どうも、りきぞう(@rikizoamaya)です。
大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。
社会人なってからは、予備校講師 → ウェブディレクター → ライターと、いろんな職業にたずさわってきました。
働き方についても、契約社員 → 正社員 → フリーランスと、ひと通り経験してきました。
人口減少社会をむかえるにあたり、日本では、国債発行や社会保障など、政府の役割が、ますます大きくなってますね。
これから、市場と政府のカンケーを考える機会が多くなっていきそうです。
そんなとき、つぎの本を手にとりました。
著者は、有名な経済学者です。ノーベル経済学賞も受賞しています。
本書は、パートナーさんとの共著で、市場と政府のカンケーについて、わかりやすく解説しています。
わたしも学生時代から何度も読んでいる本です。
本書を読むと、ここ最近の政府による経済政策のデタラメっぷりがわかります。
経済のキホンを理解したい人にとって、おすすめの1冊です。
目次
M.フリードマン & R.フリードマン『選択の自由』の概要
目次は、こんなかんじです。
第2章 統制という暴政
第3章 大恐慌の真の原因
第4章 ゆりかごから墓場まで
第5章 何のための平等か
第6章 学校教育制度の退廃
第7章 消費者を守るものは誰か
第8章 労働者を守るものは誰か
第9章 インフレに対する治療
第10章 流れは変わり始めた
1章で、市場(マーケット)の機能・役割について述べます。
理論的な話がつづきますが、ココの考えを軸に、以下、国債発行や社会保障のあり方など、個別に論じていきます。
2章〜3章で、政府介入への批判。
4章〜5章は、社会保障政策について。
6章は、教育問題。
7章は、市場における生産者と消費者のカンケーについて。
8章で、労働問題と解雇規制の問題。
9章は、金融政策の問題。
10章で、これからの市場経済のあり方について述べていきます。
読み方としては、1章の経済理論をさらっと読んだあと、各章、興味あるテーマのトコから、目を通していけばいいと思います。
M.フリードマン & R.フリードマン『選択の自由』で気になったトコ
以下、引用をのせつつ、気になった箇所についてコメントしていきます。
市場のメリット
なぜ、市場(マーケット)はすばらしいのか。
それは「価格メカニズム」が働いているからです。
価格が機能することで、より公平に、利益のやり取りができます。
世界の多くの人々が、どんな中央集権的な命令を必要としなければ、お互いに話し合ったりお互いを好きになったりすることさえも必要とせず、しかもお互いが協力し合いながら、それぞれなりの利益を促進できるようにするという仕事を、われわれのためにやってくれるのが「価格機構」だ(060)
このしくみをさいしょに発見したのが、アダム・スミス。
市場をつうじて交換をおこなえば、(たとえ自己利益を追求したにしても)双方にとって、大きなメリットがあると指摘しました。
彼が「経済学の父」と呼ばれる所以(ゆえん)です。
アダム・スミスが天才としてのヒラメキを見せたのは、売り手と買い手との間における自発的な交換(これは簡単にいえば「自由市場」)から発生してくるいろいろな(相対)価格が、それぞれなりに自分の利益を追い求めている何百人もの人びとの活動を相互にうまく調整し、その結果、すべての人の生活が以前よりはよくなるようにしてくれるのだと、気付いた点だ。「それぞれなりに自分自身の利益しか追求しておらず、経済秩序を生みそうなどとはまったく意図していないというのに、これらの多数の人びとの活動は、結果的にそのような秩序を発生させることができるのだ」という考えは(……)今日においてさせ依然としてそうだ(061)
価格メカニズム ── 3つの役割
具体的に、価格メカニズムには、3つの役割・機能があります。
それはつぎのとおり。
② インセンティブの提供
③ 所得の分配
① 情報の伝達
マーケットの受け手(需要者) & 送り手(供給者)それぞれに、「価格」という効率的な情報を伝えることができます。
価格をもとに、公平なやり取りができるわけです。
価格機構は重要な情報だけを、しかもその情報を知らなくてはならない人びとに対してだけ伝達する(……)第一の情報は現在の価格によって、第二の情報は将来の引き渡しに対して提示されている価格によって(065)
マーケットが機能していれば、いまだけではなく、将来的な視野からみても、フェアなやり取りができるようになります。
② インセンティブの提供
インセンティブとは「誘引」のこと。
いわゆる「トリガー」ですね。
価格が示されることで、生産者も消費者も、「売ってみよう」「買ってみよう」というキモチになりますよね。
価格が働いていないと、なかなか売る気もおきず、購買欲もおこらないわけです。
情報を伝達してくれるいろいろな価格が(……)それらの情報に対応して行動するようにさせる誘因をもっているし、またそう行動するために必要な手段も提供してくれる(070)
ただし、政府や組織がマーケットに介入すると、価格が歪められ、メカニズムに機能しなくなる。
結果、インセンティブは阻害されることにつながります。
だからこそ、市場介入には、慎重にならないといけません。
高すぎる最低賃金の設定といったような政府による干渉が存在していたり、労働市場への新規参入を規制するような労働組合が存在していたりすると、価格機構が伝達する情報を歪めてしまったり、また情報は正確に伝達されても、これに対応して各個人が自由に行動するのを阻害してしまうことになる(074)
③ 所得の分配
ラストが分配の機能です。
価格メカニズムが正しく働けば、正しい価値をベースに、モノやサービスのやり取りがなされます。
結果、公平に「稼ぎ」が分配されるわけです。
適切な社会保障とは?
このように、価格メカニズムが正常に働かないことが、もっともマズいことです。
そのため、阻害をひきおこしやすい政府介入にたいしては、つねに敏感でならないといけません。
なかでも、政府による社会保障は、とくに注意をはらう必要があります。
いまの日本をみればわかりますが、福祉政策は、予算も多くつき、チカラをもっているからです。
〔……〕福祉プログラムは、その受益者のなかに、すべて官僚を含んでいる。われわれの考えでは、福祉支出がもっているこのような特徴が、これらの政策に欠陥が発生しないではいられない主要な原因だ(278)
それぞれ困っている人にたいして、手当てをほどこすとします。
助けてもらった人はうれしいでしょうが、助けてもらえなかった人は、不満がのこります。
ここが福祉制度の問題点で、どうしても不公平がうまれてしまうのです。
わかりやすいトコだと、「生活保護制度」がそうです。
「お金をあげていいかどうか」を役人の人たちが審査していますが、はたして公平に行われてるでしょうか?
負の所得税
この問題を解決するために「負の所得税」の提案します。
これは、収入の総額が控除額よりも低い場合、そこまで届かない分の金額を受け取ることができる、という制度です。
実際の所得が控除額より少なかった場合には、政府から助成金を受け取ることになり、どれだけの助成金を受け取ることになるかは、使用しなかった控除額の金額に応じた助成交付金率、すなわち負の所得税率によって決定される(287)
つまり、いったん「控除額の割合」を決めてしまえば、あとは足りないぶんを〝自動的に〟給付できるわけです。
控除額の割合について「全員の了解」が取れれば、ムダな手続きはいっさい要りません。
不公平感もありません。
たとえば、「控除額の割合=50%」に設定したとします。
「A さんの収入=100」、「B さんの収入=0」だとすれば、A さんへの給付は「0」で、B さんへの給付は「50」です。
逆に、「A さんの収入=0」、「B さんの収入=100」だとすれば、A さんへの給付は「50」で、B さんへの給付は「0」になります。
あらかじめ「控除額の割合」の了解をとっておけば、わざわざ個別の福祉手当てについて、いちいち議論しなくてもいいわけです。
おわりに
こんなふうに、市場と政府のカンケーがメインテーマになっています。
はじめにいったとおり、人口減少社会をむかえる日本にとって、政府の役割は、ますます重要になってきます。
長期的な視野で、これからの日本を考えるうえでも、最適な1冊になっています。
よければチェックしてみてください。
ではまた〜。

