【図解】ルソーの思想&名言 ─ 「自然」

どうも、りきぞうです。

大学のころから、哲学に親しんできました。

大学院時代は、本格的に人文書・哲学書にあたってきました。

ルソーの哲学にも、ふれてきました。

同じように、知りたいなぁと思っている人もいるかと。

とはいえ、

ルソーはどんな人?
ルソー思想のポイントは?
かれの残した名言は?

─ こんな悩み&疑問をいだく人も多いはず。

そこで、この記事では、ルソーの考えをみていきたいと思います。

先に結論をいうと、つぎのとおり。

りきぞう

ルソーは、近代ヨーロッパの哲学者
「自然」をキーワードに、独自の哲学を展開した
他人の幸福について「自分と同じ人間の幸福をどれくらい重くみているかは、かれらがそれらの人間にたいしてはらっているようにみえる尊敬の程度によってわかる」などの名言を残している

以下、目次にそって、[著者 → ポイント → 名言]の順でみていきます。

ちなみに、参考にしたルソーの本は、こちら。

引用ページも、本書によります。

著者

ルソーは、フランス人で、1712年〜1778年に生きた人。

哲学だけでなく、政治・文芸にも、大きな影響を与えました。

主著は『人間不平等論』『社会契約論』『エミール』などです。

ポイント ─ 「自然」

主著『エミール』にしぼって、ルソーの思想をみていきます。

ポイントは、「自然」です。

カンケツにまとめると、つぎのとおり。

図解説明

「自然」とは、悪徳に染まっていない状態をさす。

生物的な意味での原始状態を意味するのではない。

教育においても、子どもが本来もつ「自然」にあわせて接する。

くわえて、それぞれの時期に適した教育をほどこすべきである。

「教える」といっても、むりやり知識・技能を注ぎこむのは、得策ではない。

・太陽の動きを理解させるため、あえて道順を知らせず、迷子にさせる
・科学の知識を体で知ってもらうため、あえて人前で実験させる

などなど、本人が主体的に学ぶように、環境づくりに取り組むべきである。

あくまで、子どもが本来もつ「自然」を育てるという視点が、大切である。

ひとこと

『エミール』では、道徳・教育をあつかいます。

ルソー中期の作品です。

こちらもあまりに有名で、説明は不要かもです。

少年「エミール」の誕生〜結婚までを小説スタイルで記述していきます。

そのうえで、

・特権階級に特化した教育システムの批判
・子どもの自然本性にあわせた環境設計

など、ルソーなりの教育思想が展開されます。

あらためてみると、自分が勉強・学習するうえで、いろいろ参考になるトコもあります。

ひとは、怠惰 or 傲慢など、悪徳に染まりやすいから、環境には十分に配慮しよう、という視点は、大人がみても有効かなぁと思います。

また、小説形式なので、一つの物語として読んでみるといいかもです。

名言

つぎに、ルソーの名言をあげていきます。

自己保存への自覚

自分自身にたいする愛は、いつでもよいもので、いつでも正しい秩序にかなっている。ひとはだれでも、とくに自己を保存しなければならないのだから、なによりも心がけなければならないこと、いちばんだいじなことは、当然、この自己保存ということに、たえず心をくばることだ。(p.9)

─ 『エミール』4編

ポイントでみたとおり、子どもへの教育は「自然本性」にあわせて、ほどこすべきと考えます。

いっぽうで、そのつぎの段階「自己保存」「自己愛」に配慮する必要がある、とも主張します。

ルソーの教育論というと、なにかと「自然」がピックアップされます。

けれど個人的には、「自己愛」のほうが大事な気がします。

というのも「自己愛」は、教え方をまちがえば、なまけ or わがままなど、すぐさま悪徳に染まるからです。

じっさい、教育者としては、子どもの「自己愛」をあつかうほうが、むずかしいですよね。

他人の幸福を思う条件

一般的にいって、それぞれの人が、自分と同じ人間の幸福をどれくらい重くみているかは、かれらがそれらの人間にたいしてはらっているようにみえる尊敬の程度によってわかると、わたしは考える。軽蔑している人間の幸福を軽く考えるのは、あたりまえのことだ。(p.35)

─ 『エミール』4編

ルソーというと、利他性を重視する、理想主義者のイメージがあります。

けれど『エミール』『人間不平等論』を読むと、現実主義者で、かなり冷めた視点の持ち主だとわかります。

たとえば、うえにあげた「他人の幸福を思う条件」にかんしても、尊敬できない人には「相手の幸せは、考えるに値しない」と言い切ります。

これって、けっこう残酷だったりしますよね(笑)

尊敬できない人でも、手を差しのべる場面は、いくらでもありますから。

もちろんルソーは、「だからこそ、尊敬できる人間の範囲を広げよう」と主張するでしょう。

しかしできない場合は、あっさり切りすてることになります。

なんとも考えさせられる意見ではないでしょうか。

幸福の状態

ほんとうの満足感は、陽気でもなければ、ふざけちらすことでもない。その快い感情を大事にして、それを味わいながらよく考え、十分に楽しみ、それを発散させることを恐れる。ほんとうに幸福な人間というのは、あまりしやべらないし、ほとんど笑わない。(p.45)

─ 『エミール』4編

教育の目的である「幸福」については、このような状態を目指します。

ストア派の幸福感にちかいものがありますね。

行き過ぎた感情をおさえ、無情念(アパテイア)に境地に達することが、人間の幸福と考えます。

ちなみに晩年のルソーもまた、この状態を目指したようです。

その〝奮闘記〟を、『孤独な散歩者の夢想』という、未完のエッセイで記しています。

とはいえ、こちらを読むかぎり、「平静な心」を獲得するのが、いかにむずかしいかとわかります。

まとめ

まとめると、

りきぞう

ルソーは、近代ヨーロッパの哲学者
「自然」をキーワードに、独自の哲学を展開した
他人の幸福について「自分と同じ人間の幸福をどれくらい重くみているかは、かれらがそれらの人間にたいしてはらっているようにみえる尊敬の程度によってわかる」などの名言を残している

ぜひ、ルソーの思想を知るうえで、参考にしてみてください。

ではまた〜。