どうも、りきぞうです。
これまで5000冊ほどビジネス書&教養本を読んできました。
今回、クラウス・ドッズ『新しい国境 新しい地政学』を読んだので紹介します。
ポイントは、つぎのとおり。
・気候変動による自然環境の変化や、サイバースペースの登場により、これまでの国境がどう変わっていくかを予想する
・なかでも宇宙空間は以前にも増して開発が進むため、よりいっそう国家間の覇権争いが激しくなると考えられる
個人的な評価は、こんなかんじ。
以下、目次に沿って、みていきます。
目次
『新しい国境 新しい地政学』 の概要

出版社の紹介文は、つぎのとおり。
イーロン・マスクが「月の大統領」就任を宣言したらどうなるのか。「気候変動」による海や河川の変化は「境界線」を移動させるのか。「スマートボーダー」は収益性の高い国境ビジネスを生み出すのか。「新型コロナ」は「資源の争奪戦」を加速させるのか。人新世で激化する「国境紛争」に地政学研究の第一人者が迫る。
─ 出版社から
みてわかるとおり、本書では、
・南極
・宇宙空間
・サイバースペース
など、これまで想定されなかった要素をくわえつつ、これからの国境のあり方が、どんなふうに展開されるのかを、最新の地政学研究をもとに検証します。
新しい環境が生まれることで、いま現在の国家はどう変わっていくのか ─ 国際政治の観点からみても、示唆にとんだ内容になっています。
『新しい国境 新しい地政学』のポイント

個人的に面白かったのは、宇宙空間をめぐるはなし。
いま現在、民間企業による宇宙開発が急ピッチで進められています。
さいきんでは、Amazon の創業者ジェフ・ベゾスや、元 ZOZOTOWN の前澤友作さんが、宇宙へ行ったことで話題になりましたよね。
このように、宇宙開発にかんしては、従来の国家間競争ではなく、民間企業による経済競争にシフトしているようにみえます。
しかし著者によれば、宇宙空間においては、いままでどおり国家の影響力が強い、と指摘します。
むしろ国家の力なくしては、円滑な宇宙開発はできない。
理由のひとつがデブリ(宇宙ゴミ)の問題です。
現在、これまでの開発競争によって、宇宙空間(低地帯エリア)には、使用済みとなった衛生機器が、たくさん飛びまわっています。
このデブリこそがやっかいで、新規にロケットを飛ばすさい、ゴミとなった衛生機器がぶつかり、破損といった大惨事につながります。
そのため、民間企業をふくめ、新しくロケットを打ち上げる組織や機関は、デブリの回収に国家のサポートをもとめることになります。
そもそもゴミを出したのが国家であり、国家規模の組織でなければ、膨大なデブリを回収できないからです。
そこで生じるのが、いったいどの国がデブリを処理するのか、という課題です。
ここで、
・ロシア
・中国
の対立が激しくなると、著者は予想します。
なぜなら、この3つの大国が宇宙ゴミを出した張本人であり、さらに今後も宇宙開発に積極的に乗りだすと考えられるからです。
ニュースをみていると、国家機関にかわり、民間企業による宇宙参入が進んでいくように思われます。
しかしじっさいは、デブリ回収などの影響で、宇宙空間における国家間の争いは、激しさを増すと考えられます。
この点は、地政学研究ならではの指摘だなと、たいへん感心させられました。
『新しい国境 新しい地政学』 の感想

宇宙空間以外にも、
・IT セキュリティによる国境の厳格化
など、ふだんのニュースでは分からない国際政治の状況を、いろいろ知ることができます。
気候変動はたびたび話題になります。けれどその裏で、
といった問題も発生していますり。
このようなことは、ふだん見ているメディアからは、なかなか知りえない情報です。
本書を読むことで、学ぶことがたくさんあります。国際政治や地政学に興味がある人は、ぜひチェックしてみてください。
また世界史の観点からも、新たな現代史の1ページが開かれる、といったかんじで、わくわくする内容になっています。
よければ参考にしてみてください。
おわりに
クラウス・ドッズ『新しい国境 新しい地政学』 をみてきました。
まとめると、こんなかんじです。
・気候変動による自然環境の変化や、サイバースペースの登場により、これまでの国境がどう変わっていくかを予想する
・なかでも宇宙空間は以前にも増して開発が進むため、よりいっそう国家間の覇権争いが激しくなると考えられる
この記事が、役立つビジネス書&教養本を探している人の参考になれば、うれしいです。
では、また。