【書評】明石ガクト『動画 2.0』感想&レビューです。

どうも、りきぞう(@rikizoamaya)です。

大学院では、キャリア論と社会保障を研究していました。

社会人なってからは、予備校講師 → ウェブディレクター → ライターと、いろんな職業にたずさわってきました。

働き方についても、契約社員 → 正社員 → フリーランスと、ひと通り経験してきました。

「5G」をむかえるにあたり、動画コンテンツが熱くなってますね。

YouTube をはじめ、さまざまなジャンルの会社&個人が、動画による情報発信に励んでいます。

ちょっとしたバブルのにおいも感じます。

流れにノるのもいいですが、あらためて、

「そもそも動画とは何か?」
「映画&テレビによる映像との違いは?」
「動画のミライは?」

などを、知りたいなぁと思うようになりました。

そんなときに、つぎの本をみつけました。

著者は、動画クリエイターで、現役でバリバリ動画コンテンツをつくっている方です。

一時期、山手線の動画広告が、めちゃくちゃスタイリッシュで話題になりました。

そんなイケてる動画をつくっている『one media』の代表者です。

本書では、

・動画と映像の違い
・テレビの行く末
・個人発信の動画のミライ

について、述べています。

わたしが知りたいと思っていた、ドンピシャの内容でした。

真っ赤な表紙のとおり、語り口も熱く、ぐんぐん読みすすめてしまいました。

動画製作者はもちろん、YouTube など、動画づくりをしていこうかなぁと考えている人に、おすすめの1冊です。

明石ガクト『動画 2.0』の概要

もくじは、こんなかんじ。

Chapter1 ようこそ、ヴィジュアルストーリーテリングの世界へ
Chapter2 五年後の世界
Chapter3 スタイルを売れ、国境を越えろ
Chapter4 若者よ、クリエイターになれ

Chapter1で、「動画とは何か?」について。映画との違いから、動画の特性をうきぼりしていきます。

Chapter2で、動画の未来について。

Chapter3で、海外における動画コンテンツのゆくえについて。

Chapter4で、動画づくりのポイントについて。さらにラストでは、(ご丁寧に!)動画コンテンツのマネタイズ方法まで、披露してくれています。

明石ガクト『動画 2.0』で気になったトコ

以下、引用をのせつつ、気になった箇所についてコメントしていきます。

スマホが「動画」を生むキッカケに

スマホは、たんに画面を小さくしただけではありません。

ひとが映像コンテンツにふれる時間を、細かくしたことに、意味があります。

たとえば、エスカレーターに乗っているとき、ちょっとした移動のときなど、〝細切れ時間〟に、映像を観れるチャンスをつくりました。

これが大きい。

この瞬間、映像は「動画」に変わりしました。

スマートフォンは、ただ画面を小さくしただけじゃない。 人間が映像コンテンツに触れる時間のセグメントを細かくしたことが、スマートフォンがもたらした最も大きなインパクトだ。(0404)

時間軸に対する圧倒的な「情報の凝縮」がある。 この情報の凝縮こそが、動画を動画たらしめるポイントだ。(0437)

この「情報の凝縮」をしめす値を「Information of Time = IPT」と呼びます。

1秒あたりの情報量を指し、映像にくらべて動画は、IPT の数値が高く、それこそが動画のイチバンの特徴です。

たとえば、YouTube の動画と、テレビの映像では、速さもテンポも違いますよね。

いうまでもなく、若者は、IPT が高いほうを好み、年配の人は、低いほうを好みます。

コレが、映像と動画を分けるキモになります。

エジソン的回帰

ほかの特徴として、動画が届ける相手が「あなたひとり」という点があります。

映画やテレビが「大衆=マス」であるいっぽう、動画は「ひとり」に届けます。

おもしろいことに、さいしょに「動く絵を見る機械」を発明した T.エジソンは、「みんな」ではなく、「ひとり」でみることを想定していました。(=キネトスコープ方式)

ひとりでディスプレイをみる「スマホ」の登場で、エジソンが想定した「視聴スタイル」に回帰しているのです。

クリエイターとの結びつきが強くなる

エジソンが発明した「キネトスコープ方式」の視聴メカは、送り手と受け手の距離を、一気に縮めます。

そしていまは、マス向けの「映像」ばかりで、距離のちかい「動画」は少ない。

ここにチャンスがあります。

エジソン的回帰時代のコンテンツは「あなた」のためであって「みなさん」のためではない。これはマスというものがなくなりかけている現代社会にもリンクしている。そんな思想で作られた動画コンテンツが現状アダルトビデオくらいしかないことは大チャンスだ。動画コンテンツを視聴する環境にエジソン的回帰が進めば進むほど、新世代のコンテンツクリエイターにとってのブルーオーシャンが広がっていくからだ。(0573)

そして、ゆくゆくは「映像」よりも「動画」コンテンツが主流になっていきます。

こういうと、映像を流す、テレビや映画の凋落は予想できます。

もちろん、タイムスパンは分からず、いつの時点で、動画が映像を追いこすのかは、不透明です。

とはいえ、じわりじわりと確実に、動画がメインになっていくのは、まちがいありません。

テキスト&画像も「動画」にシフトする

さらにいえば、映像が動画に置きかわるだけでなく、テキストや画像によるコンテンツも、「動画」に変換されていきます。

その理由はわかりやすく、「5G」によって、通信速度があがるからです。

ユーザーは、気軽に動画を観れるからです。

いまだって、小説よりもドラマを観る人のほうが多いですよね。

さらにいえば、いったん動画でみた番組&作品を、なかなかテキストや画像で観ようとは、思いません。

これがあらゆるコンテンツが「動画」に置きかわる理由です。

FacebookやInstagram、そしてTwitter。かつてテキストと静止画にしか対応していなかったソーシャルメディアが、以前のようなシンプルな形に戻ったら、どういう反応が起こるかな? 答えは多分、とんでもない大炎上、そして他のプラットフォームへのユーザー大移動だろう。 人間は本能的に動くものを追いかける習性があるから、コンテンツやメディアは可能な限りどんどんリッチにならざるを得ない。(0594)

これはひとの特性上、しかたない。

本や雑誌、ウェブ記事が好きな人は、「テキストの良さ」を主張したいはず。

しかしテキストは能動的に情報処理するいっぽう、動画は、こちらが積極的にならずとも入り込んでする。

形式上、避けれられない。

テキストの場合、見出しが心に引っかからなければ全く読んでもらえない。一方テレビでチャンネルをザッピングしていて偶然引っかかった番組をなんとなく観続けたらすごく感動した、学びがあった、何かを好きになった、みたいな話は君にも経験があるだろう。全く興味を持っていなかった人を振り向かせるパワーが映像にはある。 そういった映像(テレビ)だけが持っていた価値をインターネット上に持ち込もうとしているのが動画なんだ。(0653)

かつて、表現の中心は「言葉」だった。 だからコピーライターが1980年代のスターだった。 次に、表現の中心が「映像」になった。 だからCMクリエイターが1990年代のスターだった。 今は表現の中心が「人」になった。 だからYouTuberやインフルエンサーがスターになった。 じゃあこれからは何が表現の中心になるんだ?(1136)

読むほどに「動画」の時代になっていくような気がします。

必要なスキル&スタイル


このように、だれも低コストで、動画発信できる未来。

そのとき求められるスタイルとスキルは何か?

端的にいえば、「あなたらしさ」「個性」しかありません。

撮影機材も、編集ソフトも、どんどん安くなる。

だれもがカンタンに制作環境をゲットできる。

もはやツールによっては「差別化」できない。

自らの「希少性=レア度」を高めるには、個性とオリジナリティしかありません。

プラットフォームを通して動画を届ける場合、誰が見ても君のコンテンツだとわかるような特徴が必要になる。僕はそれをスタイルと呼んでいる。 スタイルは、君が伝えたいことをヴィジュアルで表していくことで完成する。色、フォント、フィルター、モーション、視覚を構成する要素を丁寧に組み合わせて君だけのスタイルを作ろう。(1273)

これは理想論ではありません。

むしろ過酷な道です。

個性や才能が、そのまま評価につながるんですから。

自分の個性と特性をとらえて、評価されるように努力しないといけないからです。

「たいへん」と見なすか、「ワクワク」すると思うかは、人それぞれ。

それでも、トライするには、十分すぎる環境がそろっています。

あとはやるだけですね。

最も重要なことは君自身が本気でそれを伝えたいと思っているかということだ。 噓偽りのない心からの叫びをヴィジュアルストーリーテリングに落とし込むことで、君にしかできない動画が誕生する。 その動画が視聴者と強く結びついた時に、誰かの世界観が変わるんだ。 これがエンゲージメントだ。(1237)

おわりに

さいしょに述べたとおり、「5G」をキッカケに、動画コンテンツは、ますます増えていきます。

そのいっぽう、「動くコンテンツ」といえば、テレビや映画による「映像」がメイン。

となれば、いまが波にノるチャンスといえます。

コストもかからず、発信内容も自由。

あとは〝あなたのやる気しだい〟といったかんじです。

この本を読めば、ますます確信するはずです。

動画クリエイターをはじめ、YouTube で作品を発信したいとは、後押しやヒントになるばす。

よければチェックしてみてください。

ではまた〜。