東京03『あるがままの君でいないで』(第16回)感想&レビューです。

公演日 2014年5月~9月
収録 先輩の土下座
新オフィス
終業後
ドキュメンタリー番組
旅の打ち合わせ
巨匠の憂鬱
センスなき故に

どうも、コント作家のりきぞうです。

きょうも、コント作品をレビューしていきます。

取りあげる作品は、東京03の『あるがままの君でいないで』。

16回目の単独ライブを収録したものです。

日本で、1、2をあらそうトリオ。

レベルの高いコントばかりです。

新オフィス、終業後は、角田さんの〝ヘタりっぷり〟がよく出ています。

ラストの『センスなき故に』は、20分くらいの長尺コント。

スライド画像をつかったり、ひねりをくわえた演出で、笑いをうみだしています。

なかでもおもしろかったのは、『巨匠の憂鬱』 ─ 。

以下、くわしくみていきます。

『巨匠の憂鬱』

人物

写真家(角田)
若者(飯塚)
編集者(豊本)

場所

ホテルの喫煙ルーム

あらすじ

写真集の出版記念パーティー。

タバコを手に、ベテラン写真家が編集者にグチる。

まわりはヨイショするヤツばかり。

遠慮なく話しかけてくるヤツがいない。

エラくなったゆえの「さびしさ」を語る。

そのときライターの火が切れていることに気づく。

ちかくいる若者から借りることに。

するとその男は、なれなれしくタメ口で、会話をはじめる。

注意する編集者。

巨匠は、「遠慮なしに接してほしい」といった手前、ひろいこころで受けこたえ。

けれど若者は、おえらいさんともしらず、じゃんじゃんタメ口で、はなしかけてきて……

ひとこと

このあとの展開は、予想できますよね(笑)

巨匠を演じる角田さんの演技が、ほんとうにすばらしい。

けらけら笑わせてもらいました。

ポイント

笑いのポイントをみていきます。

コントで大事なのは、キャラクターとプロットです。

この作品ではプロットに注目してみます。

コントのプロットはとてもシンプルです。

[設定 → 展開 → オチ]がキホンのながれ。

コントの書き方 ─ プロットの構成について

なかでも「展開」が、作品の良し悪しを決めるんだけど、これにも「型」がある。

パターンは「反転」「逆転」「交錯」の3つ。

コントの書き方 ─ プロットの展開について

ストーリーを整理して、パターンをあてはめてみてると、構図は「逆転」とわかる。

「逆転」では、ひとつのできごとをキッカケに、それまでの立場が反転するようすをえがく

人物の地位 or 権威が、ひっくり返ることで、笑いをおこしていきます。

この作品では、地位のある写真家が、「もっとストレートに接してほしい」と、しみじみ語る。

つづいて、セリフどおり、なれなれしい人物が出てきて、タメ口ではなしかける。

結果、立場が落ちて、言葉とはうらはらに、若者にたいして、写真家がキレてしまう。

これにより、笑いがひきおこされます。

図にするとこんなかんじ。

構図 ─ 逆転
写真家 > 一般人(若者)

・写真家、 遠慮なく接してほしい、と語る
・若者がタメ口で話しかける
・ふざけながら、ムチャぶりまでしてくる

写真家 < 一般人(若者)

達観したような人物をおき、悟ったようにかたらせる。

つぎにセリフと同じようなできごと or 事実をつきつけ、はなした内容とは、正反対のアクションをとらせる。

言ってること/やってることがくいちがい、状況を逆転させることで、笑いをおこしていく。

「逆転」の構図をうまく利用しています。

写真家は、まわりのヨイショにはウンザリしている、とかたる。

しかしこれは、〝ナナメにかまえる〟自分に、酔っているだけ。

ちいさな見栄 or プライドにメスをいれ、そこから笑いをつくりあげていく。

東京03ならでは、コントです。

まとめ


こんなふうに、プロットに注目してみていくと、よりいっそうコントを楽しめます。

ほかの作品でも、こんな視点に立って作品で観ています。

ちがう記事ものぞいてみてください。

ではまた。

よきコントライフを〜。