか分からないかんじです(笑)

混乱を避けるため、マクロな経済にたいして、AI が与える影響について、マトをしぼり、ピックアップしました。

おすすめは、つぎの3冊。

  1. ① 石角友愛『いまこそ知りたい AI ビジネス』
  2. ② A.アグラワル, J.ガンズ『予測マシンの世紀』
  3. ③ 井上智洋『純粋機械化経済』

どの本も、わかりやすく、AI が経済に与える影響を説明してくれています。

AI が普及したあとの経済やビジネスをイメージするには、最適です。

以下、ひとつひとつ、みていきます。

① 石角友愛『いまこそ知りたい AI ビジネス』

著者は、AI ビジネスの本拠地『Google』に勤めたあと、シリコンバレーで起業した方です。

いまは、日本企業向けに、AI 導入のアドバイザーをしているようです。

まさに、AI が経済にあたえるインパクトを、肌で感じている人です。

たくさんの事例をあげながら、企業や会社で、どんなふうに AI が導入され、利用されようとしているのかを、説明してくれています。

「シンギュラリティ」をはじめ、AI というと、なにか「超人的もの」「得体のしれないもの」のように見なされがち。

しかし、ビジネスに落とし込むときには、パソコンやメールアプリのように「ツール」として使うのがフツーです。

(とくに日本では)AI について過度な期待 or 恐れを抱いていています。

著者が、じっさいに携わる AI の事例をみることで、その〝幻想〟をとりはらうことができます。

その意味でも、一読の価値はあります。

語り口もやさしく、どの章も納得をもって、読んでいけます。

AI ビジネスにかかわる人間は、「 AI 」を一人称の主語として使わない。 彼らは「 AI 〝が〟予測する」とは言わず、「 AI 〝で〟予測する」という言い方をする。これは「インターネット〝が〟メールを送る」と言わずに「インターネット〝で〟メールを送る」と言うのと同じことだ。AI は、火や電気やインターネットと同様で、単なるツールでしかない。(0247)

そのほか、AI 時代に活躍できる資質など、より実践的なアドバイスが述べられています。

ひとりのビジネスパーソンとして、どうキャリアを歩んでいけば良いかを考えるうえでも参考になります。

これからは、 AI に仕事が奪われる時代になるのではなく、 AI を使いこなしてより良い仕事をしてキャリアアップしていく人と、そうでない人に分かれる時代になる といえるだろう。(2156)

② A.アグラワル, J.ガンズ『予測マシンの世紀』

こちらは、アメリカの翻訳本。

著者の2人は、経済学者であると同時に、AI 開発の研究者。

両方の知見を活かして、AI が経済におよぼす影響を述べていきます。

AI には、さまざまな機能があります。

そのなかで、2人が注目するのは「予測」。

AI の発達により、「予測のコスト」が下がり、経済・産業・仕事・生活に大きな影響を及ぼすとしています。

新しいAI技術によって何が安くなるのだろう。それは予測だ。経済学者が語るように、私たちは以前よりもたくさんの予測を使い始めるだけでなく、意外なところで予測が新しく使われる場面を目撃するようになるだろう(0316)

「コンピューターは人間の知能を超える」など、学者さんの本では、AI に〝ロマン〟を抱く内容が多い。

しかし、本書は〝醒めた視点〟で AI の機能をとらえ、経済に与える影響を予想します。

コンピューター(PC)は、「計算のコスト」を下げました。

インターネットは、「検索&情報流通のコスト」を下げました。

そして、AI は「予測のコスト」を下げます。

「意思決定の手間」が省かれ、それを活用するサービスが提供されます。

たとえば、『Amazon』の配送サービスは、こう変わりそうです。

AIの予測精度はある時点で閾値を超え、アマゾンのビジネスモデルに変化が引き起こされる。予測の精度が十分に高まれば、注文を受けるまで待っているより、顧客がほしがっていることが予測された時点で商品を送るほうが利益につながる。
注文しなくても製品が送られてくれば、あなたはほかの小売業者を訪問する必要がなくなる。そして手元に届けられた商品に刺激され、もっと買い物をしたい気分になるかもしれない。こうしてアマゾンの顧客内シェアは高くなる。(0386)

いまは「予測のコスト」が「検索のコスト」を上回っているため、ユーザーが検索し、商品を選び、モノを受けとっています。

いっぽう「予測のコスト」が下がると、AI が、顧客の好みをとらえて、〝勝手に〟商品が送られてきます。

いまは精度がイマイチのため、送られてきても、「こんなモン、いらねーよ」で返品することになります。

けれど、予想のチカラがつくと、自動的に商品が送られてきたお客さんは、受け取りを拒否できなくなります。

あまりに自分の好みにマッチしているからです。

「恐ろしい」と見るか、「便利」と捉えるかは、人それぞれですが、ありそうな未来ですね。

こんなかんじで、「AI = 予測マシン」と定義したうえで、経済の行く末を説明していきます。

語り口はおカタいですが、論点がしっかりしているので、とても読みやすいです。

③ 井上智洋『純粋機械化経済』

ラストはコレ。

著者は、経済学者であると同時に、AI 技術にも知見のある方です。

本書は、「AI +ロボ」が、経済の生産過程や、個人の働き方をどう変えるかについて述べています。

マクロよりのはなしで、広い視点&長期的な視野にたって、経済の未来をみていきます。

うえ2冊とは異なり、こちらは「AI + ロボ」が、人間の経済や仕事に、いままでにないインパクトを与えるとしています。

ややSFちっくな内容ですが、読んでいて、おもしかったです。

大まかな話としては、「AI + ロボ」の急速な発展により、キカイがキカイを生産する経済が待っていると予想します。

それにともない、人間が働く必要のない社会が到来します。

世の中にたいして何も貢献しない「不要者階級」なども生まれます。

本書では、未来の社会問題にたいして、具体的な対処法は述べていません。

とはいえ、「AI + ロボ」の普及によって、どのような経済が到来するかをイメージさせてくれます。

著者の言うとおりになるかは分かりません。

とはいえ、「キカイがキカイを生み、人間の労働がいらない」社会を理解するうえでも、読んでみる価値はあります。

純粋機械化経済は、IT産業やコンテンツ産業と同様の構造を持つ。設計には頭脳を持った人間が必要だが、追加的な生産は労働者なしに機械によって自動で行われる。(4688)

直接的な生産活動にとって労働がほとんど不必要となる純粋機械化経済は、機械(資本)の限界生産力が逓減しない経済だ。そしてこの経済では、機械(資本)そのものが産出物であり、いくらでも作り出すことができる。(4708)

「純粋機械化経済」が訪れたとき、あなたならどうするか。

なにをして働き、どんなライフスタイルを取るのか──想像するだけでも、楽しくなりますね(笑)

おわりに

「AI と経済」にかんする本を紹介してきました。

数年まえから AI ブームということもあり、関連書籍もたくさん出てきました。

混乱を避けるため、今回は、AI がマクロな経済にあたえる影響をテーマにした本にしぼって、ピックアップしていました。

それぞれ主張は異なりますが、大まかな経済の流れをみるには、最適な本になっています。

ぜひ、チェックしていてください。

ではまた〜。