【書評】マット・リドレー『繁栄』感想 & レビューです。

どうも、リキゾーです。

大学院では、経済成長と社会保障について研究していました。

いまでも、月10冊以上チェックし、知識をストックしています。

このあいだ、マット・リドレー『繁栄』を読みました。

著者は生物学を専門とする科学ジャーナリストです。

生物学の視点から、経済成長(繁栄)をとりあげた本です。

なぜ人類はここまで豊かになったのか──。

この問いを立て、さまざまな説をあげていきます。

興味ぶかい内容で、グングン読みすすめてしまいました。

経済にかぎらず、人間の特性について知りたいひとにはオススメです。

知的好奇心をそそれらますよー。

1. 『繁栄』の要点

生物学から人類10万年の歴史をたどり、繁栄をもたらした要因をさぐっていきます。

著者は、その答えを「交換 → 分業 → 専門化」のプロセスにもとめます。

モノだけではなくアイデアの共有により、ヒトは他の動物以上に豊かさを手に入れた──こう結論づけます。

以下、要点です。

ポイント
  • なぜ人類は繁栄したのか?
  • 「交換 → 分業 → 専門化」のプロセス

ひとつひとつみていきます。

2. 『繁栄』の内容

どうして人類は豊かになったのか?

人類に繁栄をもたらしたもの──それは「交換」「専門化」です。

繁栄のプロセスをカンタンにまとめると、こうなります。

  1. 交換
  2. 分業
  3. 専門化
  4. イノベーション
  5. 繁栄

この一連のプロセスをくりかえすことで、人類は豊かになっていきました。

まず交換で、道具などのモノ or 生活の有用なアイデアを、おたがいに与えます。

つぎに、もらったモノ or アイデアをもとに、集団内で分業がはじまります。

それにより、グループのなかで、専門化がひろまります。

具体的には、仕事の内容をひとつに絞る、一つのスキルを向上させるなどです。

作業を特化することで、新しい技術(イノベーション)がうまれます。

これが繁栄につながります。

なかでも、交換する & 専門にするという行動は、人間ならでは特性です。

これによって、生態系において、ほかの生物とは一線を画すようになりました。

「交換 → 分業 → 専門化」のプロセス

ひとつひとつたどっていきましょう。

交換

なにより「交換」が重要です。

これが豊かさの源泉です。

交換とは、ふたりの間で、同時にことなるモノを与えあう行為です。

これは双方にメリットがあります。

なぜなら自分のもっていないモノを手にできて、やったことのないコトにアクセスできるからです。

手元にないモノ or コトに魅力を感じるのはヒトの性(さが)です。

たとえば、たくさんの小麦をかかえる人でも、ワインを飲んだことがなければ、ひとしずくでもほしがるものです。

逆もまたしかりです。

よく似た行為である「互恵」があります。

しかし、交換とは性質がちがいます。

互恵とは、同じモノを与えあう行為です。

これだと、一定のモノ or アイデアが、たんに移動するだけです。

そのあとに、なにも新しいイノベーションがうまれないのです。

その場のふたりにとってはメリットがありますが、人類全体に繁栄をもたらすことはありません。

分業

つづいて分業の段階です。

たとえ見知らぬ人でも、いったん交換できるとわかれば、「分業」がはじまります。

自分が作ったモノと違うモノとの交換が期待できれば、ひとつのモノをつくりつづけるようになります。

たとえば、小麦とワインを交換できるとわかれば(期待できれば)、それぞれが小麦とワインをつくる必要はありません。

それによって〝ういた分〟を、ちがうモノをつくるための労力として確保できます。

これが豊かさの獲得につながります。

(ちなみにこの説は、18世紀の経済学者・デヴィッド・リカードが提唱した「比較優位説」がルーツです。)

この点は歴史的にもあきらかで、交換せずに自給自足でやっていく民族 or 社会は、たいてい貧しくなります。

わかりやすいのは徳川時代の日本です。

鎖国をしいたことで、西洋よりも成長がおくれました。

他国との交流をやめ、モノの交換しなくなった結果、江戸時代の日本は経済的には貧しくなったのです。

専門化

さいごに専門化です。

集団 or 社会のなかで分業がすすむと、役割分担がうまれます。

それぞれがひとつのスキルをみがくようになり、技術が向上します。

それをつうじてイノベーションもうまれます。

さらにそのテクノロジーが交換によって、まわりにひろがっていき、人びとを豊かにしていきます。

「交換 → 分業 → 専門化」──このプロセスがくりかえしまわることで、人類は繁栄を手にしたのです。

3. ひとこと

成長にはイノベーションが欠かせない──そういわれます。

しかし著者は、技術革新は交換ナシでありえないと反論します。

どんなにすばらしいアイデア or スキルでも、ひとに伝わり、使われないと「宝のもちぐされ」です。

いまの情報産業における繁栄も、天才クリエーターがアイデア or スキルによるものではありません。

グローバル化によって、交流範囲がひろまり、交流のスピードがあがったからです。

この本では、交流の大切さを説いています。

交流によって激しい競争にさらされますが、交流をしないと、その集団はガラパゴス化し、衰退していきます。

どんな画期的なアイデア or スキルも、交換する相手、取り引きするお客さんがいてこそ価値がある──その点を気づかせてくれます。

良書ですので、ぜひチェックしてみてください。

ではまたー。