アダム・グラント『GIVE & TAKE』要約&感想

どうも、りきぞうです。

大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。

社会人なってからは、[予備校講師 → ウェブディレクター → ライター]と、いろんな職業にたずさわってきました。

働き方についても、[契約社員 → 正社員 → フリーランス]と、ひと通り経験してきました。

きょうは、アダム・グラント『GIVE & TAKE』を紹介します。

・職場での人間関係で悩んでいる
・ビジネスで役立つ人脈法を知りたい
・仕事で成功するコミュニケーション法を知りたい

─ こんな人には、ピッタリの本です。

以下、[概要 → ポイント]の順でみていきます。

『GIVE & TAKE』の概要

著者

著者は、アメリカの心理学者。

専門は「組織心理学」です。

28歳で博士号を取得し、ウォートンスクールで最年少の教授になりました。

本書は、20ヶ国以上に翻訳され、世界的なベストセラーになりました。

人間を

・テイカー:他人の利益を奪う人
・ギバー:他人に利益を与える人
・マッチャー:利益のバランスを取る人

に分類 ─ 。

そのうえで、インターネット時代は、「テイカー」よりも、「ギバー」のほうが成功すると主張しました。

目からウロコの考えが、話題をよびました。

構成

目次は、こんなかんじ。

出版年 2014年
目次 1章 あなたは、まだ「ギブ&テイク」で人生を決めているのか
2章 「名刺ファイル」と「フェイスブック」を見直せ
3章 チームの総力を活かせる人
4章 荒野で“ダイヤモンド”を見つける法
5章 「パワーレス」の時代がはじまった
6章 「与える人」が気をつけなければならないこと
7章 気づかいが報われる人、人に利用されるだけの人
8章 人を動かし、夢をかなえる「ギブの輪」
9章 「成功への道」を切り拓く人たち

大まかに2つのパートに分かれています。

1章〜5章で、ギバーのネットワークの作り方&コミュニケーション法について述べています。

6章〜9章で、成功するギバー/失敗するギバーの違いについて語っています。

コミュニケーションについて、ギバーは4つの面で、際立っているとします。

① 人脈づくり:新しい関係をつちかい、以前から付き合いを結びつける
② 協力:同僚と協力して業績をあげ、尊敬を受けるよう行動する
③ 人に対する評価:才能を伸ばし、最高の結果を引き出す
④ 影響力:支持されるため、説得&交渉を工夫する

『GIVE & TAKE』のポイント

以下、気になったトコをあげていきます。

ポイントは、つぎの3つ。

  • ギバーは価値を交換せず、増幅させる
  • 弱みをみせることで「信望」を得る
  • 「自己犠牲」では失敗する

ひとつひとつみていきます。

ギバーは価値を交換せず、増幅させる

ネットワークを築くとき、テイカーはそこから〝自分だけの利益〟を得ようとする。

いっぽうでギバーは、ネットワークに関わる全員の利益を増やそうとします。

その場では

「与えるのがあたりまえ」

という雰囲気をつくりだし、だれもがギバーになれるよう働きかける。

「もらったからには、ほかの人に与えないとな」

といった気持ちをもたさるんですね。

ギバーのように人脈ネットワークを構築すれば、ギブ・アンド・テイクの関係が当たりまえという思い込みがなくなり、かかわる人すべてが利益を得られるようになると、彼は確信しているのだ。(no.1293)

─ 『GIVE & TAKE』2章

結果、価値の分取り合戦にならず、ネットワーク全体の価値が増えていきます。

価値を増やすことで、リフキンは与えることを、一方が得をすれば他方が損をする「ゼロサムゲーム」から、双方が得をする「ウィン・ウィン」に変えている。(no.1330)

─ 『GIVE & TAKE』2章

弱みをみせることで「信望」を得る

他者に影響を与えるやり方としては、

・優位
・信望

の2つがあります。

テイカーは、〝自分ができること〟をアピールして、優位をえて、ひとに影響を与える。

いっぽうギバーは、〝自分の弱みをみせること〟で、ひとの警戒心・反発心をとき、影響を与えます

テイカーは、弱みをさらけ出せば、自分の優位と権限を危うくすることになると心配する。かたやギバーは、それよりずっと楽に自分の弱さを表に出す。それはギバーが、人に力を振るうことにではなく、人を助けることに関心があるからで、だから、自分の弱点をさらすことを恐れない(no.2731)

─ 『GIVE & TAKE』5章

またギバーの語り口というのも、おもしろいですね。

こんなかんじです。

・ためらい ─ 「まあ」「うーん」
・あいまい ─ 「どちらかといえば」「かもしれない」
・否認 ─ 「これはあまりよくないけど、でも……」
・付加疑問 ─ 「楽しいよね?」「いいアイデアだよね?」
・強意語 ─ 「本当に」「とても」「まったく」  

ただし注意したいのは、弱みをみせるといったとき、本人の地位&能力が、ある程度、高いことが条件です。

じゃないと、たんに〝なめられて〟しまうわけですね。

もっといえば、立場がうえで、それをあえて本人が〝ひっくりかえす〟からこそ、興味をもたれ、ひとを惹きつける、といえますね。

「自己犠牲」では失敗する

「与える人」といったとき、たいていは「自己犠牲」をイメージします。

ですが、ギバーとは、他人のために、自分を〝痛めつける人〟のことでは、ありません。

むしろ自己犠牲は、ギバーが失敗する最大の要因となります。

ギバーとは、与えることで、ネットワーク全体の価値を高める人をさします。

このなかには当然、自分もふくまれます。

つまり、成功するギバーとは、他者の利益を自己の利益を一致させ、両方とも、引き上げる ─ 。

自己犠牲ではなく、「他者指向性」が高いわけです。

他者志向のギバーは、自分自身の利益だけでなく、相手の利益にも高い関心を示す。相手と自分の双方が得をするチャンスを探すことで、他者志向のギバーはより突っ込んだ考えができる〔……〕(no.4118)

─ 『GIVE & TAKE』7章

テイカーに〝いいように扱われる〟のではありません。

他者の本性を見抜きつつ、

「自分がどれほど与えれば、みんなの価値があがるのか」

をつねに問いかけ、働きかける ─ 。

ものすごい高いコミュニケーション能力に長けている、といえますね。

まとめ

・職場での人間関係で悩んでいる
・ビジネスで役立つ人脈法を知りたい
・仕事で成功するコミュニケーション法を知りたい

こんな人には、おすすめの1冊です。

職場・仕事でのコミュニケーションに、悩んでいる方は、ぜひチェックみてください。

ではまた〜。