東京03『露骨中の露骨』(第15回)感想&レビューです。

公演日 2013年5月~8月
収録 最終日
気遣い
めんどくさい親友
市民の見方
アニバーサリーウォッシュ
魔が差して
帰省にて

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげる作品は、東京03『露骨中の露骨』。

15回目の単独ライブを収録したものです。

『気遣い』、『魔が差して』は、角田さんの〝ヘタりっぷり〟がよく出ています。

『アニバーサリーウォッシュ』は、店頭販売のセールスマンが主人公。

売るときの心理をうまく描いています。

なかでもおもしろかったのは『最終日』『帰省にて』 ─ 。

どちらもプロット、キャラクターがよかった。

以下、くわしくみていきます。

『最終日』

人物

友人① (豊本)
友人② (飯塚)
友人③ (角田)

場所

ホテルの一室

あらすじ

ハワイ旅行に来た3人。

最終日に豊本がカゼでダウン。

あとのふたりも、看病のため部屋で過ごすことに。

しかし角田は遊び足りないようす。

はしゃぐ人たちを窓から見ながら、うらやましそうにつぶやく。

飯塚だけでも連れだし、友人・豊本をほったらかしにして、どうにか遊びにいこうとする。

その態度は、じょじょに露骨になっていき……

感想

旅行中にカゼをひく友だちは、やっかいです。

不満があっても、口にできません。

遊びに行きたい。けど、友だちをおいて、遊びには行けない ─

このジレンマを軸に、コントがつくられています。

ほんとに視点がすばらしいですよね。

日常におこりそうなできごとを、みごとに笑いにかえています。

ポイント

笑いのポイントをみていきます。

コントで大事なのは、キャラクターとプロットです。

この作品ではプロットに注目してみます。

コントのプロットはとてもシンプルです。

[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。

コントの書き方 ─ プロットの構成について

この作品でも、序盤の「設定」で、海外旅行の最終日に風邪でダウンする人物をおく。

そのうえで「中盤」で、遊びにいきたいが、薄情と思われるのがイヤで、遊びにいけない人物をすえる。

あとは、「遊びに行きたい! でも見捨てることもできない!」というジレンマを描けば、コントがうまく展開していきます。

こんなふうに、プロットの構成に注目すると、よりふかくコントをみることができます。

『帰省にて』

人物

友人①(飯塚)… 地元に残ったウワサ好きの男
友人②(角田)… 同級生だったマユミに恋する男
友人③(豊本)… マユミの元カレ

場所

飯塚宅の庭

あらすじ

帰省中の友人ふたり(豊本&角田)。

地元にのこる飯塚の家で、顔を合わせる。

この日は花火大会。

まつりを口実に、角田はマユミをさそおうとする。

けど引きこもりがちなマユミは、いまひとつのってこない。

飯塚は、マユミが根暗になった理由を、豊本のせいだと指摘 ─ 。

「学生時代に、豊本にフラレてから、かのじょは暗くなった」と、言いはる。

それをはじめて知った角田は、「マユミにあやまれ」と、豊本にせまる。

しぶしぶ豊本は、マユミに電話をかけるが……

ひとこと

けっきょく、マユミのほうは、豊本とのお付き合いなんか、すっかり忘れていた。

「いまでもマユミは自分のことが好きなのかなぁ」と期待した豊本は、「赤っ恥をかいた」と騒ぎだす。

いつもは、この役まわりは、角田さんが演じます。

優位な立場にいる角田さんは、東京03のコントでは、めずらしいですね。

ポイント

笑いのポイントをみていきます。

コントで大事なのは、キャラクターとプロットです。

この作品ではプロットに注目してみます。

コントのプロットはとてもシンプルです。

[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。

コントの書き方 ─ プロットの構成について

なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。

パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。

コントの書き方 ─ プロットの展開について

ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「逆転」とわかる。

「逆転」では、ひとつのできごとをキッカケに、それまでの立場が反転するようすをえがく

人物の地位 or 権威が、ひっくり返ることで、笑いをおこしていきます。

この作品でも、モテるはずの豊本を、モテない立場にひっくり返すことで、笑いをおこしています。

図にするとこんなかんじ。

構図 ─ 逆転
角田 < 豊本

・傷つく角田、豊本にきれる
・豊本を忘れているマユミ
・マユミを誘うことに、成功する角田

角田 > 豊本

20分以上の長尺コント ─ 。

とはいえ、大枠はシンプルです。

では、なぜここまで時間をとっているのか。

それは、それぞれのキャラクターの気持ちをていねいに描いているからです。

田舎の退屈さをまぎらわすために、町のウワサをかぎまわる飯塚。

いまでもひそかにマユミを想っている角田。

いまだに自分を好きでいてくれるマユミにまんざらでもない豊本。

各人物の感情、そのバックボーンを描いています。

だから、こんなにも長い尺のコントになるんですね。

こまやかな感情を描かないなら、わざわざコントを長くする意味はありません。

長時間のコントをつくる理由を、この作品は、おしえてくれますね。

まとめ


こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。