どうも、りきぞう(@rikizoamaya)です。
大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。
社会人なってからは、予備校講師 → ウェブディレクター → ライターと、いろんな職業にたずさわってきました。
働き方についても、契約社員 → 正社員 → フリーランスと、ひと通り経験してきました。
働くなかで思うのは、自分の市場価値をアップするには「教養」が大切だということ。
・発想がすごいなぁ
と、思う人は、キホン、教養を身につけています。
なかでも、重要なのは「世界史」です。
ここ数年、ビジネスマンの必須知識として「世界史」が注目をあつめています。
ネット時代をむかえ、グローバル化が加速しているからです。
とはいえ、世界史は分量が多くて、どこから手をつけていいかわかりません。
くわえて、世界史関連の本をたくさんあって、なにから読めばいいのか迷います。
そんなとき、つぎの本が目につきました。
本書は、美術史を専門とする歴史家が、自分の妹にむけて、歴史を語る、というもの。
なので、口調はやわらかく、説明もわかりやすい。
イラストも豊富なので、パッと理解できます。
さらに、特定の地域&年代だけでなく、全体の歴史をあつかっているので、ざっくりと世界史を把握するには、もってこいです。
・ラクに世界史の流れを把握したい
こんな方には、おすすめの1冊です。
なにより、美術史が専門とあって、文体がとても美しいです。
とくに、歴史上の人物を描くときは、すばらしい。
小説のように、物語として歴史をとらえるみたいなかんじですね。
ちなみに、上下巻ですが、まとめて紹介します。
目次
E.H.ゴンブリッチ『若い読者のための世界史』の概要
まずは目次から。
上巻は、こんなかんじ。
2 偉大な発明者たち
3 ナイル川のほとり
4 日月火水木金土
5 唯一の神
6 だれもが読める文字
7 英雄たちのギリシア
8 けたちがいの戦争
9 小さな国のふたつの小さな都市
10 照らされた者と彼の国
11 大きな民族の偉大な教師
12 偉大なる冒険
13 新しい戦い
14 歴史の破壊者
15 四方世界の支配者
16 よろこばしい知らせ
17 帝政のローマ
18 嵐の時代
19 星夜のはじまり
20 アッラーの神と預言者ムハンマド
21 統治もできる征服者
22 キリスト教の支配者
23 気高く勇敢な騎士
24 騎士の時代の皇帝
文明のおこりから、中世の終わりまでですね。
つづいて、下巻。
26 新しい時代
27 新しい世界
28 新しい信仰
29 戦う教会
30 おぞましい時代
31 不幸な王としあわせな王
32 その間に東欧で起こったこと
33 ほんとうの新しい時代
34 暴力による革命
35 最後の征服者
36 人間と機械
37 海の向こう
38 ヨーロッパに生まれたふたつの国
39 世界の分配
近代初期〜戦後の冷戦期までです。
読み方としては、フツーにさいしょから、目をとおしてオーケーです。ストーリーとして歴史を把握できます。
いっぽうで、目次をながめて、気になる地域 or 年代から、読むのもおすすめです。
各章の分量は、2000文字くらいなので、10分あれば読めてしまいます。
E.H.ゴンブリッチ『若い読者のための世界史』の詳細
以下、引用をあげつつ、気になったトコをあげていきます。
うえでのべたとおり、人物描写がすばらしいです。
帝政ローマ ─ マルクス・アウレリウス
ヨーロッパの歴史家にとって、古代ローマは欠かせません。
「4章分」をさいて、ローマの歴史を語っています。
帝政ローマ時代に「黄金期」をむかえ、「パクス・ロマーナ」とよばれました。
そのときの皇帝が、マルクス・アウレリウスです。
かれの描写がたいへんすばらしいです。
かれは、なにより読むこと、書くことを愛する、おだやかな、しずかな人間、哲学者であった。〔……〕彼は、自分自身にかつこと、ひろいこころをもつこと、苦しみや痛みに耐えること、考える人間は勇敢であることなどについて、かれの深い思索を書きのこしている。それは、ブッダが知ったらよろこんだにちがいないものであった。(上巻・175)
哲学者「プラトン」が理想とした「哲人政治」を、歴史上はじめて実現した人です。
リーダー気質もありつつ、知性ゆたかな、かれの性質が、伝わってきますね。
ブッタとくらべるあたりが、歴史家として、センスをかんじます。
中世のはじまり ─ ゲルマン人の活躍
ローマが衰退したあと、ヨーロッパ地域に、ゲルマン民族が進出し、それぞれがバラバラに国を建てていきます。
それらを統合・統一していったのが、教皇レオ&ゲルマン人でした。
そして、ヨーロッパ地域を代表して、遊牧民「フン族」に対抗していきます。
教皇のはたらきがなかったら、西ローマ帝国はほろんでいたにちがいない。皇帝はすでに、その力をまったく失っていたのだ。いまや権力をにぎっていたのは軍であり、その軍を構成するのは、ほとんどがゲルマン人であった。結局、ゲルマンの戦士たちは、皇帝はいなくてもよいとして、かれを退位させることを決めた。〔……〕ゲルマン人の将軍「オドアケル」がイタリアにおけるゲルマン人の王を名のった。これが西ローマ・ラテン帝国の最後であり、「古代」とよばれる長い時代のおわりであった。(184)
古代の終わり、そして、中世のはじまりを、うまく描いていますよね。
近世ヨーロッパ ─ ルネサンスの人びと
特定の人物描写も、美しいですが、その時代に生きた人びとの心情を描くのも、すばらしい。
たとえば、ルネサンス時代の人たち ─ かれらの意識をこんなふうに説明します。
すべてを神の名誉、神への奉仕にささげる神の戦士、神の職人であること、それがあまり重要ではなくなったのだ。人びとは、何かを理解し、何かができるひとり立ちの人間であること、それをのぞんだ。かれらが目指したのは、自分の意志をもち、自分で判断できる人間、だれかに意見をきき、だれかに同意をもとめるのではない人間。古い本をめくり古いしきたりをたずねるのではなく、すべてを自分の目で見て、自分の手でつかむ人間であった。(下巻・028)
ご存知のとおり、ルネサンスは、中世の思想・慣習から解放される時期でした。
キリスト教会が支配する考えから脱却し、古代ギリシャ&ローマをお手本にしながら、新たな思想&芸術を生みだす ─ 。
その時代の機運を、いきいきと描いています。
1420年ころ、フィレンチェ人は、とつぜん、自分たちが中世の人間とはちがうことに気づいた。自分たちは何かちがう評価をしている。自分たちは、前の人たちとちがうをものを美しいと見ている。自分たちには、古い聖堂や絵がかたく見え、古い風習が、たいくつに思える。そしてかれらは、かれらが愛するのと同じ自由なもの、自立したもの、偏見のないものを探しもとめた。そして、かれらは古代を発見した ─ 。(下巻・029)
近世ヨーロッパ ─ スペイン帝国
つづいて、大交易時代をむかえ、ヨーロッパ地域&世界全体をおさめていたのは「スペイン帝国」でした。
トップに君臨していたのは、「ハプスブルク家」の領主であり、「神聖ローマ帝国」の皇帝でもあった、皇帝カール5世でした。
「太陽の沈まない国」といわれるほど、絶頂をきわめる国家のリーダーでしたが、その生涯は波乱にみちたものでした。
その心情をつぎのように描きます。
皇帝カール5世は、混乱が絶えることなく、信仰の名のもとでの戦争がくりかえされる彼の巨大な帝国に何のよろこびも、もてなかった。ルターを支持するドイツの領主たち、教皇、フランスやイングランドの王、東から近づくトルコ人、戦いの相手は、つぎつぎとあらわれ、戦争はいつまでもつづいた。(061)
海外交易で、巨万の富を得た「スペイン帝国」ですが、国家運営には、つねに課題・困難が、立ちはだかっていました。
君主の苦悩を、ありありと描いていますね。
歴史を学ぶ意義
こんなふうに、世界史の流れを、ひとつひとつたどりながら、そのときどきに登場する人物を、いきいきと描く ─ 。
本書の特性は、ここにあります。
ひきつける文体・口調で、歴史をみていく著者ですが、歴史を知る意義をつぎのように語ります。
わたしたちは浮かび上がり、まわりを見まわし、そして何かに気づくまえに、ふたたび消える。時代の大きな流れのなかにいる、わたしたちをだれも見ない。たえず新しいものがくる。〔……〕しかしきみは、この一瞬を大切にしなければならない。それは、努力に値するものだから。(186)
この本にかぎらず、歴史を学ぶ意味は、ここにありますね。
おわりに
ますますグローバル化がすすみ、海外の人たちと交流が深まるなかでは、世界史の教養は不可欠になっています。
とはいえ、どこから手をつけ、なにを読めばいいのか、まようと思います。
まずは、本書で、世界史全体の流れを知るのが、おすすめです。
そのあと、くわしい通史だったり、個別テーマにふれると、立体的に歴史を把握できるはずです。
よければチェックしてみてください。
ではまた〜。

