東京03『人間味風』(第21回)感想&レビューです。

公演日 2019年8月~
収録 部長のいい話
開店祝い
満を持して
余計な感情
恥ずかしいはずの話
浮気相手と
その日までに

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげるのは、東京03『人間味風』。

21回目の単独ライブを収録したものです。

前回の『不自然体』と同じ、タイトルは四字熟語で統一されています。

過去のながれから、四字熟語のタイトルは、さいごになりそうです。

『部長のいい話』は、角田さんのヒクツさを全面に出したコント。

オープニングコントながら、ものすごい度胸のあるネタだと思いました。

くわしくはみてもらうしかありませんが、あの長時間の間は、東京03 のように、ファンを信頼していないと、まずできません。

これをさいしょにもってくるんだから、ほんとにすごいと思います。

『満を持して』は、期待をあげるだけあげて、なにもしない・言わない男のはなし。

東京03 にはめずらしく、キャラを軸にした作品でした。

『浮気相手と』は、浮気した女性の夫に、謝罪をする男のはなし。

といっても、ふたりが、ストーリーの軸というよりかは、あまりカンケーない、もうひとりの女性(豊本)が、笑いの中心です。

色気をだすしぐさが、とってもチャーミングでしたね(笑)

『その日までに』は、恒例の長尺コント。

今回は、父親の危篤をきっかけにあつまった三兄弟のおはなしです。

とはいえ、これまでとはちがって、すこしインパクトに欠けていたかんじでした。

ストーリーにヒネりをくわえすぎていたせいか、シナリオがややフクザツだったかなぁと。

もうすこしシンプルにすれば、よりいっそう笑いがうまれていたと思います。

お笑い第7代「ハナコ」「かが屋」「空気階段」のコラボコントもよかったです。

それぞれの特色が、うまくいかさせれていたかんじでした。

個人的に良かったのは、「開店祝い」「余計な感情」「恥ずかしいはずの話」 ─ 。

以下、くわしくみていきます。

「開店祝い」

あらすじ

開店から15年をむかえた喫茶店。

きょうも、店主の友人ふたりが、訪ねている。

コンポが壊れてしまったので、いっぽうの友人「豊本」が修理している。

じつはこのコンポは、もうひとりの友人「飯塚」が開店祝いにプレゼントしたもの。

音楽が好きな友人のために、真っ赤なデザインの音楽機器を送った。

けれど15年たち、ガタがきている。

かこに3回なおした経験のある豊本であっても、今回はキビしそう。

修理完了。

とりあえずCDをかけてみる。すると、しっかり曲が流れる。

今回もなんとかもち、笑顔の友人ふたり。

しかし店主は、どこか不満げ……。

じつは、店主の友人は、ずっーとまえから、コンポを買いかえたかった。

今回も修理に成功したコンポにたいして、不満を連発し……

ひとこと

角田さんの〝遠慮がち〟な性格を全面に出したコント。

東京03 らしい作品ですね。

コンポを買いかえたいのに、友人がくれたものだから言えない ─ そのたまりにたまったキモチが、笑いをおこしていきます。

毎回、修理を成功させる友人「豊本」にたいして、

「工具箱をもった悪魔」

と、ののしるあたり、フレーズのチョイスが、ほんとにうまいです。

不満をぶちまける角田さんのアクションも、反復がきいていて、笑いました。

なおったにもかかわらず、はずみでカセットテープのトコがひらき、何度やっても閉まらないシーンは、ほんと爆笑しました。

全体のなかで、イチバンおもしろかったです。

「余計な感情」

あらすじ

舞台の稽古。

演出家をまえに、ふたりの役者が演技をしている。

いっぽう(角田)のセリフが、医術用語が多く、とても長いために、うまくいえない。

できのわるさに、不満タラタラの演出家(飯塚) ─ 。

今度さいごまで、セリフを言えなかったら、役をおりてもらう、とカツをいれる。

その甲斐あって、役者は1回もつっかえずに、さいごまでセリフを語りつづけることに成功する。

しかし言えたことがうれしかったのか、セリフのさいごに語尾をあげ、キモチを高めてしまう。

舞台のストーリーとはべつに、一個人として感情をあらわにする役者 ─ 。

そんなかれに、演出家は、「余計な感情を消せ」と、指導するが……

ひとこと

角田さん演じる役者が、舞台のストーリーとはカンケーなく、しぜんに喜んでしまう ─ このアクションが笑いをおこしていきます。

長ゼリフのさいごに、「言えたぁー!」と、ついつい叫んでしまいます。

東京03 らしく、なかなかおもしろい視点ですよね。

演出家も、怒るとみせかけて、

「次できたら、3連続だな?」

と、けしかけるあたり、遊びごころがあって、ほんとに雰囲気がいいですよね。

爆笑とはいかないながら、ついつい笑ってしまいます。

「恥ずかしいはずの話」

あらすじ

ひと息つく角田にたいして、同僚の飯塚が、とっておきの笑いばなしをもってくる。

・同期の豊本が、現場で事故をおこして、ケガをした
・部下を叱りつけたあと、山の斜面を転がりおちた

あまりのダサさに、イジるしかないと、わくわくするふたり。

そんなウワサ話をしている最中に、豊本本人かやってくる。

さらに、想像以上に、包帯ぐるぐる巻きのすがた ─ 。

これはチャカすしかないと、さっそく豊本に、そのときの状況をうかがう。

しかし豊本は、笑いばなしにするどころか、いたってマジメ。

本人は「恥」と思われたくないのか、部下をしかりつけたあと、山の斜面を転がりおちたプロセスを、言いわけがましく話す。

その態度に、イジろうとしていた、ふたりはテンションが下がり……

ひとこと

こちらも視点がおもしろいコント。

東京03 の「大ボケ」は、角田さんですが、この作品では、豊本さんがボケ役になっています。

といっても、角田さんのように、こっけいさ・卑屈さを全面に出すことはありません。

カッコつけ、ハスにかまえる ─ それが、じっさいにおこした失態とズレているために、違和感をおぼえる。

このようすが笑いの軸になります。

ドタバタ系の笑いがあるいっぽうで、この作品のように、日常でおぼえる、ちょったした違和感を笑いにする。

これもまた、東京03 の持ち味です。

こちらも爆笑とはまではいきませんが、ぜひみてほしいコントです。

まとめ


こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。