【書評】佐々木俊尚『読む力 最新スキル大全 ─ 現代病「集中できない」を知力に変える』感想&レビュー

どうも、りきぞうです。

これまで5000冊ほどビジネス書&教養本を読んできました。

今回、佐々木俊尚『読む力 最新スキル大全』 を読んだので紹介します。

ポイントは、つぎのとおり。

ポイント
・本書では長くジャーナリストとして活躍してきた佐々木俊尚さんが、ふだん実践している情報収集法を紹介
・情報があふれる時代では、ウェブサイト・SNS・書籍をはじめ、自分で情報を取りにいく態度が大事
・スマホが身近にある環境では集中することは困難で、むしろ「散漫力」を身につけるほうが大切

個人的な評価は、こんなかんじ。

評価
分量
(3.0)
面白さ
(4.0)
難易度
(3.0)
おすすめ度
(3.5)

以下、目次に沿って、みていきます。

『読む力 最新スキル大全』の概要

まずは概要から。出版社の紹介文は、つぎのとおり。

遂に出た!書籍・ネット・SNS・ニュース・有料メディアなど「読み方の最新全スキル」が1冊に! 「5分の集中」を重ねるだけ!スマホで「気が散る」時代の「全く新しい読み方」を初公開! 読めば、「断片的な知識・情報」を「知肉」に変えて、「思考力」につなげる秘訣がわかる! 「無意識」を武器にして、「新しいアイデア」が思いつきやすいコツまでわかる!

「本物の思考力」と「新しい発想力」が同時に身につく!こんな本が欲しかった! 巻頭カラー、なんと20ページ! 「2000冊の仕事場の書棚」から「アイフォンのアプリ全一覧」まで、写真で公開! ここだけ見ても面白い!

「読む力」&「考える力」&「書く力」&「アイデアの技術」究極のメソッドが全部わかる最強の1冊! この本で、スマホ時代に必要な「新しい読み方」を身につけ、「頭脳」と「人生」を、いっきに変えよう!

─ 出版社から

本書は、ジャーナリストの佐々木俊尚さんによる読書スキル法を紹介したもの。

情報あふれる世の中で、

・WEBサイト
・SNS
・書籍

などのメディアと、どう向きあい、活用するのかを考察している。

たんに考えを示すだけではなく、アプリの活用など、ふだんのやり方をそのまま紹介しているのが、おもしろい。

RSSリーダーや、Twitter の使い方など、実践形式で示しているので、読んだらすぐに活かせる ─ 。

情報がありすぎて、なにをみて、どうアウトプットすれば良いのか分からない人には、たいへんおすすめの1冊。

『読む力 最新スキル大全』のポイント

個人的におもしろかったのは、

情報を取りにいく態度

について。

以下、

  • RSSリーダーのすすめ
  • みずからの意思で情報を取りにいく

の項目に沿って、かんたんにみていきます。

RSSリーダーのすすめ

RSSとは、記事タイトル&要約をおさめるデータフォーマットのこと。主要なウェブサイトは、ネットに記事をアップするとき、RSS を同時に発信している。

「RSSリーダー」とは、このデータを取得するツールで、気になったウェブサイトを登録しておけば、自動でタイトルと要約を表示してくれます。

便利な機能で、すこし前にたいへん流行りました。

とはいえ最近では、RSSリーダーは利用されなくなり、ネット業界では「オワコン」のサービスとされています。

しかし、このような潮流のなかで、佐々木さんは「RSSリーダーを使うべき」と主張します。

というのも、RSSリーダーは、自分で取りにいく情報収集法であり、情報の渦にまきこまれるのを阻止してくれるからです。

たとえば、SNS や、テキトーにながめる『Yahooニュース』などは、すべて向こうから送られる情報であり、自分の意志で選んでいません(プッシュ型)。

いっぽう、RSSリーダーは(自動でタイトル&要約を取得するとはいえ)自分でウェブサイトを登録する必要があるため、能動的を情報を獲得することになります(プル型)。

みずからの意思で情報を取りにいく

佐々木さんは、データがあふれ、知らぬ間にバイアスがかかる情報環境では、

自分で情報を取りにいく態度

が、とっても大切だと指摘します。

プラットフォームの運営者など、〝向こう〟がすすめる情報を摂取するだけでは、思考にゆがみが生じ、自分でものを考えられなくなってしまうからです。

読む力が磨かれなくなり、なにより読書や情報収集がつまらなくなっていきます。

そうならないためにも、みずからの意志で情報を取るのは必要であり、RSSリーダーは欠かせない、と言います。

なお、RSSリーダーのなかでも『Feedly』が使いやすく、

・ウェブサイトの登録
・記事の保存
・Twitter での発信

などを、画像をまじえて、詳しく紹介しています。

このあたりにかんしては、わたしも読んですぐに実践させてもらいました。

『読む力 最新スキル大全』の感想

情報収集&発信方法のほかに、本書ではスマホにたいする向き合い方も紹介しています。

(いちばんメインとなる話は、ここだったりします)

iPhone が発売されて以降、わたしたちの情報環境は一変しました。だれもが感じているとおり、スマホなしの生活は、ほぼ不可能です。

そのなかで一部の人は「スマホを捨てて、情報から距離をおこう」と提案しています。そうすれば、目のまえの課題に取りくみ、集中して作業をこなせる、と。

しかし、佐々木さんは、そのやり方は現実的でない、と反対します。

スマホ時代では、長時間ひとつのことに取りくむのは困難で、むしろ「集中すること」にこだわる必要はない。

情報過多の環境では、集中できないのは当然であり、あっちこっちメディアを切りかえて「散漫力」を鍛えたほうが良いのでは、と提案します。

そちらのほうが創造性が発揮されて、新しいアイデアが生まれやすいのではないか、と。

いろんな本やメディアがさかんに「集中力を高める方法」「こうすれば集中力が生まれる」などと言っているのは、ほとんどがまやかしである。大事なのは、集中する短い時間を細やかにコントロールすることなのだ。それが「散漫力」の本質である。

─ 8章 p.377-378

この点については賛否両論があるかもですが、たしかに「集中すること」にこたわわりすぎている人にとっては、息抜きとなるような意見です。

わたし自身も「集中のメリット」は否定しませんが、だからといって「集中できない=悪」と決めつけるのも、マズいと感じます。

[スマホ → 書籍 → パソコン]といったかたちで、30分おきにメディアを切りかえることで生まれる意見だったり、アイデア&企画もあります。

ネットが広がりみせるなかでは、集中力よりも散漫力を受け入れ、柔軟に対応していくほうが、仕事もしやすく、生活も楽しくなるとは思いました。

おわりに

『読む力 最新スキル大全』をみてきました。

まとめると、こんなかんじです。

ポイント
・本書では長くジャーナリストとして活躍してきた佐々木俊尚さんが、ふだん実践している情報収集法を紹介
・情報があふれる時代では、ウェブサイト・SNS・書籍をはじめ、自分で情報を取りにいく態度が大事
・スマホが身近にある環境では集中することは困難で、むしろ「散漫力」を身につけるほうが大切

この記事が、役立つビジネス書&教養本を探している人の参考になれば、うれしいです。

では、また。